新型コロナウイルスは、文化芸術にも大きな影響を及ぼしている。特に音楽家は、人前での演奏活動が難しい状況が続いている。
こうした中、はやりのJーPOPを琴で演奏し、その動画をSNSで発信している琴奏者の女性が福井・鯖江市にいる。多くの人に琴の魅力を広めたいと奮闘する姿を追った。

琴への古いイメージを壊す

鯖江市出身の琴奏者・後藤礼奈さん。流行のJーPOPを自らアレンジして琴で演奏。
それをTikTokやYouTubeで3年半前から発信している。始めたきっかけは琴に対する、あるイメージからだった。

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琴奏者・後藤礼奈さん:
(琴は)古臭いと思っている人が多いが、そのイメージを壊したくてSNSの活動を始めた

後藤さんが琴を始めたのは3歳のころ。琴の先生をしていた祖母と母の影響だった。
本格的に琴を勉強したいと、大学は名古屋の音楽大学に。卒業後は福井に戻り、祖母や母と同じ道を進んだ。

琴奏者・後藤礼奈さん:
お仕事にするとは思っていなかった。やっていくうちに、琴がどれだけ広まっていないか、どれだけ敷居が高くて近寄りがたい楽器だと思われているかということを、高校生・大学生になるにつれて感じて…私が広めていけたらいいなと思って、琴奏者になろうかなと思った

4年前には琴教室を開き、その魅力を伝えている。現在は小学生から主婦まで、11人の生徒を教えている。

琴教室の生徒:熊谷梨伽さん:
優しくて細かいところまで丁寧に教えてくれる先生

琴教室の生徒:熊谷唯伽さん:
琴でこんな曲弾けるんだと思った。難しい曲を弾くのが楽しい

日本だけじゃなく海外からの反響も

教室を開く傍ら、琴奏者として人前での演奏活動も行ってきたが、新型コロナの影響で発表の場が減少。
そんな時に頭に浮かんだのが、コロナ禍以前から続けてきたSNSでの演奏動画の発信だった。

この日は、TikTokに投稿するための演奏動画を撮影した。多くの人の目に留まるように、流行のJーPOPなどを選曲。投稿頻度を増やすことで、フォロワー数はコロナ禍以前の3倍に増えた。

琴奏者・後藤礼奈さん:
最初から結構反響あった。「新しい!」とか「斬新!」という声が結構あって、アニソンとかJーPOPを弾いたのがきっかけで、みんなに見てもらえるようになった。海外の人からの反響もある

コロナ渦で演奏活動が出来ない…そんなピンチを、SNSの活用でチャンスに変えた後藤さん。琴の魅力を、国内だけではなく海外の人にも伝えるきっかけができたと胸を張る。

琴奏者・後藤礼奈さん:
古臭いとかイメージを持っている子が多いが、鑑賞で「鬼滅の刃」の「紅蓮華」とか弾くと盛り上がってくれて、こんな音が琴も出せるんだと感じてもらっている

琴奏者・後藤礼奈さん:
演奏活動やSNS活動を、これからも変わらずにやっていきたい

琴の音色をもっと多くの人に届けたい。後藤さんの挑戦は続く。

(福井テレビ)

福井テレビ
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