コロナ禍の“航空不況”に中部国際空港に新規就航

航空業界は新型コロナの影響で、苦境に見舞われた。その真っただ中に新規就航した「Peach」は、苦しい環境だからこそ「航空券ガチャ」や「乗り放題チケット」などの斬新な企画で「攻めの姿勢」を貫いている。

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LCC(格安航空会社)の「ピーチ・アビエーション」は、2020年12月に中部国際空港に新規就航した。

新千歳、仙台、那覇、石垣の国内4路線を続々とスタートさせると、2021年10月31日からの「冬ダイヤ」では新千歳便など3路線を増便し、コロナ禍でも攻めの姿勢を続けている。

「Peach」を引っ張るのは、森健明代表取締役CEO(最高経営責任者)。森CEOがトップに就任した2020年4月にコロナの感染拡大が始まり、予約率や搭乗率は一気に落ち込んだ。

森健明CEO:
1年通してほぼ固定費分の赤字で、総額約300億円を超える創業以来の大赤字。そういう中で、セントレアは新規の拠点の開設

航空大手各社も減便や運休になるなど、中部国際空港での船出は、まさしく“航空不況”の真っただ中。そんな逆風でもPeachが選んだのは、“仕掛けること”だった。

森健明CEO:
反対する人はいなかった。飛行機を動かさないことには収益が上がらないから。国際が飛べないからと止めておくよりも、新しいチャレンジで国内線をやるということに理解いただいた

「国際線の機材や乗員を国内線に投入し、少しでも利益を稼ぐ…」。森CEOは、「よく攻めの経営と言われるが、自分は守りのつもりでやっていた」と話す。

搭乗率も徐々に回復…2022年以降のセントレア国際線就航も検討

2021年は、年末に向けてコロナの感染状況に落ち着きが戻り始め、乗客も徐々に戻って来ていたという。

森健明CEO:
10月で全線平均70%台に達して、11月、12月はそれを更に上回る勢いで予約が入っている

さらに、Peachは早ければ2022年にも中部国際空港に国際線の就航を検討するなど、その果敢な姿勢は驚きと話題を集めている。

森健明CEO:
当然セントレアも国際線を出さないという選択肢はないと思っていました。(この地方では)ジブリパークも来年(2022年)オープンするし、26年にはアジア大会がある

国際線の就航先としては、韓国や台湾、香港などが候補として上がっている。

Peachを知ってもらうため…「航空券ガチャ」など様々な仕掛けが話題に

その“仕掛け”は、ただ飛行機を動かすだけではない。大阪・東京に続き、11月から名古屋でも始まったのが、「旅くじ」(1回5000円)だ。

ガチャガチャから出てきたカプセルの中には、行き先、旅先までの航空券購入に使える6000円分のポイントが入っている。

旅先を自分では選べない「指定」チケットにも拘らず、SNSを中心に話題となり、長い行列ができるほどの人気に。

他にも、国内全路線が“1か月乗り放題”という異例のチケットや、日帰り旅行限定の割引航空券など、利用客を呼び込む企画を発信し続けている。

森健明CEO:
待ってたら何も起こらないですよね。こういう商品を出して、「Peach」を知ってもらわないと乗っていただけない…

自由に旅行できる日に向けて…SNSでユーザーと接点

関西国際空港の近くにある「Peach」のオフィスでは、新たな仕掛けがあった。入念にスマホのカメラワークをチェックし、“インスタライブ”でつないだ先は、北海道・知床のリゾートホテルだ。

知床のホテルの担当者:
昨日は町の方に雪が降ったので…

Peachの担当者:
えっ、もう雪が降ってるんですか?

「世界自然遺産のあるまち」をテーマに、新規就航先の観光地と結ぶSNSでの“トークライブ”。コロナの影響で大々的な就航イベントができなくなったため、それに代わるふれあいの場として、一度に多くのユーザーとつながるSNSでの発信を考えた。

Peachの担当者:
SNSでつながり続けるのが大事。(コロナが明けて)「そういえばPeachがおすすめしていたな」というきっかけづくり

気兼ねなく旅行ができる日に向けて…。関係性継続のために、常にユーザーとの接点を持ち続ける。

“航空不況”だからこそ「挑戦」…日本全国・アジア各地で就航目指す

Peachが次々に仕掛ける新しい企画。アイデアは、社内から次々に出てきたという。

森健明CEO:
いっぱいで出てきましたね。例えば我々は「チャーターフライト」をやったことがなかったんです。たまたまコロナ禍で機材があるので、遊覧飛行をやろうじゃないかと

他にも、子供向けに何かできないかと、パイロットと客室乗務員による機内での「航空教室」も開催。少しでもPeachを知ってもらい、好きになったもらうための努力を続けている。

森健明CEO:
各地にお住まいの方々にピーチを使ってもらうためには、就航地点を増やしていかないと。日本各地、アジア各地の空港に必ず止まっているという姿、これは必ず達成したい

未曽有の“航空不況”の今だからこそ、Peachはあっと驚くような企画を仕掛け続けている。

(東海テレビ)

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