岡山県北部の西粟倉村で、村の課題や困りごとを楽しみながら解決しようというユニークなプロジェクトが始まった。
課題解決に向け、取り組んだのは子どもたち。

草刈りが農家にとって大きな負担に

人口約1,500人、棚田が広がる西粟倉村。

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この村一番の困りごと、それは草刈り。

西粟倉むらまるごと研究所・大島奈緒子代表理事:
草刈りなんですよ。刈っても刈っても続く

村の移住者・大島奈緒子さん。
大島さんは、新しいテクノロジーの研究や開発に挑む企業と地域を結ぶ「西粟倉むらまるごと研究所」を2020年に立ち上げ、その代表理事を務めている。

西粟倉むらまるごと研究所・大島奈緒子代表理事:
これから生まれてくるたくさんのテクノロジーを西粟倉村で生かしていくことができれば、人間もより幸せだし、環境もより豊かに…そういう未来があるんじゃないかと考えた

過疎、高齢化が進む西粟倉村。
棚田のあぜ道や斜面などの草刈りは、農家にとって大きな負担となっている。
草刈り機は、平らな場所では使えるが、斜面では転んでしまうため、大島さんは斜面を転ばずに上れる草刈りロボットを開発しようと考えた。
しかも、開発の工程をエンターテインメントにしようという。

その第1弾が、ロボットコンテスト。
村の子どもたちに参加してもらい、転ばないロボットを作る。
子どもたちに配られたのは、ロボットのベースだけ。
2021年9月から、プログラミングや飾り付けをして、ロボットの完成を目指す。

小3・やすみー:
こっち側にずらして、前のタイヤとぶつからないようにする。今ぶつかっちゃてるってことね

やすみーはロボットを2つつなげてみた。
タイヤが回るように試行錯誤。
ロボットに付ける電光掲示板は、自分でプログラミングした。

小3・やすみー:
僕の名前が出てくる

小4・たいちゃん:
ロボットがちっとも動かない

たいちゃんのロボットにトラブル。
そんな時は、離れた場所にいる専門家にオンラインで質問する。

専門家:
受信機のLEDついてる?

小4・たいちゃん:
ついてない

専門家:
バッテリーの接続見せて

ロボットとコントローラーの組み合わせが間違っていたことがわかった。

専門家:
セットだから、違うのに変えないとダメだよ

小4・たいちゃん:
いけた

西粟倉むらまるごと研究所・大島奈緒子さん:
大人たちが、むらまるごと研究所で、きっと未来は変えられると思って新しいことにチャレンジする背中を見せたいし、子どもたちがなんの躊躇もなく、できる色んなことに取り組むことが大人に刺激も与えてくれると思う

課題や困りごとを「楽しい」に変える

コンテストは、同じ課題を抱える千葉県の地域と、オンラインでつないで開催された。
コースは、全長7.5メートル。ロボットがLEDライトをまたげば得点。
道中では、棚田の斜面に見立てた坂道、傾斜45度の「モンスターマウントフジ」にも挑む。
最高得点は250点。制限時間内で獲得した点数を競う。

小学2年生のももちゃん。
大島さんの長女。

小2・ももちゃん:
こけないと思う、頑張る。

ももちゃんのロボットには、海の仲間たちがいっぱい。
おっと、飾りの板が倒れてしまった。タコが置き去り。
マウントフジに挑むのだろうか。
裏道があった。
穴に入るのか?車庫入れか?
車庫入れ大成功!
しかし車庫入れは得点にならない。

小2・ももちゃん:
フィニッシュの時に車庫に入れたのが楽しかった。

小3・やすみー:
絶対にパーフェクト取りたいです

続いてはやすみー。
試行錯誤していたタイヤはぶつからずに回っていた。
電光掲示板で自分の名前を知らせながら進む。
果敢に坂道に挑んだやすみーのロボットは、一度も転ばなかった。

小3・やすみー:
こけないようにはできたからうれしかった

小4・たいちゃん:
150点以上をとりたいです

たいちゃんのロボットには、アームが付いている。
このアームで、果敢にマウントフジに挑戦したが、作戦変更。
裏道を上がる。
マウントフジの頂上に立った。

小4・たいちゃん:
楽しいから乗り越えられた。もっといいロボット作りたい

村の課題解決に向けて必死に考え、行動した子どもたちは、村の大きな力になるに違いない。

西粟倉むらまるごと研究所・大島奈緒子さん:
解決するのが大事なのではなく、一番大事なのは楽しめるかだと思う。みんなと何かを解決しようとか、楽しもうという時間を味わい、思い出に残ってくれたら何より

地方の暮らしにあふれる課題や困りごとを「楽しい」に変える、西粟倉村のプロジェクト。
村にはまだまだ「楽しい」の原石がたくさんありそう。

(岡山放送)

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