今月27日に気象庁が発表した「噴火浅根」の噴火について上空から観測した専門家は「噴火浅根が噴火した根拠がない」としたうえで噴火浅根からおよそ5キロ離れた、活火山ではない北硫黄島が噴火した可能性があると指摘しています。
小笠原諸島の硫黄島の北にある海底火山「噴火浅根」が噴火したとして気象庁は今月27日深夜に周辺海域に噴火警報を発表しました。

これについて、今月29日に海上保安庁の航空機で上空から観測した東京工業大学の野上 健治教授(火山科学)は「噴火浅根の噴火ではなく、活火山ではない北硫黄島の噴火の可能性」を指摘をしています。

東工大・野上教授:例えば、海面が濁っているとか、噴出物が漂っているとか、そういう色々なものが本当は伴うが、見に行った時点で全く痕跡が無い。噴火の場所は噴火浅根からずれていて、全く違うと言って良い。断言はできないが北硫黄島の噴火の可能性がある。

野上教授は、海上保安庁の航空機で、今月29日、噴火浅根を上空から観測しましたが、周辺で軽石や変色域などは確認されなかったということです。

JAXAの気候変動観測衛星「しきさい」が噴火当日の今月27日に撮影した画像では北硫黄島から噴煙が上がっていることが確認されています。北硫黄島の沿岸部では、2018年ごろに海域火山活動の際に発生する現象である海水の変色が確認されています。
東工大・野上教授:活火山ではない北硫黄島が噴火したのであれば相当珍しい。その場合、航空路にも影響するし、火山灰が出れば航空システムや船舶にも影響がある。

これに対して気象庁は「北硫黄島と噴火浅根は近い場所にあり衛星画像では分解度の問題でどちらが噴火したかは断定できない」としています。
野上教授は、29日の飛行では北硫黄島の上空は雲で覆われ噴火の様子を目視で確認できなかったため、再び上空から観測し、噴火後に見られる地形変化などを確認することで、噴火した場所の特定に繋げたいとしています。