ロッテ佐々木朗希(20)が11日、DeNA戦に先発し勝敗こそつかなかったが8回3安打1失点の好投を見せた。「自分のボールがしっかり投げられるかどうかに注目」と現地に足を運んだ野球解説者の野村弘樹さんの目にはどのように映ったのだろうか。プロの視点で投球をひも解く。

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プロの視点「直球がシュート回転」

野村さんが注目する中、佐々木は初回、打撃好調のDeNA打線をわずか5球で内野ゴロ3つに仕留めた。それでも、野村さんの目には本来の調子ではないように映ったという。

「良くないですね。ポテンシャル(の高さ)で抑えていますが、アウトコースに狙ったのにシュート回転している、このボールが増えてきています」

佐々木と高卒ルーキー松川虎生(18)の若きバッテリーは、2回に4番・牧秀悟(24)と初めて対戦した。現在、打率.315(2位)、打点47(1位タイ)、本塁打15(3位)と好調の牧に直球を続けた後、3球目の高めのカーブを右翼席に運ばれた。

「真っすぐが抜けていますね。松川が今日の佐々木のストレートを良くないと見ていますね。要するに球速ではなく球質が良くないと。だからところどころでカーブを入れている。ただそのカーブをあれだけ完璧に打つのは牧の状態の良さですね」

プロの視点「左足の動きが小さい」

カウント球で思わぬ失点を許した佐々木。打者が2巡目に入った時に野村さんはあることに気が付いた。この日の佐々木の「左足の動き」に状態の悪さが表れているという。

「今160キロ出ているけど力が無いんですよね。少し左足の動きが小さいかもしれない。それがリリースポイントの1~2センチに影響が出ている可能性がある。動きが小さいから地面に早く着く。左足がずれるとボールがシュート回転しやすくなります」

4月10日に完全試合を達成した日と映像で比較してみても、この日は左足の動きが小さく、より早く地面に着いていることがわかる。

プロの視点「スライダーで配球に変化」

しかし、ここから佐々木・松川のバッテリーに変化が見られた。野村さんはそれを見逃さなかった。

「2ストライクで珍しく(松川のサインに)首を振って、やっぱり真っすぐを投げたがらないですね」

最速は162キロも、疲労もあってかこの日の直球の平均球速は157・8キロ。シュート回転する不調の直球ではなく、今季あまり投げていなかったスライダーを多用するなど変化球主体の配球にシフトし、6回まで許した安打はわずか3本だった。

「とてつもない投手になる」

6回に援護をもらった佐々木はその後は安打すら許さず、8回94球を投げ3安打1失点5奪三振。本来の直球ではないにもかかわらず11個の内野ゴロを築き試合を作った佐々木に野村さんも驚きを隠せない。

「よく考えたらきょうの佐々木朗希の投球を何一つ褒めていないですよね。『自分が狙って取れたアウトが何個ある?』って聞いた時、1つから3つぐらいしか言わないと思う。それで3安打でカーブを1発ホームラン打たれただけ。(同じ投手として)やってられんよな。とてつもない投手になりますよ

2度目の登録抹消に

試合後、井口資仁監督(47)も「変化球を混ぜながら、うまくカウントを取る良い投球ができていた」と評価したうえで、疲労を考慮し今季2度目の登録抹消を発表。再登録は22日以降となる。令和の怪物はリフレッシュを経てどんな投球を見せてくれるのだろうか。

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