スリランカと日本の国旗の前で記念撮影しているのは、草加市の中学1年生横溝涼太(よこみぞ りょうた)さんと、グナセーカラ駐日スリランカ大使。

スリランカ大使館を訪問した中学生
横溝さんが東京港区のスリランカ大使館を訪問するきっかけとなったのは、夏休みの地理の課題で日本とスリランカの関係を取り上げたことだ。
横溝さんは、アメリカなど連合国が第二次世界大戦後の日本について話し合う1951年のサンフランシスコ講和会議でスリランカ代表として故ジャヤワルダナ元大統領が行った演説を「新聞」としてまとめた。

「憎悪は愛によって止む」
当時蔵相だった故ジャヤワルダナ元大統領は演説でブッダのこの言葉を引用。
「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」
そして、スリランカの対日賠償請求権の放棄を表明し、日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴えた。
この演説は、日本に対し厳しい制裁措置を求めていた一部の戦勝国をも動かしたとも言われている。結果的に日本の賠償の多くは免除され、この演説がその後の日本の復興に繋がったともされている。

横溝さんはこの新聞をグナセーラカ大使に送り、感銘を受けた大使が横溝さんに直接お礼を伝えるため大使館に招待した。
「小さな国でも他の国を説得することができる」
21日午後、横溝さんと面会したグナセーカラ大使は夏休みの課題にスリランカを選んだことに感謝の意を伝え、2022年が日本とスリランカの外交関係樹立70周年の節目の年であることを指摘。
当時の演説映像を一緒に視て、「この演説はスリランカのような小さい国でも他の国を説得することができることを示している」と強調した。

そして「将来、困難があっても諦めることなく前に進んで欲しい」とエールを送った。
横溝さんは、スリランカの写真などを見ながらグナセーカラ大使から気候や文化などの説明を受けた。その後、「知らないことが知れた」「緊張した」と感想を語り、「スリランカに行ってスリランカの人と話してみたい」と将来現地を訪れ、スリランカの人々と交流することに意欲を見せた。
グナセーカラ大使はスリランカと日本は草の根レベルから国民同士の真の友情がある特別な関係と表現した。横溝さんによる草の根交流の始まりとなるかもしれない。

【執筆:フジテレビ 報道局国際取材部長 垣田友彦】