フードロスの削減に向けた新たな取り組み。岡山県で、廃棄される食材を使って缶詰を作るプロジェクトが進められている。

廃棄される食材で作られた2種類の缶詰

ある缶詰を使って作られたメニュー
ある缶詰を使って作られたメニュー
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レシピについて話し合う料理人たち。グラタンや冷奴など、これらのメニューはすべて、ある缶詰を使って作られている。

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表:
「コノヒトカン」は、まだ食べられるのに捨てられてしまう食材で作られた缶詰

コノヒトカン(左が「サカナ」缶・右が「ニク」缶)
コノヒトカン(左が「サカナ」缶・右が「ニク」缶)

2021年11月に岡山で誕生した、「コノヒトカン」と名付けられた2種類の缶詰。

「サカナ」缶は材料の約60%、「ニク」缶は約25%が、廃棄される食材で作られている。

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表:
給食に出すサケとか、カットする業者にお願いして、余っている部分を使っている

「コノヒトカン」を企画したのが、倉敷市でネイルサロンを経営する三好千尋さん。

2020年、コロナ禍で苦境に立たされた飲食店を盛り上げようと、弁当を販売するマルシェを企画。その時、目の当たりにしたのが、フードロスの多さだった。

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表:
どうしても売れ残ってしまう弁当があったり、食材がコロナの影響で残ってしまう現実を知って

フードロスを削減したいと考えた三好さん。その手段として選んだのが、廃棄食材を缶詰にすることだった。
思いに賛同した料理人たちと、約1年 試作を重ね、2種類の缶詰を完成させた。

ニク缶をプロデュースしたザ マグリット 佐藤竜吾料理長
ニク缶をプロデュースしたザ マグリット 佐藤竜吾料理長

ニク缶をプロデュースしたザ マグリット 佐藤竜吾料理長:
肉の業者と話して、初めてこんなにたくさん廃棄食材があるんだと気付いた。料理人として、フードロス問題と向き合える機会をもらえ、感動

サカナ缶をプロデュースした岡山県飲食業活性化団体 六式会 柴田政年副会長:
廃棄食材は、遠くからわざわざ取り寄せるものではない。地元の食材、地域応援になる。どんどん広がるべき(プロジェクト)

貧困に苦しむ子どもを支援…こども食堂や児童養護施設に配布

実は「コノヒトカン」は、当初からフードロスの削減だけでなく、ある社会問題の解決を目的に作られた。

缶詰を運ぶコノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表
缶詰を運ぶコノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表

2021年12月、三好さんが缶詰を持って訪れたのは岡山市の御津高校。
この学校では、昼食を食べられないなど、さまざまな事情を抱える生徒のために、週に1回、ボランティア団体が無料で食事をふるまっている。

「コノヒトカン」のもう1つの目的は、貧困に苦しむ子どもたちを支援すること。

作った缶詰はすべて、こども食堂や児童養護施設などに配っていて、費用は支援企業などからの寄付でまかなわれている。

この日は36缶が寄贈され、ニク缶はスープに、サカナ缶はちらし寿司に使われた。

スープを飲んだ生徒A:
思ったより味がまろやかで、おいしい

スープを飲んだ生徒B:
何杯でもイケるくらい、おいしい

ちらし寿司を食べた生徒:
普段、あまりちらし寿司食べないので、久々の感覚でおいしかった

「世界一あったかい缶詰」で“未来に希望を描ける社会”へ

2021年は、600個の缶詰を施設などに配ったコノヒトカンプロジェクト。
2022年は、「こどもの日」とクリスマスに合わせ、2000個の缶詰を作り、提供することにしている。

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表:
たくさんの人が関わるコノヒトカンは、世界一あったかい缶詰だと思う

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表
コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表

コノヒトカンプロジェクト 三好千尋代表:
子どもに届けて、食べてもらい、未来に希望を描ける社会をみんなで作っていきたい

(岡山放送)

岡山放送
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