日本からタイへの農産品の輸出額は年々増加している。中には日本からの輸出額が5年間で5倍に急増したものもある。
日本産の野菜やフルーツの人気が浸透するなか、こうした流れに乗ろうと静岡県の企業も特産品の茶を売り込もうと努力を続けている。

ブドウ「1万円」 ナシ「3000円」

タイの首都バンコクのショッピングモール。食品売り場を訪ねてみると…

池谷庸介記者:
バンコクのデパートです。日本のフルーツがずらりと並んでいます。ブドウは3000バーツ、約1万円です

デパートの食品売り場(バンコク)
デパートの食品売り場(バンコク)
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売られていたのはブドウやナシなど日本の果物。値段はブドウが1パック約1万円、ナシが約3000円とまさに高級品だ。

タイでは日本のフルーツが人気
タイでは日本のフルーツが人気

タイ人女性:
甘さとシャキシャキさが違う。タイのフルーツよりも味が濃厚

来店客「タイのフルーツより味が濃厚」
来店客「タイのフルーツより味が濃厚」

別の女性:
日本のフルーツは本当においしい。お金に余裕があれば買うわ

さらにいま、タイでブームとなっているのが「焼き芋」だ。
甘さやねっとりとした食感が受け、日本からのサツマイモの輸出額は5年間で5倍に急増した。

焼き芋ブームでサツマイモの輸出額は5倍に
焼き芋ブームでサツマイモの輸出額は5倍に

自慢の緑茶を色・形でアピール

こうした流れに続こうと、静岡県内の企業も動き出した。
バンコク市内の日本料理店。タイ人の料理人が手際よく魚をさばき、寿司や刺身を作る。

バンコクの日本料理店
バンコクの日本料理店

日本の料理を地元のタイ人向けに提供する、この店のオーナーとオンライン商談しているのは…

マルモ森商店・吉田雄さん:
1877年創業で143年目の歴史がある会社でございます

日本市場縮小で海外進出めざす
日本市場縮小で海外進出めざす

静岡市葵区の製茶問屋「マルモ森商店」。「チャガマ」という名前の日本茶専門店を展開している。

日本の市場規模が縮小するなか、香港に出店するなど海外進出に力を入れていて、タイにも進出の足がかりを作ろうとしていた。

マルモ森商店の日本茶専門店「チャガマ」
マルモ森商店の日本茶専門店「チャガマ」

この日は主力商品でもあるお茶の形や色を目で楽しんでもらうために、茶葉を透明なパッケージに入れた商品を売り込んでいた。

タイの日本料理店オーナー:
透明パッケージでお茶の品質に影響はないでしょうか

マルモ森商店・吉田雄さん:
紫外線をカットするフィルムを使った透明パッケージになっています

透明パッケージで茶葉の色・形をアピール
透明パッケージで茶葉の色・形をアピール

約40分の商談の結果、定期的な購入を視野に、まずはいくつかの種類を少量ずつ納品することで話がまとまった。

タイの日本料理店オーナー:
彼らの商品が良くなければ140年以上も会社が続かないよ。この商品は購入する価値があると思う

マルモ森商店・吉田雄さん:
日本茶や関連商品が根づいてきている、認知度が上がっていると、バイヤーとの話で感じました。まずは市場に入っていくことを目標にやっていきたい

吉田氏「日本茶の認知度はあがっている」
吉田氏「日本茶の認知度はあがっている」

福岡イチゴや山梨ブドウに負けるな

このオンラインでの商談会を主催したのは、ジェトロ・バンコク事務所だ。全国からは171社が参加し、静岡県からも7社が参加した。

タイへの売り込みめざし全国の企業が競争
タイへの売り込みめざし全国の企業が競争

輸入代理店によると、静岡産で有名なのはお茶やメロン、イチゴということだ。たが、お茶以外は福岡のイチゴ、山梨のブドウ、青森のリンゴなど他産地の売り込みに比べて存在感はやや薄いという。
ジェトロ・バンコク事務所は、静岡県産品の売り込みも支援したいと話す。

ジェトロ・バンコク事務所 谷口裕基部長:
まだタイの人たちが知らない日本産食品がたくさんあると思います。今あるパイプを太くしていくことも大事ですが、新しい商品、新たなパイプを作っていくことにも取り組んでいきたい

ジェトロ・谷口氏「新しい日本食品を紹介したい」
ジェトロ・谷口氏「新しい日本食品を紹介したい」

日本政府は、成長戦略として農林水産物・食品の輸出額を現在の約1兆円から2030年には5兆円にするという目標を掲げている。

デパートの食品売り場(バンコク)
デパートの食品売り場(バンコク)

全国の都道府県がしのぎを削るなか、静岡県内の農産品は海外での人気を得ることができるだろうか。奮闘は続いている。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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