カレーの作り置きに注意!

6月、消費者庁がある注意を呼び掛けた。
それは『カレーの作り置きに注意』というもの。
子供から大人まで、みんなが大好きなカレーは、作ったその日よりも、一晩寝かせた2日目の方が美味しいと言われているため、作り置きをしている人も多いのではないだろうか。
気温も湿度も高くなる梅雨の時期、その作り置きで注意しないといけないのは、食中毒だという。

消費者庁によると、カレーや煮物などの煮込み料理を作り置きすると、『ウエルシュ菌』という菌が増え、食中毒になる恐れがあるというのだ。
しかもこの『ウエルシュ菌』、熱を加えたとしても、死滅させるのは難しいという。
あまり聞き慣れないこの『ウエルシュ菌』とは、一体どんな菌なのだろうか。
100℃に加熱しても完全には死滅しない

厚労省によると、『ウエルシュ菌』による食中毒の発生件数は、2016年度に31件起き、1411人が食中毒に、そして2017年度には27件、1220人が食中毒となっている。
この『ウエルシュ菌』は、そもそも土のなかに存在していて、根菜などの野菜に付着してカレーの中に入る可能性があるというものだ。
そして、“菌”というからには加熱をすれば良さそうだが、東京大学農学生命科学研究科・関崎勉教授によると、100℃に加熱したとしても完全には死滅することは無いそうだ。

調理したカレーの中に『ウエルシュ菌』が約100個いた場合で考えてみると、その恐ろしさが具体的に見えてくる。
調理中は一気に加熱するため増殖はしないが、20℃から50℃の温度では10分で2倍という爆発的なスピードで増殖する『ウエルシュ菌』は、調理後に常温で放置すると、100分後にはなんと約10万個まで増える。
この10万個という数は、普通の人が食中毒を起こす数だと言われている。
その後、菌が増えたカレーを100℃で再加熱したとしても、熱に強い『ウエルシュ菌』は死滅しない為、食中毒になる危険性があるそうだ。
そのため、いかに菌の増殖を防ぐかがポイントとなってくる。
食中毒を防ぐためには?

熱に強く、菌の中で一番増殖が早いと言われる『ウエルシュ菌』。
どうやって食中毒を防げばいいのだろうか?
前述の関崎教授は、菌が増殖を始める温度から1時間以内に20℃以下に冷ますことが1番のポイントだという。
一般的な“あら熱”を取る時のように常温で放置せず、鍋が熱いうちに冷たい布巾などを巻いて、早めに温度を下げる。
そして、鍋のまま保存すると中心部分の温度がなかなか下がらないため、小分けの容器に入れ、その容器ごと冷蔵庫で10℃以下で保存すれば、『ウエルシュ菌』の増殖を防ぐことができるそうだ。
2日目のカレーが美味しい理由

しかしこの方法だと、2日目のカレーの美味しさを味わえないのではと、心配になる人もいるのではないだろうか。
管理栄養士の柴田真希さんは、この方法でも美味しいカレーを味わえると太鼓判を押す。
2日目のカレーの美味しさは、肉や野菜の旨みがルーに染み出し、ルーの味が肉や野菜に染み込み、スパイスの辛さがマイルドになることが理由で、発酵など菌の増殖とは関係がないそうだ。
また、味が染み込むのは温度が下がる過程で起こるため、温度を下げて冷蔵庫で保存しても、安心して美味しい2日目のカレーを楽しめるとのこと。
また急速冷凍機能が付いている冷蔵庫であれば、それを利用するのも良さそうだ。
食中毒とは無縁の、美味しくて安心できる2日目のカレーを味わってはいかがだろうか。
(『とくダネ!』ヤマサキ調べました・6月26日放送分)