ロシアによる軍事侵攻を受け、大分・宇佐市で合宿を行っていた相撲のウクライナ代表チームが6月15日朝、大分県を離れた。
約2週間に渡った今回の合宿。実現の裏には宇佐市出身の男性の存在があった。
回し姿で激しくぶつかり合う、相撲のウクライナ代表チーム。
7月にアメリカで開かれる世界大会に出場するものの、ロシアによる軍事侵攻の影響で祖国での稽古が困難になったため、宇佐市で約2週間に渡る合宿を行った。
代表チーム「全てが最高のレベル」
充実した稽古を終えた選手たち。出発を翌日に控えた6月14日夜、地元の人たちが壮行式を開いた。
リュボヴィ チームマネージャー:
全てが最高のレベルで整っていて、自分たちが家のようにここにいられたことが何よりも嬉しかった
両者が交流を深める様子を感慨深く見つめる1人の男性…
この記事の画像(5枚)三池哲也さん:
私自身も、ここに来て良かったとしみじみと思った
やったことはなくても相撲は身近な存在
三池哲也さん(55)。今回の合宿のきっかけを作り、期間中も陰から支えてきた。
三池さんは宇佐市の柳ヶ浦出身で、小学校を卒業するまで過ごした。
宇佐合宿を手掛けた三池哲也さん:
この体形だから、よく相撲出身者と言われるが、実際にはやったことは無くて。ただ、宇佐の場合はどこの小学校にも当時は必ず運動場の片隅に土俵があったので、よく休み時間とかにみんなで相撲を取ったりとか、そういう思い出
三池さんは約30年前に、日本とロシアの文化交流を手掛ける協会を立ち上げ、隣国のウクライナの人たちとも多く接していた。
そんな三池さんが知人を通して、ウクライナの相撲の代表チームがロシアによる侵攻を受けて稽古が出来なくなっていることを知った。
三池哲也さん:
真っ先に思い浮かんだのが、自分の郷里である宇佐だった
故郷の宇佐市などに掛け合い、今回の合宿を実現させたのだ。
「昭和の大横綱」を輩出の宇佐市で合宿
「昭和の大横綱」双葉山を輩出し、相撲が盛んな宇佐市での合宿。ウクライナの相撲の代表チームは、悲惨な状況の祖国を思いながらも、地域のサポートを受けて充実した日々を過ごした。
スヴャトスラヴ・セミクラス選手:
取り組みもできたし、多くの人が来て一緒に土俵で戦うことができたので、すごくいい経験になった。本当に感謝している
期間中、選手たちを献身的にサポートした三池さん。
ウクライナに1日も早く平穏な日々が戻ること、そして今回の合宿をきっかけに、両者の交流が続いていくことを期待している。
三池哲也さん:
宇佐とウクライナの間で、相撲だけじゃなく、色々な形で交流ができるような、そういう未来にできたらいいなと願っている
「これからもサポート」三池さんの思い
ウクライナの相撲代表チームは6月15日朝に宇佐市を離れ、愛媛での合宿を経て、7月の世界大会に臨む。
これからもサポートを続ける三池さん。
次に古里・宇佐に戻る時は、ウクライナでの争いが終わり、交流がさらに深まる様子をそばで見たいと心の底から願っている。
(テレビ大分)