日本時間19日、スペインのセビリアでヨーロッパリーグ(EL)の決勝が行われ、長谷部誠(38)と鎌田大地(25)が所属するフランクフルト(ドイツ)がPK戦の末にレンジャーズ(スコットランド)を破って42年ぶりの優勝を果たした。

フランクフルトは1980年に前身のUEFAカップを制して以来2度目の栄冠となる。日本人としては2002年にオランダ・フェイエノールトに所属していた小野伸二以来となる2人目、3人目の快挙。試合後、2人がカメラの前で喜びを語った。

鎌田大地「涙があふれてきた」

ーー鎌田選手、激闘の末、UEFA ヨーロッパリーグ優勝おめでとうございます。

「ありがとうございます(笑)」

ーー今の心境は?

「ヨーロッパリーグ(EL)ですごく強いチームを倒して決勝トーナメントまで上がってきて今日が一番難しい試合でした。先制もされましたし。それでもPKで勝ち切れて、僕自身これがプロ初タイトルというか、これまでこういう舞台に立てるところにいなかったのですごく感慨深いし、初めて試合に勝って嬉し泣きというか涙があふれてきましたね」

「苦しいサッカー人生やっと報われた」

ーー試合終了後、文字通り「号泣」だったと思いますが、あの時の感情は?

「僕自身、今までサッカー人生がうまくいかないというか、タイトルに程遠い所でプレーしていて、本当に苦しいサッカー人生というか、プロに入る前から苦しかったし、今まで苦しかったことを思い出しちゃってね…色々と頑張ってきた事がやっと報われたんだなっていう、そういう嬉し泣きでしたね」

ーー難しい試合だったと思うが、自分に与えられたタスクは?

「僕だけというかマンツーマンでつかれていて今日はすごくイヤでしたね。それでも得点するチャンスはあったし、決め切れなかったのは残念でしたけど、チームのためにというか、チームが優勝するために僕個人の出来だったり成績だったりというのはもうどうでもよくて、本当にタイトルが獲りたかったし、そのために頑張りましたね」

ーー後半チャンスを外した時の心境は?

「特に考えていなかったですね。ファンも目の前にいて外したシーンも目の前にいたファンが『次だ、次だ』って言ってくれたし僕自身もこのELでこのチームをたくさん助けることが出来ていたと思うし。そこまで何も考えずに『次チャンスが来たら』っていう感じでいましたね」

「PKなんて気持ち。押し切れた」

ーーPKを蹴った時の心境は?

「今までずっと左に蹴っていて、サッカー人生で初めて今日右に蹴ったんですけどPKなんて気持ちだし『ハセさんか僕が蹴る』って監督に言われていて、ハセさんがPK下手なの知っているから『俺が蹴る』って言って。今日はチャンスで外していたので自分が外して負けていたら最悪の夜になっていたと思うけど、気持ちの面でしっかり押し切れたかなって感じですね」

「めちゃくちゃトロフィー重かった」

ーー長谷部選手と一緒にあげたトロフィーの感触は?

「めちゃくちゃトロフィー重かったッスよ。やっぱりハセさんってすごいなって思いましたね。持ってるなって思いましたし、ファイナルでDF陣が怪我した中で出場機会が回ってきて出たらパーフェクトなプレーを見せているし。38、9歳でCL(チャンピオンズリーグ)に出るんで、彼は言葉では言い表せられないくらいすごいなと思います」

「CL出場は夢。雰囲気が楽しみ」

ーーEL優勝で来季はCLに出場できます、これについては?

「CL出場はやっぱりサッカー選手みんなの夢だと思うし、そういう舞台にこのチームが立てるって言うのは本当に素晴らしいと思う。僕たちのファンはヨーロッパでもすごいファンたちだと思うので、ELでこれだけの雰囲気なのでCLでの雰囲気が楽しみです」

ーーCLで対戦したいチームは?

「正直どこのグループに入っても僕が小さい頃から見ていたチームしかいないので、どことやってもすごくいい経験になると思う。僕自身はずっとCLに出続けたいと思っているので、そういう選手を目指してやっていきたいと思います」

日本代表選出「頑張りたい」

ーー日本代表に選出されたらどういうプレーを見せたい?

「代表は代表でまたチームと全く違う場所だし、やり方も違ったりとか僕自身もチームを切り替えて、違うチームになるので頭を切り替えてやらないとダメだと思うので、まあ頑張りたいと思います」

20日、6月の国際親善試合4試合に臨む日本代表メンバー28人が発表され、鎌田はおよそ半年ぶりに代表に復帰した。W杯への試金石となる強化試合、鎌田がEL優勝で深めた自信を胸にピッチを駆け抜ける。

長谷部誠「欧州でのタイトルは格別」

ーー長谷部選手、EL優勝おめでとうございます

「ありがとうございます」

ーー今の心境を教えてください

「タイトルを獲るという事は改めて素晴らしいことだなと。もちろん個人的にも嬉しいんですけど、ファンとか周りの人たち、クラブに関わる人たちが喜んでくれる。それがより喜びを大きくしてくれますし、そういう意味ではすごく嬉しいです」

ーー初めてのヨーロッパタイトル。これについてはいかがですか?

「ヨーロッパのタイトルといえば、CL、ELくらいしかないので、まあCLよりは下のカテゴリーですけど、そこでもこのアイントラハト・フランクフルトで獲れたというのはすごく意味があると思います。個人的にはこれまでキャリアの中で多くのタイトルを獲ってこれたんですけど、ヨーロッパでのタイトルというのはまた格別ですね」

「自分ができることをピッチの上で」

ーー失点後にピッチに入ったがどういう気持ちで入りました?

「センターバックに何かあったら自分が出るなっていうのは想定していました。後半の早い段階でセンターバックの一人の選手が『足が痛い』っていうことを言っていたので『出るな』っていうのは感じていました。その中で今日何か特別すごいプレーをできるわけでもないので、これまで自分がやってきたこと、それから自分が出来ることをピッチの上でできたらいいなって思ってプレーしましたし、結果が最終的には勝てたのでそれは良かったです」

ーーピッチ上で色々な指示を出していたが具体的にどういう事を?

「試合を外から見ていて、少し落ち着きのない試合をしていたので、自分が出た時は自分たちがボールを保持した時には自分のところでリズムを作って落ち着かせたりとか、長短のパスを使って攻撃のアクセントを加えられたらと思っていました。守備の部分ではとにかくアグレッシブにやろうと思っていたので、自分のプレーは結果が出たので良かったかなと思います」

「大地が蹴って良かった」

ーーPK戦での勝利でしたが、勝敗を分けたものは何だったでしょうか?

「PK戦はメンタリティの部分とかそういう部分が大きいと思うので、時には運も必要だと思うし、レンジャーズに関しても非常にいいチームだったと思いますし、ただ最終的には自分たちの勝ちたいっていう気持ちが上回ったんだと思います」

ーー鎌田さんに聞いたときにハセさんか僕が蹴る様に言われていてハセさんが下手だから僕が蹴ったって言っていましたが?

「最初は120分終わって監督に『行くか?』って言われて『もちろん行くよ』って言ったんですけど、その後に皆のところを回って蹴りたい人が多かったのか分からないですけど、最後は大地か僕か『どっちが蹴る?』って言われたので、大地が『蹴りたい』って言ったので、大地が蹴って良かったと思いますけどね。6人目だったので『回ってこないでくれ』とは思っていましたけど(笑)」

ーー鎌田選手の活躍はどう見ていますか?

「ELで点も取っていますし結果も残していますし、フランクフルトに来てもう4年くらい経ちますけど階段は登っていると思うし、今回のEL優勝にはすごく貢献した選手だと思うので日本では僕より彼を取り上げてほしいと思います(笑)」

ーー昨季「もう一度CLのアンセム」を聞きたいと言っていたのが来季かなう、その心境は?

「CLはヴォルフスブルクの時に一度出たことがありますけど、もちろん特別な舞台ですし、そこに出たいという気持ちは強いですね。来シーズンまた競争が始まると思うし、自分もその競争の場に立ってまたやれる喜びももちろんあるし、こういう年齢になってそういう舞台にチャレンジできるっていうのはすごく幸せな事だなと思います」

「自分たちの戦いは優勝に値する」

ーー鎌田選手と上げたトロフィーの感触、重さはいかがでした?

「トロフィー自体はすごく重かったですね。重かったですけど今シーズンの自分たちのELでの戦いは本当に優勝に値する戦いをしていたと思うので良かったです」

長谷部は来シーズン13年ぶりにヨーロッパ最高峰、チャンピオンズリーグの舞台に立つ。

[UEFA Europa Leage Final  アイントラハト・フランクフルト1-1(PK5-4)レンジャーズ 2022.05.19(日本時間)]

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