今、線路の整備などで課題となっている労働力不足。
この状況を打開しようと、JR西日本が頼もしいヒーローの開発に乗り出した。

あのアニメが現実に! 操縦かんで操るロボット

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愛らしいまん丸の目に、スマートなボディ。
アニメの世界から飛び出してきたような見た目のロボットだが、操縦は、コックピットで操縦かんを握ってアームを操る、まさにガンダムのような仕組みだ。

JR西日本が社運をかけて開発中の“鉄道工事用の最新ロボット”、その名も「零式人機ver2.0」。
労働力不足を補うべく生み出されたロボットだけあって、普段は人が手作業で行う細かい仕事も得意なのが大きな特徴だ。

記者:
塗装作業など細かなこともできますし、力持ちなので重たい鉄骨だって持ち上げられます

これまでは足場を組んで数人がかりで持ち上げていた重い部品も、軽々と持ち上げる。
このロボットを導入すれば、作業に必要な人数を3割ほど減らせるということだ。

もう一つの大きな利点は、人へのリスクの軽減。
転落や感電の危険が伴う高所での作業をロボットに託すことで、作業員の安全の確保にもつながる。

気になるのは、操縦の難易度。
技術を習得するのに時間がかかりそうな気もするが、ここにも大きな工夫があるのだ。

記者:
なんか振動が伝わります

担当者:
ゆっくり上に力を入れてください

記者:
わあ、振動が!

操縦者はVRゴーグルを使って、ロボットの視界を自分の目で見ることが可能に。

さらに、つかんだ物の重さも感じられるようになっているため、まるで自分の腕を動かしているような感覚で作業ができるようになったのだ。

実際に記者が操縦してみると…

記者:
手首の回転、できるできる!スムーズ!

わずか5分ほどのレクチャーで、操縦することができた。

目指すのは「人の繊細さと機械の強さ」

そもそも、なぜ人型にしたのだろうか。

JR西日本 鉄道本部システムチェンジ 梅田善和課長:
実はですね、結果的に人の形に近い状態になったというのが実情です。私共の現場では、設備の一つ一つが場所・環境によって大きさ・形状も違ってくる。機械ではなし得ない、人による判断と、ロボットの力を融合させたロボットを作ることによって、広い汎用性を実現していくことが可能になると考えています

人が判断して操作するならば、自分の“分身”となる形が最適なのでは。
その考えのもと、人型ロボットの制作を手掛ける滋賀県の民間企業と手を組んだ。

しかし、開発は難航。当初は操作性を重視したことから、コックピットの幅が大きくなりすぎた。
ようやく試作機が完成したのは2年半後。試行錯誤の末、狭い電線の間を自在に動けるサイズにまでコンパクトになった。

JR西日本 鉄道本部システムチェンジ 梅田善和課長:
操作する人・使う環境に、いかにマッチさせるのかが主題。喧々囂々(けんけんごうごう)もあったんですけども、そういったところを乗り越えて、できあがった

人の繊細さと機械の強さを兼ね備えた、人型ロボット。
これから雨の中や暗闇でも活躍できるパワーを身に付け、2024年の始動を目指す。

労働不足の解消や作業員を守る「救世主」に

JR西日本がロボットの開発に乗り出した背景には、高所などの危険な作業から従業員を守る目的以外に、深刻な作業員不足がある。

鉄道工事は電車の走らない夜間の作業になる上に、重労働で若い人材がなかなか集まらない。
ベテランの技術を若手にどう引き継ぐかが大きな課題になっている中で、ロボットが「救世主」として期待されている。

また、従来は力仕事だった作業が「ロボットの操縦」に置き換わることで、女性の参入も期待される。

JR西日本は、2024年の導入を目指して、2年間の実証実験を進めている。
現在は車両で運んでいるロボットを線路上から直接現場へ向かわせることや、「つかむ」以外の作業ができるアームの開発も想定されているそうだ。

JR西日本の救世主、人型ロボット。これからの活躍が楽しみだ。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月31日放送)

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