“第7波”の感染拡大が止まらない。7月27日発表の長野県内の新型コロナウイルスの新規感染者は2155人。初めて2000人を上回り、2日連続で過去最多を更新した。長野市保健所の所長は「2年前と同じスタイルでは限界、とっくに破綻している」などと述べ、国の対応について問題提起した。

「ゼロコロナ」はあり得ない 重症化させない対応を

新規感染者2155人は、居住地別に長野市603人、上田市201人、松本市188人、佐久市150人、飯田市99人、小諸市80人、千曲市67人、伊那市58人など66市町村で確認された。

第6波の最多は860人余りだったが、先週1500人を超え、27日に2000人を上回り2日連続で過去最多を更新した。

長野県の感染者推移(2022年1月~7月27日)
長野県の感染者推移(2022年1月~7月27日)
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市内で過去最多となる603人の感染を発表した長野市保健所は会見を開き、感染者をゼロにするのは難しいとして、社会活動を維持しつつ高齢者など重症化させない対策・対応を心がけてほしいと呼びかけた。

長野市保健所・小林良清所長:
一人一人の注意が必要ですが、現在、長野県や国内でこれだけの感染者が出ていますので、この病気がゼロになるとか、ゼロに限りなく近くなることは、ほぼあり得ないと思ってもらう必要があります。人間はコロナと向き合っているだけでなく、様々な活動がある。子どもたちの教育も含め、一律全て止めましょうということではなく、活動を続けながら感染に気を付ける。

長野市保健所・小林良清所長(7月27日)
長野市保健所・小林良清所長(7月27日)

長野市保健所・小林良清所長:
感染したら自宅に留まって、重症化の恐れのある人はしっかり医療につなぐことに、一人一人が協力してほしい。これまでやってきた一律の行動制限は、恐らくこの病気のコントロールにはあまり効果がないんじゃなかいかと。同居の方の感染、医療機関や施設、学校、保育所などで感染が起きていますので、社会的な活動の制限をしてもコントロールは難しいんじゃないかと思います。

長野市の街
長野市の街

「目的が破綻している」5類相当への見直し議論を

一方、感染が急拡大する中、小林所長は「現場の業務や対応は2年前と同じスタイルで限界にきている」と述べた。

長野市保健所・小林良清所長:
感染がものすごく増えてきている中で、保健や医療の体制はほぼ同じにやっている。これだけの感染者数を2年前と同じスタイルでやるということは限界だということを、ぜひ市民の皆さんにご理解いただいて。国レベルにおいて、新型コロナへの対応を速やかに見直すべきだと思います。

小林所長が国の対応について問題提起する理由、それは現場が感じているジレンマだ。

長野市保健所・小林良清所長:
感染拡大防止という目的で2年半前からスタートした。ところが、それをやったけど7回目の大きな波が来て、感染拡大防止という目的はとっくに破綻していますよね。とっくに破綻しているのに同じことを続けているのが、我々、現場のもっとも辛いことなんです。保健所や医療機関の業務がひっ迫しているからやれないということではなくて、これが功を奏していたり、目的に向かっていることが明確であれば、みんな死に物ぐるいでやります。
ですが、やっていることは感染の抑制、現実には感染は普通に起きていたり、特に最近は社会活動自体は継続するという方針のもとに、世の中はどちらかというと、3年近く前に戻りつつある。そんな中、保健所と一部の医療機関だけが同じことをやっている。しかも目的がずれている。そこのジレンマですね。

長野市保健所・小林良清所長(会見 7月27日)
長野市保健所・小林良清所長(会見 7月27日)

こう述べた上で、小林所長は新型コロナの感染症法上の扱いを結核などと同じ「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類相当」への見直し議論を進めてほしいとの考えを示した。

長野市保健所・小林良清所長:
重症化の防止と集団発生の防止に、保健所の対応を変えていくべきだと思っている。これはインフルエンザと同じということ。5類相当にしていただければ、そういう風になっていくのではないかと思います

長野保健所の会見動画(7月27日)

(長野放送)

長野放送
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