使い道の「ある」「なし」は、「知恵と工夫」次第。建材メーカーが手掛けた端材活用プロジェクト。その画期的な取り組みを取材。

貴重な積み木を作ったのは…

こちらは、広島・東広島市の豊栄にある認定こども園とよさか。

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園児たちが楽しそうに遊んでいるのは積み木。

認定こども園とよさか・長光英子さん:
これは、豊栄町の「プレックコンポーネント」から提供いただいき、園の方で使わせていただいています。木のおもちゃって、お値段が高いんですよね。積み木っていうのは、なかなか使えないので、提供していただいて、すごく喜んでいます

「プレックコンポーネント」? 玩具をつくるメーカー?

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
私共は、ツーバイフォー住宅の壁、それから床、屋根、いわゆる骨組みをつくっている所で、ビルダーからいただいた図面に基づいて製作し、ビルダーが現場で組み立てられます

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
これはマルチカットという機械です。木材を機械に流して四角い箱の中でカットし、向こう側へ送り出します

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
短いものは、このベルトコンベアで外に出てきます。その中に、こういう端材が出てきます。こういう短い物、大きい物

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
建材メーカーということで、毎日大量の木材を加工します。そうした過程で、どうしても発生するのが、中途半端な長さで使い道のない端材

発端は「使える材料捨てるのは、もったいない」

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
見ていただいたカゴも、一週間ぐらいで一杯になりますし、その都度、何箇所かに集めたものを業者に引き取ってもらうという形でやってますけども…

日々、大量に出る端材をただ処分するのはもったいない。そこで、2020年から端材活用プロジェクトが立ち上がった。

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
わたしも日曜大工が好きなものですから、そういう材料を見ると、勿体ないなぁ、まだ使えるよなぁとか思いながら見てました。で、どうしようかなぁと考えてあぐんでいた時に、積み木にして保育所に配ってみましょうか、というところから今回の流れが始まっております

積み木のかど取りには意外な手間が…思いがけない「仕掛け」で簡単に。

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
こちら保育所にお配りしたものと同じ、積み木の材料になるものです。これを、最初は機械でひとつずつ研磨していたんですけど

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
とてもじゃないけど、これはやっとられんなということで、ふと思いついたのが私の知人の方で、ご自宅で左官業をされていて、もう左官を辞められたお宅で雨ざらしになっていたコンクリートミキサー、これを使ったらなんとかなるかなと…

そこで、ミキサーの中にピッタリはまる樽をつくり、その内側にヤスリを貼ったお手製の研磨機械を作った。樽の中に端材を入れて回転させること1時間。

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
出来上がったのがこれ、角の取れたものになります。

研磨機械にかけたことで、ささくれは無くなり、ほどよく角が取れていることが分かる。

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
これのおかげで、あの機械でずっと削っていく必要が無くなりました。この機械に入れると、そのままにして他の仕事ができる。これが無かったら、もうやめてます

園児は木の匂いのする積み木に大喜び

出来上がった積み木は、地域の保育施設に提供された。

認定こども園とよさか・長光英子さん:
同じ豊栄町ということで、声を掛けていただいて、それは是非、園の方にいただきたいと。色んな形に積み重ねてみたり、音を鳴らしてみたりという風に、自分たちで工夫しながら遊ぶことが出来ますので、とても良いモノを提供していただけたと思っています

認定こども園とよさか・長光英子さん:
木の匂いが少しするんです。市販の物とは手触りも全然違いますので、木に親しむというところも考えながら、自然に目を向けるという部分を大事にしたいと思っています

積み木は地域の保育施設から引っ張りだこに

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
正直なところ最初は「どうかなぁ」とか思いながら、「こんな木の端くれのようなもので、子どもたちが喜んでくれるかな?」と半信半疑だったんですけども、地元の園と懇意にしている隣町の保育所の方から「うちも欲しい」と言われて…アラララ?と思いながら、そんなに良いの?と。こっちは全然思っていなかったんです。子ども達がこんなに喜んでいるのを見て、「あ、こんなに喜んでくれるんだ。こんなに木っていいんだね」と思って

積み木から始まった端材の輪が地域に広がる中、社内で作品コンテストを開催するなど、端材への意識を高めている。こちらは、2021年の最優秀賞を獲得したミニドレッサー。

製作者:
最初は別の物をつくっていたんですけど、子どもが「もっと面白い物つくれ」と。「もっと工夫しろ」とか色々言われて、それでドレッサーという形になりました。捨てられるだけだとやっぱりもったいないので、自分でも何かできることがあればこれからもやっていこうかな、と考えています

端材コンテストの作品は、地域の方にも見てもらい、DIYの参考にしてもらっている。

廃材でも知恵と工夫で地域に貢献できる

プレックコンポーネント・重光啓佑さん:
うちから出るものが、一般的に言えば産業廃棄物ですから、それがこういった形で有効な形で使って頂けるというのは、これ以上のものはないと非常に思いますので、色んな保育所で机をつくる、台をつくる、踏み台をつくる、そういったことを踏まえて、うちの方でこれはこれで使えるから、とっておこうねとか、常日頃からそういうのを準備して提供する形ができればいいなぁと思っています

(テレビ新広島)

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