ロシア下院で2月15日、ウクライナ東部の親露派が占める地域を「独立国家」として承認するよう、プーチン大統領に求める決議案が可決された。

この決議案で、下院が独立国家としての承認を要請したのは、ウクライナ東部で独立を宣言している親ロシア派の武装勢力「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」。

両勢力は、それぞれ2014年からウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部(ドンバス)を支配していて、すでに60万人以上がロシア国籍を取得したとされている。

プーチン政権は国家として承認しておらず、下院のボロジン議長は決議が採択されたことについて「この決議でドンバスの住民の安全と外部の脅威からの保護を保証し、目的に応じて国際平和と地域の安定を強化するための根拠を生み出すと信じている」と述べている。

しかし、プーチン大統領が実際に両勢力を独立国家として承認する可能性は、現時点では低いとの見方が強く、その背景にはプーチン大統領がウクライナと両勢力の即時停戦などを定めた「ミンスク合意」にウクライナと両勢力の直接対話などを盛り込むことを目指しているとみられているためで、両勢力を独立国家として承認すれば、それが実現不可能になる。

その一方で、フランス、ドイツ、ウクライナと進めているミンスク合意に関する協議が行き詰まれば、プーチン大統領が下院の決議を「世論が独立国家としての承認を望んでいる」という大義名分として”切り札”にする可能性はあるとの見方もでている。

ウクライナをめぐっては、ロシアは2014年にクリミア半島の分離を既成事実化し、一方的に併合している。

プーチン政権が両勢力を独立国家として承認すれば、クリミア半島と同じ軌跡をたどる可能性があるという懸念が高まっている。

国際取材部
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