就職活動中の学生たちに見てもらおうと、"ある組織"の採用PR動画が話題を呼んでいる。
まるでテレビゲーム? PR動画で"お堅い"イメージ払しょく
(動画の中のやりとり)
「今回、キミには2地点を最適なかたちで結んでほしい。2つの河川が流れる山が間にある」
「ええとトンネルがある! これなら楽勝! …アレ? めちゃくちゃ怒られました! 」
「予算オーバーだ! 」
まるでテレビゲーム。動画サイトで5月上旬から公開されている職員募集のPR動画だ。

ちょっとおカタいイメージの、その組織とは…?
「この組織の名は、国土交通省 北海道開発局」

でもこの動画、北海道開発局公式のものではなく"非公式"。どういうことなのだろうか?
北海道開発局開発管理部・藤田望人事課長:
採用活動で苦労をしていたり、若い人に仕事をどう伝えるか、と考えている職員が、個人的に「このようなものが必要」と考えた。そこに民間の人が協力したと聞いている。民間の人が中心になったことから、非公式で使わせてもらっている

北海道開発局の公式の採用情報サイト。いかにも「お役所」といった感じだ。

そんな堅いイメージを変えたいと、開発局のある職員がPR動画を思いついたのがきっかけ。
その職員の名を開発局は明かさなかったが、ヒントとなった同じくおカタいイメージのある組織のビデオを教えてくれた。
ヒントは"専門用語"のラブソング 「儲け度外視」プロが本気で制作
「恋のトータルステーション」。

北海道測量設計業協会のサイトで、2年前から公開されているイメージソング。
歌うのは測量技師4人組のユニット「測量BOYZ(ボーイズ)」だ。

測量技師の専門用語を散りばめたラブソングで、高齢化が進む測量業界をPRしようと作られた。
この曲をプロデュースした札幌のクリエーターと、北海道開発局の「某職員」が知り合いだったことから、動画の制作がスタート。
賛同したクリエーター7人が、儲けを度外視で集まった。製作費については、某職員が私費で負担したということだ。
その一人が、企業のCMなどを手掛ける監督の高橋成さんだ。

株式会社リアクター・高橋成監督:
音効技師・声優・ナレーターも、普段はCMなどで活躍するプロ

「役所ではできない」軽いタッチで"やりがい"PR
テーマは、北海道開発局の仕事の難しさとやりがいを、軽いタッチで楽しく伝えることだ。

(動画より)
「山をぐるっと迂回(うかい)して、橋だけにした方が安くなりませんか? ぐるっと道を配置して、できました! 」
「この警告は? …君が提案した超迂回ルートの途中に、希少動物の営巣域があったようだ! 」

高橋さんが参考にしたのは、1990年代に流行した都市開発をテーマにしたシミュレーションゲームだった。

株式会社リアクター・高橋成監督:
道路をつくるだけでなく、道路づくりで問題になる点をシミュレーションする。その上でつくるという面白さが伝わるのが、ゲームという表現と考えた

その出来栄えに、北海道開発局の人事担当責任者も…
北海道開発局開発管理部・藤田望人事課長:
役所の堅い情報だと、入口の段階で興味を持ってもらえなくなる。役所にはカバーできていない部分をカバーしてもらっていると思う

実は開発局には30代の職員が極端に少なく、若い世代の職員募集が大きな課題になっている。

非公式な動画で、採用希望者が増えることを目指す。
(動画より)
「我々は君のミッション参加を待っている」
(北海道文化放送)