4月14日に開幕し5月18日に閉幕した、瀬戸内国際芸術祭2022の春会期。
ゴールデンウィークには、島々に渡る船が発着する高松港で、来場者による長蛇の列ができた。しかしそれ以外は、のんびりとした日常の光景が広がった。コロナ禍での初めての開催で、どれほどの経済波及効果を生みだすのか。
3年に1度開かれる瀬戸芸。2019年の前回は過去最多の約118万人が訪れ、経済波及効果は180億円に上った。宿泊や飲食を中心に、地域の経済は大きな恩恵を受けた。

一方、今回の春会期で会場となった8つの島と高松港、宇野港の来場者は、35日間で22万8133人。前回の春会期は38万6909人だったため、6割ほどにとどまったことになる。

この数字の評価を問われた香川県の浜田恵造知事は「来場者の数を目標にして行っているものではないので、もっと多ければ良かった・多すぎた、という考えは持っていない」と話している。慎重な答えだが、総事業費約13億円のうち、県や自治体などが約7億2600万円を負担する公共性の高いイベントだけに、評価は気になるポイントだ。

日本銀行高松支店の高田英樹支店長は、「今回の瀬戸芸でも、人流の回復や小売店の売上回復につながったと聞いているので、相応の効果があったと思う」と経済面への波及について分析している。

高松市内の飲食店からも「ゴールデンウィークには瀬戸芸に来たお客さんが来店してくれて、売上が上がった」という声が聞かれた。
2年以上続くコロナ禍で地域の経済は疲弊している。来場者は前回から減少したものの、地域にとっては少なからず恩恵があったようだ。
瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期は8月5日~9月4日、秋会期は9月29日~11月6日に開催される予定だ。
(岡山放送・前川裕喜記者)