様々な媒体で注目と評される女優、古川琴音(25)。

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2018年、9つの映画祭でグランプリを受賞した映画「春」で、デビュー作にして主演を務め、ベスト女優賞を受賞。2020年、朝ドラ「エール」で主人公夫婦の娘役を演じると、2021年のドラマ「コントが始まる」では、菅田将暉さん・有村架純さんらメインキャストと肩を並べ、今年上半期にブレイクした女性タレントランキングで1位に輝きました。

デビューして3年とは思えない存在感を放つ女優・古川琴音の魅力に社会学者の古市憲寿が迫ります。

「1度見たら忘れられない演技」 個性派女優・古川琴音の魅力とは

古市憲寿:
元々この俳優の仕事はしたかったんですか?

古川琴音:
中学・高校・大学時代にはずっと演劇部や演劇のサークルに所属していて、周りから褒められることも多かったから1回チャレンジしてみよう…みたいな感じでした。

古川琴音:
まず映画を見に行ってみようと思って、たまたま見たのが「海辺の生と死」っていう満島ひかりさん主演の映画があって。満島さんのお芝居が、皮膚感覚で伝わってくるものが多かったんですよね。

2019年、杉咲花、新田真剣佑らと共に出演した映画「十二人の死にたい子どもたち」で個性的な少女を演じて注目を浴びると、2020年に放送されたドラマ「この恋あたためますか」では、主人公の親友である中国人の役を演じ、話題に。

センシティブな役柄から愛されキャラまで、様々な役を演じてきた古川。そんな女優・古川琴音のイメージを10代から60代の男女100人に聞いたアンケートでは、「個性的」「演技力がある」「印象に残る」が上位に。古川琴音の魅力は、「他にはない存在感」だ。

古市憲寿:
例えばドラマ中の分数としてはちょっと短い役でも、なんかちょっと印象に残るというか、顔だったりしゃべり方とかが印象に残るって方が多いみたいで。雰囲気が独特なのかな。

古川琴音:
ありがたいですね。独特とはよく言われます。

古市憲寿:
3ミリぐらい浮いてる感じ。同じ場所にいても、ちょっと違う場所にいるのかなって錯覚するような。

古川琴音:
本当ですか、さっきヘアメイクさんにも同じことを言われました。「琴音ちゃんの世界は普通の人のラインがここだとしたら、この上で何か色々ある」

古市憲寿:
そうそうそう、ちゃんと我々と共有できているんだけど、ちょっと違う世界を生きているのかなって。微妙なズレっていうのがやっぱり何か、面白いんじゃないですかね。

誰にもマネすることができない、唯一無二の存在感を放つ女優・古川琴音。デビューからわずか3年で話題作への出演が続く、彼女の“女優”への向き合い方に迫る。

「半端じゃない役への探究心」 夢を掴みとるためへ“引っ越し”?

古市憲寿:
オーディションめちゃくちゃ受かるんですよね?

古川琴音:
オーディションで頂いた役は多いかもしれません。

古市憲寿:
オーディションに受かる秘訣ってあるんですか?

古川琴音:
いただいた役のオーディションのことを振り返ると、やっぱりすごく楽しんでやっていたなっていうのは覚えています。まだ自分が受ける役が誰のモノにもなってないし、何の責任も負わなくていいっていう状態がすごく合っていたみたいですね。仕事始めて間もない頃は、オーディションの時はノビノビできていたのに、なんで本番になったら縮こまっちゃうんだろうって悩んでいた時期がありました。

数々の役をオーディションで勝ち取ってきた古川が新たにつかみ取ったのが、2022年1月から始まるミュージカル「INTO THE WOODS」のシンデレラ役。シンデレラ役を演じることが念願だったという古川は、役を得るためにある行動をとった。

古川琴音:
すごくやりたかったので、防音の部屋に引っ越しをして練習していました。カラオケに毎回行くのもやっぱりお金がかかるなと思って、ちょっと家賃上げて防音の家に移った方が24時間練習できると思って。「オーディションがあるよ」って言われた日にすぐに家探して移って、練習した結果(役を)いただくことができて、本当に作戦勝ちだったと思います。

古市憲寿:
すごい。普通は受かってその役をやるって決まってから、練習するために引っ越すのは分かりますけど、オーディションのために引っ越した。

古川琴音:
取りに行ってました。本当にこれは逃しちゃいけないと思って。

やりたい役のためなら、役に決まる前でも引っ越す!古川琴音の魅力2つ目は「半端じゃない役への探究心」にある。

古市憲寿:
いろんな役をしなきゃいけないわけじゃないですか、どんな役もできちゃうものなんですか?

古川琴音:
いや…そんなことないと思います。麻薬中毒者の役をやらせていただいたんですけど、役は架空だとしても、その気持ちとか、その環境に共感してくださる方がいるっていうことは、その役は生きてるも同然だから。自分の勝手な解釈でその役を汚したらいけないなっていう気持ちがあって、薬物中毒のこととか依存症とか、いろんなことを調べたんですけど。

古市憲寿:
いざ調べてみて本番始まりましたっていうと、調べたことを生かすのか、それとも調べたことは1回横に置いといて、そこで感じたことで役になりきるのか、どんな感じなんですか?

古川琴音:
置いといて演じましたね。そこは蓄積されていると信じて、相手の人に集中して、相手の言葉に反応して出たものがすべてだと思ったので。

役について調べて突き詰めた上で、本番ではその役になりきって、普段通り会話をするように演じているという古川。

シンデレラストリーの先に…古川琴音の挑戦は続く

他にはない存在感と飽くなき探究心を持つ、女優・古川琴音が見据える今後は…。

古川琴音:
ボーダーレスにいろんなところで、いろんな形でお芝居ができたら良いなと思っています。まだ声優とか挑戦したことないし、海外の作品とかも機会があるんだったら出られるようになりたいなって思います。

唯一無二の存在感で人々を魅了する、女優・古川琴音の今後の活動から目が離せない。

(めざまし8「エンタメ社会学」 11月4日放送)