ひらがなの形は似ているようで違う。一番難しいのはどれだろう。そんな疑問を研究した、子どもの取り組みが注目されている。

挑んだのは、宇都宮大学共同教育学部附属小学校に通う、1年生の吉田璃華さん(7)。2021年の夏に自由課題として「ひらがなで一番難しい文字」を調べることにしたのだ。

吉田璃華さん(提供:璃華さんのご家族)
吉田璃華さん(提供:璃華さんのご家族)
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調査方法はユニークで、(1)ひらがなの画数と(2)ひらがなの形から難しさを数値化し、合計点を比べるというもの。(1)は1画なら1点、2画なら2点…のように、画数に応じて加点する。

(2)は璃華さんが、運筆(鉛筆や筆の動かし方)の練習で難しいと感じた形があるかどうか。苦戦した度合いに応じて「ジグザグ」を1点、「フワフワ」を2点、「クルクル」を3点とし、これが文字に含まれている回数分だけ加点(例えば、ジグザグが2つあったら2点を加点)した。

青がジグザグ、黄色がフワフワ、赤がクルクル(提供:璃華さんのご家族)
青がジグザグ、黄色がフワフワ、赤がクルクル(提供:璃華さんのご家族)

一番難しいのは「ぬ」!簡単なのは?

この条件で50音を調べた結果がこちら。一番難しかったのは…「ぬ」。画数は2点だが、フワフワが1つ、クルクルが2つで形は8点。合計は10点となり、最も点数が高かった。

次点で高得点だったのは、合計が9点の「ね」、8点の「あ」「む」「お」など。逆に最も点数が低かったのは、合計が2点の「く」「へ」だった。曲線が多くある文字が難しかったようだ。

50音をなぞって付けた点数表(提供:璃華さんのご家族)
50音をなぞって付けた点数表(提供:璃華さんのご家族)

璃華さんは考察などを直筆していて、それによると「ぬ」はやっぱり上手に書けなかったそう。「く」「へ」は簡単だが、文字のバランスが難しかったともいう。子どもながらもしっかりとした考えで結果が導き出されている。

考察などを直筆している(提供:理数教育研究所)
考察などを直筆している(提供:理数教育研究所)

そしてこの取り組みが、しっかり評価された。璃華さんの研究を、子どもの数学的な見方や考え方を育むことを目的とした、2021年度の「第9回『算数・数学の自由研究』作品コンクール」(主催:一般財団法人 理数教育研究所)に応募したところ、全国の小中高から寄せられた1万7429作品のうち、独創的な作品を選ぶ「中央審査委員特別賞」に選ばれたのだ。

コンクールの概要(提供:理数教育研究所)
コンクールの概要(提供:理数教育研究所)

理数教育研究所によると、ひらがなの難しさという心情的な面を「ジグザグ」「フワフワ」「クルクル」に分けて点数化したこと、予想をたて実際に確認する姿勢などを評価したという。

きっかけは「なんでだろう?」という疑問

努力が報われることになったが、なぜ、ひらがなの難しさを調べようと思ったのだろう。今回の出来事について、璃華さんの家族を通じて聞いてみた。


――難しいひらがなを調べようと思ったのはなぜ?

ひらがなを習って練習している時に、書くのが難しいひらがなと簡単なひらがながあって、なんでだろう?、と思ったからです。


――ジグザグ、フワフワ、クルクルはどう難しい?

ひらがなを習う前の運筆の練習でなかなか上手に書けませんでした。「ジグザグ」は、同じ高さに山を書くのが難しくて、「フワフワ」は同じ幅に丸く書くのが難しく、「クルクル」は同じ大きさの丸を書くのが難しかったです。


――「ぬ」はどう?他に難しかった文字はある?

「ぬ」は、「クルクル」が2つ、「フワフワ」が1つあって、特に最後の「クルクル」が上手に書けませんでした。最後の「クルクル」がない「め」の方が上手に書けます。「ね」「む」「を」は難しかったです。

「ね」は、「ジグザグ」が2つ、「フワフワ」が1つ、「クルクル」が1つと全部入っているのでとても忙しいひらがなです。「む」は「クルクル」から「フワフワ」になるところで、だるまさんのように転びそうになってしまいます。「を」は上と下で分かれていて、大きさのバランスが難しいです。

「ぬ」が難しいと予測もしている(提供:理数教育研究所)
「ぬ」が難しいと予測もしている(提供:理数教育研究所)

――簡単だったひらがなは?

「く」と「へ」です。どちらも一画で「ジグザグ」が1つだからです。でも、「ジグザグ」の長さを考えないとかっこよく書けないので、そこは難しいです。あと、「い」「こ」「し」も簡単に書けるひらがなだけど、バランスが難しいです。

ひらがなも上手に…カタカナや漢字も調べてみたい

――今回の取り組みで変化などはあった?

ひらがなのどこに「ジグザグ」「フワフワ」「クルクル」があるのかが分かったので、そこに気をつけると上手にひらがなを書けるようになりました。また、国語のことでも算数の足し算を使えば、どれが一番難しいのか比べることができると分かりました。

ひらがなを練習する璃華さん(提供:璃華さんのご家族)
ひらがなを練習する璃華さん(提供:璃華さんのご家族)

――特別賞に選ばれた感想を教えて。これから調べたいことはある?

とても嬉しいです。賞をもらったことで、新聞に載ったのも嬉しかったです。取材も楽しかったです。カタカナや漢字も同じように研究してみたいです。他にも算数を使って研究できることがないか、探してみたいです。


璃華さんは4月から小学2年生となるが、既に夏休みに何をテーマに研究するか、考えているという。子どもの好奇心と成長には驚くばかりだ。これからにも期待したい。