一昔前とは比べ物にならないほど、クオリティが上がっている「冷凍食品」。冷凍食品全体の出荷額も、年々右肩上がりに増えている。
その理由を探ってみると、"冷凍技術"がとてつもない進化を遂げていたことが分かった。

キーワードは「急速冷凍」スーパーには並ばないこだわりの専門店も

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訪れたのは、大阪初という冷凍食品専門店「Reco」。ほとんどの商品が、スーパーには並ばないものだという。

冷凍食品専門店 Reco・徳山侑希さん:
例えば、こちらは北海道でしか置いていないコロッケ。もうホクホク、サクサクでとってもおいしくて。青森のホタテとバラ焼きもあります

地元だけで売っている商品が多く、直接、全国の製造元と交渉して、仕入れているそうだ。

一方、目立つところにずらりと並んでいるのは、大阪府箕面市にある本格イタリアンレストランによる、こだわりのピッツァだ。

冷凍食品専門店 Reco・徳山侑希さん:
石窯で焼いたものをそのまま急速冷凍して。冷凍の機械がとても進化してまして、食感とか、そのままお店での味を表現できるようになったって聞いています

窯で焼いて急速冷凍したというピッツァ。どんな味なのか、キャスターも食べてみることに…

薄田ジュリア キャスター:
このチーズがとろっと伸びる感じって、冷凍のピッツァではなかなか出せないですよね。トマトのみずみずしさまで感じられるっていうのが驚きでした。おいしい

鮮度や香り、旨味まで凍らせて閉じ込める「急速冷凍」によって、その市場はどんどん広がっている。

コンビニには、冷凍のお刺身まで並ぶ充実ぶり。水にさらして解凍すれば、鯛やカンパチ、馬刺しまで味わうことができる。今、冷凍食品がどんどんおいしくなっているのだ。

冷凍難しいマーボー豆腐まで! “町中華の味”が世界へ?

そんな中、箕面市にこの夏、冷凍食品の製造直売店「FROZEN Lab.」がオープンした。

この会社は、大阪市十三(じゅうそう)で59年間、中華料理店「龍鳳」を営業していた。その店を閉めてまで、新たに冷凍食品事業に進出した理由は…。

大真実業・大里佳史 取締役:
コロナ禍の中で社会情勢も変わり、飲食業も不透明だったので、冷凍の「中食」というのはまだ伸びしろがあるなと思いまして。違う形ですけども、龍鳳の味は残せるので

先代から続く伝統の味と、腕のある料理人たちの職場を守りたい…。そこで目を付けたのが、冷凍食品だった。中でも、マーボー豆腐は自慢の一品だという。

薄田ジュリア キャスター:
うわー!香りがすごいですね。
…おいしい!すごく本格的な。舌がちょっと痺れる感じがたまらないですね

街中華の味をどうやって冷凍食品で再現するのか。併設工場に案内してもらった。

大真実業・大里佳史 取締役:
3人前ずつ作っています。大量に作ると味がブレるので

店とほとんど変わらない調理法でつくったマーボー豆腐を、真空パックに。そして、熱々のうちに、急速冷凍機に入れる。

大真実業・大里佳史 取締役:
この中が今、マイナス30度の状態で保たれているので、ここで瞬間冷凍します

マーボー豆腐の冷凍は、特に豆腐の水分調節が難しい。従来からある冷気で凍らせる方法だと、パサパサになってしまったそうだが、アルコールの液体で真空パックを凍らせることで、満足のいく食感を実現した。

大真実業・大里佳史 取締役:
日本中の方に食べていただけたら、第一段階としてはいいですし、販売網が広がって、また海外とかに行けたらいいなとは思っています

こだわりの町中華のメニューを冷凍で長期間保管し、街を飛び越え、世界へ届けることも夢じゃない…。冷凍食品事業への期待が高まっている。

…本当に冷凍食品?ドリップ出にくい特殊な「プロトン凍結」

薄田ジュリア キャスター:
急速冷凍技術が進化する中、奈良県の企業が、業界で話題の冷凍機を作っているそうです

奈良市の「プロトンダイニング」。店内にはお弁当からお寿司、パン、さらには様々な洋食メニューまでずらりと並んでいる。全て特殊な急速冷凍機によって、凍結されているそうだ。

買い物客:
冷凍食品が好きで「最近の冷凍食品ってどんなやろう」と思って調べてたら、“プロトン凍結”がどうこうって出てきたんで

彩り豊かなそぼろ弁当も冷凍食品 キャスターも「今作ってもらったみたい」と驚き
彩り豊かなそぼろ弁当も冷凍食品 キャスターも「今作ってもらったみたい」と驚き

あまり馴染みのないワード「プロトン凍結」。一体何が特殊なのか、彩り豊富なそぼろ弁当を電子レンジで解凍してもらい、試食してみた。

薄田ジュリア キャスター:
驚いたんですが、香りがすごいんです。冷凍食品だと思えないぐらい。出来たての香りが凄いたってて。
…しっとりふっくらしてる。冷凍独特のベチャっと感とか、ボソボソとした感じがなくて、本当に今作ってもらったみたい。冷凍かな…これ

思わず疑ってしまうほどの食感。一体どんな冷凍技術なのか、機械を見せてもらった。

プロトングループ・総合企画部 樋口博一 次長:
上下に強力な磁石が入っています。電磁波と磁力を通すことによって、水分子が細かく整列することになるんですね。
凍結した時にも破れにくいですし、その後解凍した時にもそこまでドリップ(解凍時に出る液体)が出ませんので、旨味が残って、復元率が高いということになります

従来の凍結方法に比べて、プロトン凍結では、魚や肉を解凍した時にドリップが出にくいとのこと。

プロトングループ・総合企画部 樋口博一 次長:
お魚とかって時期によって、やはりとれる時ととれない時が出てくると思うんですけど、この凍結でストックをして、あまりとれない時期に出荷できるようにすれば、価格をならすことができる。平準化ができます。色んな産地で使っていただいております

下にシートを敷き、ドリップがどれくらい出るか比較。一目瞭然だ
下にシートを敷き、ドリップがどれくらい出るか比較。一目瞭然だ

冷凍技術の進化で食文化の拡大も

奈良の名物として知られる、柿の葉寿司の製造元「柿の葉寿司のゐざさ 中谷本舗」でも、プロトン凍結機が活躍している。

ネタとシャリ、そして柿の葉というバラバラの食材を均一に冷凍するのが、これまでは難しかった。しかしプロトン凍結によって、満足のいく商品になったという。2021年に2台目を追加で導入して、本格的に冷凍柿の葉寿司の通信販売を展開している。

中谷本舗・営業部 澤田真 次長:
海のない奈良県で生まれた保存食として発展したわけなんですけど、今回この冷凍技術を用いまして、今までお届けできなかった地域の方々にもお届けできる、食文化を広めていけるように今後やっていきたいと思っております

技術が進化して、おいしさも進化する冷凍食品。時間を超え、空間を超えて、新鮮な食べものが届けられるようになり、新たな食文化の創造にも繋がっていきそうだ。

(関西テレビ「報道ランナー」9月6日放送)