新型コロナウイルスに感染し、いったん治療は終わったが、その後も明らかに「体調がおかしい」という人がいる。しかし、それがコロナの影響なのか、どう対処すれば良いのかもわからず、不安な日々を送っているという。

まだ、コロナの後遺症に関する理解が進んでいない中、こうした「後遺症難民」が増えていると医師は指摘している。

せきや頭痛以外に…匂いがしない、脱毛も

広島市医師会常任理事・三上裕一郎院長:
オミクロンは発症してからまだ間が経ってないので、どういう後遺症があるかというのは、実はまだはっきりしていない。症状は多彩なんです。せきが出たり、頭が痛いとか、そういう内科的なことだけでなくて、例えばずっと匂いがしないという耳鼻科的なこと、あるいは脱毛。そういう皮膚科的なこと

広島市医師会常任理事・三上裕一郎院長
広島市医師会常任理事・三上裕一郎院長
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人によってさまざまな症状が出ているということで、ほかにも「味が全くわからず、何を飲んでも水みたい」「揚げ物からガソリンのような臭いがして食べられない」「ドライヤーを使うのもしんどい」「眠れない」「体中が痛い」「髪の毛がごっそり抜けた」など。

どのような症状が出るか、わからないというのが気になるところ。

こうした症状が長期間にわたって続く人もいるということで、医師は、そこがコロナの恐ろしいところでもあると指摘する。

広島市医師会常任理事・三上裕一郎院長:
「コロナなんて風邪と一緒」とか、「インフルエンザと一緒」とか特に若い人は思うんだけど、そうじゃないんですよね。後遺症があるんですよ。だから、ずっとつらい思いをするっていう風なことが出てくる。後遺症っていうことを考えても、このコロナとインフルエンザってのは全然違うんですよ。インフルエンザって後遺症がないですから。だけどコロナの場合は後遺症があるんですよ、多くの方に。だからずっと苦しむことになる。このところが、決定的にインフルエンザと違うところなんですね

県内の累計感染者の3割が後遺症に悩む

3月8日時点で、広島県内の新型コロナの感染者は、累計で7万9000人を超えている。

県の調べによると、そのうちの30%以上が、入院や療養を終えても、なんらかの後遺症に悩んでいるという。このデータを単純に当てはめても、県内で実に2万3000人が、なんらかの後遺症に苦しんだ可能性がある。

後遺症が長引くことで、深刻な事態に陥るケースもあるという。

広島市医師会常任理事・三上裕一郎院長:
一番困るのは、メンタル的なことですね。後遺症でメンタルをやられてしまう。たとえば思考力が低下するとか、集中力が低下するとか、いつも頭に霧がかかっているような状態になる方もあります。メンタル的なことっていうのはとても深刻だと思うし、実際にそれで命を絶たれるような方もおられるんですよ

心身ともに追いつめられる。症状が長引くことで、さらに精神的にも追いつめられてしまうという人も多いという。

後遺症治療に対応…全県へ広がりに期待

こうした事態を防ぐ一番の方法は、「新型コロナに感染しないこと」だが、後遺症への対応に理解を深めることも大切。

こうした中、広島市医師会は後遺症治療に対応している市内の医療機関の情報を公表している。
広島市では、約130カ所の医療機関が後遺症治療に手をあげ、対応している。

「なにが後遺症かわからない」と悩んでいる人も多いといい、後遺症かどうかわからないという人の相談にも応じているという。

この取り組みは、広島市医師会独自のもので、今後、全県に広がることが期待される。

(テレビ新広島)

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