3月2日放送のBSフジLIVE「プライムニュース」では、ガルージン駐日ロシア大使を迎えた。ウクライナをめぐるロシア軍の行動の真意、大義は何なのか。小野寺五典元防衛相とともに直接大使に疑問をぶつけ、徹底議論した。

隔たり大きい停戦協議、ロシアに話をまとめる意思はあるのか

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新美有加キャスター:
2月28日に行われたロシアとウクライナの代表団による1回目の停戦協議で、ロシア側はウクライナの非武装化・中立化などを要求。ウクライナ側は即時停戦と、クリミア半島や東部地域を含めウクライナ全土からのロシア軍の撤退を要求しました。双方の主張に大きな隔たりがあり結論は出ず。2回目の停戦協議に向けては。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
国際社会と名乗る国々が8年間気付いていなかった、ウクライナ政権によるウクライナ東部の住民に対する虐待、経済的な封鎖、そして空爆を含めた武力行使という、ナチスそのもののやり方を我々は厳しく非難している。8年間で山積した問題を1回の協議で片付けることができるかは疑問。これから2回目の協議に入ると思う。

小野寺五典 元防衛相:
非武装化や中立化というロシア側の要求は、ウクライナが主権を全く維持できなくなる。とても交渉するような状況ではない。また、交渉中にもロシアは攻撃を続けていた。ロシアの意図は本当に話をまとめることにあるのか。大使の言うように、ウクライナ東部で本当に非人道的なことがあったのなら、なぜ中立な国連人権高等弁務官が把握していないのか。なぜ常任理事国であるロシアが安全保障理事会で提訴して、話し合いで解決しないのか。それを飛ばして、国連憲章違反である武力行使が行われている。

小野寺元防衛相「武力行使の理由は言い訳。これは侵略」

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使

反町理キャスター:
なぜいきなり武力行使なのか。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
国連を中心にここ7年間、外交努力を続けてきた。2015年にウクライナ政府とドネツク政府・ルカンスク政府との間にミンスク合意が署名され、国連安保理から全会一致で承認され、国際法の一部になった。だが7年間、ウクライナ政府が直接対話を拒否し、空爆を含めた武力行使で制圧しようとした。またNATO(北大西洋条約機構)はここ30年間に渡り、16カ国から30カ国まで加盟国を増やした。ロシアを敵対勢力と見なし、軍事配置をロシア国境前まで接近させた。ウクライナをNATOの加盟国にさせ、対ロシアの攻撃拠点を作ろうとしているのではと心配している。ウクライナ自身も、自らの安全保障に関する綱領の中で、クリミアの返還について武力行使まで許している。そこで「特別軍事作戦」を開始した。

反町理キャスター:
今の大使の話は、ロシアの軍事力行使の根拠として正当化されるか。

小野寺五典 元防衛相

小野寺五典 元防衛相:
全くされない。NATOが広がったことは、今回のような力による現状変更を行い周辺国を心配させるロシアに責任がある。ウクライナの問題は、2014年にロシアがウクライナのクリミアに侵攻して今でも不法占拠しており、東部の一部にも影響力を残したことが基本にある。今回、ロシアは東部だけでなく一足飛びに首都であるキエフを攻撃し、ウクライナ全土の主要な軍事基地を中心にミサイル攻撃を行った。大使の言う武力行使の理由は言い訳。話し合いが意に沿わないから武力で侵略しようという意図にしか見えない。今日の話を聞き、これは侵略だと改めて確信した。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
我々の目的は、東部の住民の擁護だけではなくウクライナの非軍事化、非ナチス化。ウクライナを占拠する意図は一切ない。あたかもロシアが一般市民の生活しているところを空爆しているかのような動画が放送されているが、我々の軍が攻撃をしているのは軍事施設だけ。

反町理キャスター:
ハリコフの市庁舎が爆撃された映像があるが、ロシアの攻撃ではない?

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
おそらくウクライナ軍による誤射。キエフでアパートが破壊されたという映像があったが、我々の国防省の発表によると、これもウクライナの対空防御関係のミサイル誤射だった。

小野寺五典 元防衛相:
クリミアを力によって占領しているのに、今回占領することはないというのは信じがたい。また今後、残骸等からどこのミサイルか検証できると思うが、どう考えてもロシア側が市街地を含め相当の攻撃をしている。危険な段階に入ってきた。ぜひやめていただきたい。

反町理キャスター:
大使は、ロシアの軍事力行使は正しいと。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
私は正しいと言っています。これは特別軍事作戦、戦争ではない。アメリカがユーゴスラビア、イラク、リビアで武力を行使したとき、正しいかとお聞きになりましたか?

反町理キャスター(左)、ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使

反町理キャスター:
「アメリカの実力による現状変更を西側諸国が強く批判しなかったから、ロシアの武力行使も批判しないでくれ」ということですか。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
そういうことですよ。

反町理キャスター:
つまりそれは、何か悪いことをやっていると認めていることになりますよ。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
二重規範を使ってはならないということ。NATOの我々への批判は成り立たない。

小野寺五典 元防衛相:
NATOが固まって今回のロシアのようにどこかの国を侵略したことはない。それに加盟国はそれぞれ主権国家。国民の意思でNATO加盟を判断しており、そこに強制はない。

大使「ウクライナ国民を尊敬。緩衝地帯とはみなしていない」

新美有加キャスター:
昨日(2月1日)出演のコルスンスキー駐日ウクライナ大使が、「ロシアはウクライナをNATOとの戦いの緩衝地帯にしたいだけ。国内外に対して政策を持つ国になってほしくない」と発言。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
ウクライナとロシアは極めて多くの絆で今まで結ばれてきた国。我々ロシアはウクライナ国民をとても尊敬しています。緩衝地帯とはみなしていない。しかし残念ながら、2014年のクーデターの結果として過激派が権力の座についた。ウクライナの兵士たちに言いたい。戦争はいずれ終わる。あなたたちはもうすぐ負ける。あなた方の砲撃で亡くなった子どもたちに懺悔・謝罪の祈りを捧げてくれと。

小野寺五典 元防衛相:
2014年のユーロマイダン革命では、ヤヌコビッチというかなり腐敗した親ロシアの大統領が国民から嫌われ、逃げるようにウクライナを抜けた。その後、ロシアと距離を置こうというポロシェンコ大統領が民主的な選挙で選ばれ、今のゼレンスキー大統領に繋がっている。ロシアは、ロシアと距離を置く大統領はネオナチだとレッテルを貼り、だから攻撃しても構わないと自分たちの都合のいいことを言っている。力によって一方的に他国を制圧しようとするロシアこそ、ナチス化している印象。

プーチン大統領の核使用言及、合理的判断か疑問

新美有加キャスター:
プーチン大統領の発言が波紋を広げています。「ロシア軍の抑止力を特別警戒態勢に置くことを命じる」。核兵器使用の可能性に言及し、西側諸国を強く牽制。

小野寺五典 元防衛相:
プーチン大統領自身が2020年に、ロシアが核兵器を使える要件をドクトリンの形でまとめている。しかし今回、その要件にない経済制裁に対して核を使うと捉えられかねない言い方をしている。本当に合理的な判断ができているのか。これは戦略核で、一歩間違えば世界の破滅。非常に心配。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
プーチン大統領の発言では、核という表現を一切使っていない。

小野寺五典 元防衛相:
安全保障の専門家であれば皆、今回のプーチン大統領の指示は核の準備をしろという意味だと思う。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
NATOではアメリカ、イギリス、フランスが核兵器を保有している。我々は抑止力の体制を必要なレベルで維持しなければならない。

小野寺五典 元防衛相:
核弾頭の数も、戦略・戦術の核兵器も、それらの国をはるかに超える数を持っているのがロシア。今回、アメリカのバイデン大統領もNATOの事務総長も軍事介入を否定している。核に言及するのは合理的ではない。

ロシア大使館「日本はナチス支持」に小野寺元防衛相「怒りを覚えた」

新美有加キャスター:
視聴者からのメール。「ガルージン大使へ。駐日ロシア大使館が『日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持』とツイッターに投稿した真意は」。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
その直前に日本が、いわゆる北方領土の占拠と今回のウクライナへのいわゆる侵攻が、両方とも国際法違反だと公の場で言った、不当・不正に非難されたことへの反応。

小野寺五典 元防衛相:
大変怒りを覚えた。今まで一度も北方領土が他国の領土になったことはない。日本の敗戦近くにソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破り、今でも不法占領されている。これにナチスを絡める言い方は、日本として決して承服できる話ではない。

反町理キャスター:
メールをもう1通。「現在、ロシア国内で発生し、多くの拘束者が出ているロシア市民によるウクライナ侵攻反対デモについてどうお考えか」。

ミハイル・ガルージン 駐日ロシア大使:
ロシアは集会、言論の自由が憲法上保障されている。そして、いかなる集会もしかるべき法的な手続きをとって行うことが法律の規定。必要な許可を取らずに集会を組織した人に警察が措置をとったと理解している。

BSフジLIVE「プライムニュース」3月2日放送

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