7月末までに、露天風呂を狙った盗撮グループの7人が静岡県警に逮捕された。これまでに、1道5県と全国的な犯行が立件されているが、現在でも警察の捜査は続いている。

犯人たちは100m以上離れた山に身をひそめ、盗撮を行っていたという。望遠レンズにはどれ程の撮影能力があるのか、その性能を探ってみた。

離れた山から望遠レンズで… 警察が明かす犯行手口

県警生活保安課・大久保真吾 課長
県警生活保安課・大久保真吾 課長
この記事の画像(17枚)

静岡県警生活保安課・大久保真吾 課長:
被害者の女性は、全く盗撮されたことに気付いておりません

県警生活保安課・中水流誠也 課長補佐「盗撮場所を作ることも…」
県警生活保安課・中水流誠也 課長補佐「盗撮場所を作ることも…」

静岡県警生活保安課・中水流誠也 課長補佐:
のこぎりで木を切ったり、下草を刈ったりして盗撮場所を作ることもあります

浜松市西区の舘山寺(かんざんじ)温泉で行われたのは、県警察本部による講話だ。県温泉協会の関係者に、盗撮グループの犯行手口、対策を伝えていた。

中水流 課長補佐「盗撮師は人気施設をチェックしている」
中水流 課長補佐「盗撮師は人気施設をチェックしている」

中水流 課長補佐:
日帰り入浴が可能な温泉施設が狙われやすい。宿泊客だけを対象にした入浴施設よりも、入れ替わり立ち替わりが見込まれるのが可能性が高い理由。特に若い女性に人気の入浴施設は、盗撮師たちもチェックしていると言われています

県警は2022年7月末までに、露天風呂を狙った盗撮グループの7人を逮捕した。北海道、茨城、神奈川、静岡、岐阜、兵庫の1道5県での犯行が立件され、さらに捜査が続けられている。

犯行に使われていた機材
犯行に使われていた機材

その手口は…、山の中に潜み、望遠レンズのついたカメラで撮影するというもの。その距離は100~300mとみられる。

望遠レンズの性能は?

100m以上も離れたところから、盗撮される危険はあるのだろうか。記者が実験を行った。

記者が性能を実験
記者が性能を実験

山﨑彩記者:
私たちがスポーツ取材のときに主に使用している、望遠レンズ付きのカメラです。取材活動に使う放送用ですが、同じような性能のものは、一般にも市販されています

カメラから100m離れたところに、記者が立つ。横から見てみると、実験を行った河川敷のサッカーグラウンドを大きく超える距離だ。

まずは、肉眼に近い状態で撮影。小さく、よく見ないと人が立っていることさえも確認できない。

肉眼に近い状態。よく見ないと人が立っていることもよくわからない
肉眼に近い状態。よく見ないと人が立っていることもよくわからない

次に、望遠レンズを使うと…はっきりと大きく撮影することができた。
望遠レンズを使った状態と、肉眼に近い状態とを比較してみると、その違いは一目瞭然だ。

さらに100m離れ、200m離れて撮影してみた。

それでも、目や鼻など顔のパーツまではっきりと確認することができる。民生用、一般の人が扱うレンズも、同じような性能を備えている。

卑劣な犯行への対策を

講話で、警察が温泉協会に示した対策は3つある。防犯カメラの設置、見えにくくする施設の改良、不審な人・車の警戒だ。

防犯カメラの設置や施設の改良には、費用や時間、景観との兼ね合いの問題があり、まず取り組めるのは不審者への警戒だ。
ただ、注意が必要なのは、施設の外や、山の中だけではないという。

中水流課長補佐「共犯者は施設内にいることも」
中水流課長補佐「共犯者は施設内にいることも」

中水流 課長補佐:
盗撮師の仲間の中には、施設内に客を装って入り込み、入浴前・入浴後の利用客の着衣姿を撮るものもいます。通称「着衣撮り」と言います。長時間イスに座っている、館内をウロウロしている、女性の動向を目で追っているなどの不審点があります。
共犯者は、「こういう着衣を着ている」「こういう女性がいまから入りますよ」となどと、盗撮がしやすいように仲間に連絡をすると。このような役割でやっています

押収された証拠品
押収された証拠品

犯行グループは、映像を仲間で見せ合っていた他、特定の女性を温泉に誘い、盗撮をさせていたこともわかってきた。

押収された証拠品
押収された証拠品

100mや200m離れていても、鮮明にとらえる望遠レンズ。盗撮グループは離れた場所に身をひそめ、女性を狙っていた。

また、警察が示した犯人が狙う施設の特徴は5つある。
日帰り入浴が可能な施設、日によって男湯・女湯が入れ替わる、見通しを妨げるものがない、山に撮影可能な場所がある、山の出入り口に防犯カメラがない、ということだ。

下調べをして犯行を断念するケースもあり、施設側の対策は、利用者の安心安全につながるはずだ。また、警察には徹底した捜査が求められる。

そして利用者も、不審に思ったら、すぐ連絡をする意識が犯罪抑止に重要となってきそうだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
テレビ静岡

静岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。