年間100台から150台製造…江戸時代から続く太鼓店

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愛知・岡崎市に江戸時代から続く太鼓店がある。本来なら春の祭りに向けて多忙な時期だが、コロナの影響で祭りは中止となり厳しい状況が続いている。
そんな中、伝統を受け継ぐ6代目の男性は、学校のクラブ活動向けの太鼓の製造や、バチ作りのワークショップなど、従来の太鼓以外の新たな取り組みを始めている。

愛知・岡崎市で江戸時代から150年以上続く「三浦太鼓店」。この日、店では太鼓の皮を張り替える作業を行っていた。

大きな皮の上に大人が3人…。良い音が出るよう、皮を限界まで伸ばすために踏んでは引っ張る作業を繰り返す。

製作中の太鼓には、こんなものもあった。

六代目の三浦和也さん:
すごいでしょ、1本のケヤキのくり抜きの太鼓。個人で、地元の氏神様の神社再建にあたって寄贈される

約1千万円というケヤキの大太鼓。六代目の三浦和也さんは、このような仕事は脈々と受け継いできた店への地域の信頼があってこそと話す。これまで、年間100台から150台の受注を受けてきた。

岡崎の太鼓作りを守るために…未経験者を職人に育て、自社生産

例年なら今頃は春祭りに向けて、太鼓の修繕で忙しい時期だというが…

三浦和也さん:
この2年丸々止まっています。地域のお祭りも

コロナで祭りの中止が続き、受注は1割ほどに激減。2022年も春祭り用の仕事はほとんどない。それだけでなく、他にも問題が…

三浦和也さん:
外の職人さんが廃業したり、後継者がいなくて辞めちゃう

かつて店では、太鼓の皮張りを主な仕事としていたが、10年ほど前から他の部品を製造する職人が減少。岡崎の太鼓作りは存続の危機に瀕していた。そこで、和也さんが下した決断は…

三浦和也さん:
自分たちの手で内製化するしか、この音作りを守れない

事業規模の縮小ではなく、「職人を育てる」こと。未経験者を募集し、イチから太鼓作りを教えている。以前は小さな工房を使って家族だけで製造していたが、現在は10人にまで職人が増え、太鼓を自社で生産できるまでになった。

楽器としての太鼓に注目…伝統の技生かした次世代の太鼓作り

和也さんは、祭りや神社仏閣で使われる従来の太鼓の製造だけでなく、新たな取り組みを始めている。それが、胴の部分が桶で作られている桶胴太鼓(おけどうたいこ)。この太鼓に力を入れる理由が…

三浦和也さん:
楽器として太鼓を使う文化が、小学校、中学校のクラブ活動などで誕生している

太鼓を次の世代にも使ってもらうために、軽くて価格も安い“楽器としての太鼓”の可能性に注目していた。
しかし、桶職人から教わった桶胴太鼓の製造は簡単ではなかった。普通の桶と違い、桶胴太鼓の銅の中央部分には膨らみが。この膨らみがないと、太鼓独特の音が出ないのだ。

三浦和也さん:
どうやって独特な膨らみを出すか。両端少しずつ余分に削り出すと隙間が。この上と下を、竹のタガを使って絞めあげることによって、自然と特有の膨らみが

桶胴太鼓は、板の枚数や長さを変えることでサイズ変更もできる。色や皮の材質、紐の色まで細かくオーダーすることができ、オーダーメイドで「世界にひとつだけの太鼓」が作れる。この日は、豊川市の高校生が所属する太鼓チームで使うものの注文にきていた。

豊川市の高校生:
自分好みの太鼓が出来ると思うとワクワクします

伝統の技を生かした、次世代の太鼓作りだ。

一人でも多くの太鼓ファンを…自分専用のバチ作るワークショップ企画

和也さんは、底板を入れる技術を習得し、調理にも使える桶も製造している。
そして今 力を入れているのが、太鼓作りのワークショップだ。この日は、山で切り出した竹で参加者と竹バチを作った。

参加者の男性A:
バチは普通のしか持ってなくて、竹のバチは無いので

参加者の男性B:
すごく大変ですけど、ワクワクが止まらない

ワークショップは”参加無料”のため儲けはないが、そこには和也さんのある思いがあった。

三浦和也さん:
太鼓は日本の伝統的な楽器なので、昔の人が培ってきた知恵とか大切なものを、広く一般の人たちに

太鼓ができる過程を知ってもらうことで、伝統や職人の技に触れてほしい。和也さんの願いだ。

参加者の男性C:
自分に馴染んだバチができました

参加者の女性:
自分専用の、自分で作ったのができて満足

三浦和也さん:
ありがたいことに、いま三浦太鼓店は若い職人が支えてくれているので心強い。何とか耐え忍んで、これからも今日できることを真剣に向き合っていけたら

一人でも多くの太鼓ファンを…6代目の奮闘は続く。

(東海テレビ)