寒い冬に火を灯す昔ながらの道具「マッチ」。生産量が年々減る中、岡山市のメーカーがこの冬、新商品を発売した。
これまでのイメージを覆す新しいマッチ。そこに込めた思いに迫った。
アロマやお香に合わせ…デザイン性を重視
淡いツートンカラーのかわいらしい小箱。その正体は、マッチだ。

岡山市南区の「中外燐寸(まっち)社」が製造した。

新商品にデザイン性を重視した理由は?
中外燐寸社・田中礼一郎社長:
アロマキャンドルやお香の売り場に、火をつける道具が一緒に売っていなかった。(キャンドルなどを)楽しむ時にぴったりのデザインのマッチを考案した

環境にやさしい素材で時代に“マッチ”
工場では、昭和40年代の機械が現役で活躍している。

現在、マッチの製造工場は全国に3カ所しかないが、そのうちの1つがこの会社だ。

明治時代には全国で110万マッチトン以上生産されていたが、時代の変化とともにその量は激減。現在は140分の1程度の約8000マッチトンになった。

中外燐寸社・田中礼一郎社長:
箱が今は紙だけど、木でできている
大正時代に生産されたマッチは木箱入りで、瀬戸大橋開通に合わせて写真を掲載するなど世相を表していた。なぜ激減したのか…。

中外燐寸社・田中礼一郎社長:
100円ライターが出てきて減って、タバコを吸う人が減ってきて。最後に電子タバコでとどめを刺されそうになっている

一方で今、マッチは時代に合った側面もあるという。

中外燐寸社・田中礼一郎社長:
ごみとして捨てる時に、土へ返るものばかりを使っている。木をメインにしているので、カーボンニュートラル。新しいニーズを掘り起こしたい

生活必需品から、環境にやさしく癒やしを演出する存在へ…。姿を変えながら、マッチの温かな火を守る挑戦は続く。
(岡山放送)