新型コロナの影響による外出自粛が続き、おうち時間に読書をして過ごすようになった…という方も多いかもしれない。そんな「イマドキ」の読書事情に注目した。
最近、書店を歩いていると目立つのが、SNSをきっかけに本を紹介するポップ。
この記事の画像(27枚)本を買いに来た人:
TikTokで知って、読みたいなみたいな感じで。若者向けの本とか結構出てくるから、おもしろそうだなみたいな
本を買いに来た人:
最近はネットよりも、SNSで検索した方が。一般人の意見はピュアな純粋な意見なので、それ(SNS)を参考にした方がいいかなと思って
SNSで話題になって本が売れる…その傾向は、書店人気No.1の本にも現れていた。
金沢ビーンズ 3階フロアプランナー・前川賢治さん:
こちらの「変な家」でございます。YouTubeでも非常に取り上げられていて、間取りが非常に特徴的な、これまでにないミステリーを味わうことができます。世相を映す形で、どんどん人気が膨れ上がっているタイプのミステリーでもあります
Job総研の調査によると、コロナ禍で読書量が増えたと答えた人は約4割。テレワークやステイホームなど、ライフスタイルが変化する中で本に手を伸ばす人が多くなったようだ。
コロナ禍となって1年半以上がたつが…
金沢ビーンズ 3階フロアプランナー・前川賢治さん:
(来客数は)むしろ増えているのかなというところはありますね。ステイホームの名残もありますので、家の中で過ごそうかなという思考の方もいらっしゃるので
24時間どこでも無料で借りられる「電子図書館」
こうした中、気軽に読書を楽しめる新たなサービスが金沢市で導入された。
金沢市教育委員会 図書館総務課・菅原聡恵主査:
10月1日から電子書籍の貸出サービスを開始しました
本を24時間どこからでも無料で借りることができる電子図書館だ。
金沢市電子図書館のページから図書館カードの裏にある番号を使ってログインすれば、金沢にまつわる本や古典文学など約900冊の本を画面上で楽しむことができる。
中にはこんなものも…
金沢市教育委員会 図書館総務課・菅原聡恵主査:
絵本はサイズが大きいので、持ち運びがしにくいということがあるかなと思うんですけど。デジタルの場合は自分のスマートフォンなどで見ていただくことができますので、持ち運びにも便利な機能になっています
手軽に本を借りることができる電子図書館。
2010年頃から一部の図書館で始まったが、2020年1月からの1年半で、その数は約3倍に増えた。普及に拍車をかけたのが新型コロナだ。
金沢市教育委員会 図書館総務課・菅原聡恵主査:
コロナ禍の現状で、なかなか外出をしにくいという方もたくさんいらっしゃいますので、そういった方にも図書館に足を運ばなくても読書をしていただきたいという思いで始めました
期限が過ぎれば自動で返却されるため、返し忘れもない便利な電子図書館。
県内でも金沢市のほか野々市市、輪島市、白山市で導入されている。
しかし、便利な一方でこんな指摘も…
追手門学院大学 国際教養学部・湯浅俊彦教授:
偶然の出会いといいますか、いろいろな本を探していて、全く意図しなかった本を選んで買って帰ったり。電子図書館とか電子書店に並んでいる本というのは、なかなかそういう楽しみ方が難しいという側面がありますね
“偶然の出会い”が叶う…本棚ごとにオーナーがいる図書館
そんな偶然の出会いを大切にしている民間の図書館が、加賀市山代温泉にある。
おんせん図書館 みかん・小杉真澄さん:
ここは、魚のことなら何でも屋さんというか、水槽とかの管理をするようなお仕事をしている人の本棚で。こちらは、地元の元英語の先生の本棚で、英語が気になる子がいたらぜひ手に取ってね
2020年9月にオープンした「おんせん図書館みかん」。
実は並んでいる本、この図書館のものではない。
ここでは本棚を一区間、月額2000円で貸し出し、本棚を借りたオーナーが好きな本やおすすめしたい本などを自由に並べている。
借りたい人は、最初に図書カードを発行すれば、本を借りたり読んだりするのは無料だ。
客:
結構、おもしろいです。「あ、多分この人、気合うわ」っていうのはありますね
客:
本の出会いはものすごくありますよ。このオーナーさんのおすすめしている本だから読んでみようということもあります
約1カ月前にオーナーになったこちらの女性。中学生の息子と一緒に本棚を飾った。
本棚のオーナー:
ここに置いてある本のメニュー表になっていまして。例えば、とにかく疲れている人におすすめの本がこれですよとか…
訪れた人からも好評で、「素敵ですね」などと書かれたメッセージが本棚にはられていることもあったそうだ。
本棚のオーナー:
またお返事を書いて貼っておいたりすると、実際に会えてなくても文通みたいな交流もできて楽しいなと思っています
地元だけでなく、山代温泉に観光で訪れた人とも自然と交流が生まれている。
おんせん図書館 みかん・小杉真澄さん:
ここは、この本が読みたくて来るという図書館ではなくて、偶然の出会いとか予期せぬ出会いを楽しんでいただく図書館になっています
おんせん図書館 みかん・小杉真澄さん:
本を通していろんな人と出会ってほしいし、いろんな発見をしてほしいなと思うので、オーナーの方には思いっきり自己表現してほしいし、来館者の方には思ってもみないような本を是非手に取って、チラッと読んでもらえると嬉しいなと思います
本との出会いは人それぞれ。読書にぴったりなこの季節、自分にあった方法で本の世界にゆっくりと浸ってみてはいかが?
(石川テレビ)