内閣府はきょう9日、景気に敏感な小売店主やタクシー運転手など約2000人に肌感覚の「街角景気」を聞いた「景気ウォッチャー調査」の10月分報告書を発表した。
報告書によると、景気の現状を3か月前と比べた指数が、前の月に比べて13.4ポイント上昇の55.5となり、2か月連続で改善した。また2~3か月先の見通しを示す指数も0.9ポイント上昇して57.5となり、こちらも2か月連続で改善。
内閣府は、緊急事態宣言が解除され、ワクチン接種が進んだため、飲食関連など非製造業の景気が上昇した影響が大きいと分析している。
レストラン関係者からは「宣言が解除され酒を出せるようになったため、週末は今までの2~3倍以上の客が来店している」との喜びの声が寄せられた。
雑貨専門店の従業員からも「10月に入り、目に見えて店の前の通行量が増えている。街全体の人の流れも活性化していて、年末に向けた消費に期待できる」との声があがり、クリスマス商戦に向けた希望も見えてきている。
コロナ禍でたまった消費欲が爆発する「リベンジ消費」が、景気を押し上げているようだ。だがその恩恵を受けられない業種の方たちもいる。
輸送用機械製造業者からは「主要取引先である自動車メーカーが部品調達不足で減産している。当社も稼働日を減らしている」との声が・・・
クリーニング業者からは「原油価格の高騰でかなり苦しくなっている」との悲鳴が上がっている。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着く一方で、世界的な半導体不足や原油価格の高騰が街角景気にも現れた形だ。
報告書は「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、緩やかに持ち直している。先行きについては、コスト上昇等や内外の感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展等によって持ち直しが続くとみている。」としている。