新型コロナの感染拡大で、ダメージを受けたのがライブハウスだ。新型コロナの「第7波」が押し寄せる中、不安を抱えながらも日常を取り戻そうとする老舗ライブハウスの今に迫った。

新型コロナで打撃受けたライブハウスは今…

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音楽で会場が一つになるライブハウス。客は…

ライブハウスに来た男性客:
自由で楽しい場所です

ライブハウスに来た女性客:
家と同じくらい落ち着く場所で、居場所ですね

「落ち着く場所だ」と女性客
「落ち着く場所だ」と女性客

金沢市にあるライブハウス「vanvanV4(バンバン・ブイフォー)」

金沢市内のライブハウス「vanvanV4」
金沢市内のライブハウス「vanvanV4」

40年以上の歴史があり、壁には名だたるアーティストのサインも見ることができる。

出演アーティストのサインで埋め尽くされた壁
出演アーティストのサインで埋め尽くされた壁

例えば、WANIMAや…

WANIMAのサイン
WANIMAのサイン

SEKAI NO OWARIのサインも。

SEKAI NO OWARI のサイン
SEKAI NO OWARI のサイン

このライブハウスは石川を代表する音楽の聖地だ。経営しているのは上坂晃弘(こうさか・あきひろ)社長。

ミキサー卓で作業する上坂社長
ミキサー卓で作業する上坂社長

vanvanV4 上坂晃弘社長:
僕の全てですね。ここで知り合って、ここで沢山の出会いもあって、ライブハウスvanvanV4は僕の生活の一部みたいな感じです

しかし、2020年には新型コロナで5カ月間の休業を余儀なくされる。

vanvanV4 上坂晃弘社長:
お店の維持費や管理費はずっと毎月かかるわけで、ずっと赤字の連続で収入0の月も多かったので、どうしていいか分からなかったですね

高校時代、バンドマンとして、このライブハウスを拠点に活動した上坂さん。思い出の場所が、存続の危機に…。ピンチを救ったのは、同じ思いを持つ仲間だった。

音楽も客の歓声も消えた5か月…
音楽も客の歓声も消えた5か月…

SNSを通して「金沢vanvanV4への支援を地元バンドで行います。皆様のお力をお貸し頂きたいです」と呼びかけた。賛同した27のバンドが手掛けた楽曲をダウンロードすることで、売り上げをvanvanV4に寄付する取り組みを始めたのだ。

vanvanV4の支援を呼び掛けるSNS
vanvanV4の支援を呼び掛けるSNS

さらに、あのロックバンドback numberも公式ホームページで、コロナ禍であえぐ全国のライブハウスを支援しようと動き、収益金を寄付。金沢市のvanvanV4もその支援の対象となった。

back numberの公式HP
back numberの公式HP

back numberなど多くのアーティストにとって、ライブハウスはなくてはならない存在だ。

vanvanV4 上坂晃弘社長:
いろんな方から支援をいただきました。「何とか頑張ってね」という声に、涙が出るくらい嬉しかったです

支援が支えになったと語る上坂社長
支援が支えになったと語る上坂社長

アーティストたちの支援で、何とか廃業の危機を乗り越えたvanvanV4。それでも、綱渡りの経営状態は変わらない。

vanvanV4 上坂晃弘社長:
徐々にライブの回数は戻ってきつつあるものの、まだまだって感じですね

稼働率は、まだ7割ほどだと言う。

埋まらないスケジュールとにらめっこの日々が続く
埋まらないスケジュールとにらめっこの日々が続く

vanvanV4 上坂晃弘社長:
決して新型コロナが無くなったわけではない。まん延防止とか出ちゃうと、またイベント中止、延期になっちゃうので、不安なところではありますよね

ライブハウス存続へ…苦渋の決断

2022年7月1日、上坂さんはある決断をする。定員の75%。150人まで客を入れることにしたのだ。今のままでは、売り上げが立たないからだ。

感染対策をしつつ、定員を増やすことを決断
感染対策をしつつ、定員を増やすことを決断

記者:
何をしているんですか?

vanvanV4 上坂晃弘社長:
感染対策です。マイクに飛沫が飛ぶので、それを介して感染するのを防ぐためのマイクガードです。カラオケボックスとかで感染したりとかっていう事例もあったので、こういうのは大事だよね

飛沫感染を防ぐ対策も…
飛沫感染を防ぐ対策も…

万が一、クラスターを発生させてしまえば営業停止、そして、他のライブハウスにも迷惑をかけてしまう。そのため、上坂社長は不安を払拭するため、できる限りの感染対策を施している。

営業するためには、感染対策は欠かせない
営業するためには、感染対策は欠かせない

客も、出演するバンドも、営業を続けたいという思いは同じだ。

来場者もアーティスも消毒や検温などに協力
来場者もアーティスも消毒や検温などに協力

記者:
コロナ禍になって変わったことは?

出演したバンド プッシュプルポットのメンバー:
ライブすることが良くないみたいな風潮があって、お客さんにどう楽しんでもらえるかの勉強というか、一つ一つめちゃめちゃ勉強しています

プッシュプルポットのメンバーたち
プッシュプルポットのメンバーたち

この日も、待ちに待ったライブが開幕した。

音楽で一つになる感覚…。しかも、至近距離での一体感はライブハウスならではだ!

上坂さんにとっての日常が、少しずつ戻りつつある。

アーティストや客を見守る上坂社長
アーティストや客を見守る上坂社長

この日、出演したバンドは…

プッシュプルポット 山口大貴さん:
やっぱり僕らにとっては帰る場所。一般的に見たら、敵みたいなイメージのあるライブハウスかもしれないですけど、変わらずずっとあって欲しいなって思います

vanvanV4 上坂晃弘社長:
やっぱりお客さんが喜んでいるのを見るのが、いちばん嬉しいですよね。

新型コロナの感染拡大で打撃を受けたライブハウス。
しかし、バンドと客が音楽を通して心通わせる場、そして自分を表現する場として、かけがえのない場所だ。その場を守るため、努力は今も続いている。

(石川テレビ)

石川テレビ
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