全国の約9000カ所で採用されている「とろみがつく自動販売機」。世界で初めてこの自販機を作ったのは、愛知県の町工場だった。

とろみで誤嚥のリスク軽減…町工場が2年かけ開発

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どこの街角にもある、コップ式のドリンクを売っている自動販売機かと思いきや、よく見るとボタンの中に「とろみ」の文字が。このボタンを押せば、アイスココアもトロトロになる。

リポート:
飲みやすくなるのはもちろん、味が濃く「ギュッ」となっているような感じがして、すごくおいしいです

他にも、抹茶ラテやレモネードまで、何でもとろみをつけられる。

この自販機を作ったのは、愛知県大府市に本社がある「アペックス」。カップ式の自販機などを製造しているが、とろみをつけた飲み物の自販機を作った理由とは?

アペックスの担当者:
高齢化社会にともなって、嚥下(えんげ)機能に障害を持った方が増えてきた。何か対応できるものはないかということで依頼がきまして

通常、食べたものは気管への弁を閉じて食道へいくが、高齢になるとその弁を閉じるスピードが遅くなり、誤って気管に入って「誤嚥性肺炎」を発症してしまうこともある。

この誤嚥性肺炎により5万人近くの人が亡くなっていて、2021年度の死因では6位だった。

そのリスクを軽減してくれるのが、このとろみつき自販機。飲み物にとろみがつくと喉を通過するスピードが遅くなり、誤嚥を防ぐ効果が期待できる。

アペックスの担当者:
キャベツ由来の微生物の動きによってできる酵素を使っている。ドレッシングや化粧水にも含まれているような、ちょっとトロっとしたような成分になるんです

植物由来の安全なとろみ材を使い、飲み物の味を損ねないように分量を調節。開発に2年をかけた。

2018年に発売し、今では病院や介護施設、百貨店や高速道路のSAなど、全国約900カ所に採用されている。「おおぶ文化交流の杜」では2年前に設置した。

おおぶ文化交流の杜の館長:
飲み込みに不安がある方も、安心してお楽しみいただけるかと思い導入を決定しました。休憩スペースの方で、お年寄りとお子さんが一緒に飲み物を楽しんでいる姿を見ると、よかったなと思います

アペックスの担当者:
これからも高齢化社会が進んでいきますので、こういったマシンを導入していただいて、みんながハッピーになれるような提案ができればと考えています

(東海テレビ)

東海テレビ
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