1月19日、長野市の国道でミキサー車のタイヤが外れ、対向車に直撃する事故があった。
全国的にも、こうした大型車のタイヤ脱落事故が相次いでいる。
タイヤの取り付け方式が変わったことの影響を指摘する声もあり、国土交通省などは改めて日頃の点検を呼びかけている。
レッカー車にひかれるミキサー車。左側の後輪のタイヤの1つが外れている。
600m転がり続け…タイヤ脱落事故の一部始終
こちらは、視聴者のドライブレコーダーが撮影した映像。
ミキサー車は1月19日午前10時ころ、長野市青木島の国道18号線を走っていた。
すると突然、後輪のタイヤの1つが外れた。
外れたタイヤはそのまま600メートルほど転がり続け、約1分後に対向車線に出て、乗用車と衝突した。
乗用車を運転していた男性は、病院に搬送されたが軽傷だと言う。
「歩行者にあたっていたら…」目撃者が語る恐怖
ドライブレコーダーで撮影していた男性:
何でタイヤが離れていっているのか、違和感を感じた。歩行者にあたっていたらと思うと怖かった
近年、大型車のタイヤ脱落事故が相次いでいる。
3年前には、小谷村の国道148号線で、白馬方面に走っていた乗用車にタンクローリーから外れたタイヤ2本が衝突する事故があった。
1月12日には、群馬県内の国道で大型トラックのタイヤが2本外れ、うち1本が歩行者に直撃し、重傷を負った事故も起きた。
全国で相次ぐ…2020年度は131件
国土交通省によると、2020年度の大型車のタイヤ脱落事故は、ここ10年で最多の131件に上っている。
このうち、冬場(11月から2月)の発生が87件で全体の65%を占めた。
履き替え作業から1カ月以内に発生したものが76件に上り、「不適切な作業や、作業後の保守管理の不備」が主な要因とされている。
脱落事故の大半は「左後輪」
また、外れたタイヤは「左後輪」が最も多く125件に上った。
「右折は左折よりもスピードが出やすく、遠心力により積み荷の重さがかかりやすい」ことなどが原因として推定されている。
一方、タイヤの取り付け方式が変わった影響を指摘する声もある。
2010年に国内独自のJIS方式から、より作業が単純で点検や整備が容易な国際基準のISO方式に変わった。
タイヤが2本ある場合、JIS方式は2本を1本ずつボルトとナットで締めるが、ISO方式は2本まとめて固定。また、JIS方式は左右で異なる向きのねじを使い、タイヤの回転で緩みにくくなっていたが、ISO方式は左右で同じ向きで締める。
これまでの事故が、取り付け方式の変更が要因かはわかっていないが、国土交通省や全日本トラック協会などは、相次ぐ脱落事故を受け、タイヤ交換作業や日ごろの確認作業の徹底を呼び掛けている。
(長野放送)