東京23区で”震度5強” 震災以来10年ぶり

7日夜遅く、東京都足立区と埼玉県川口市、宮代町の3カ所で、最大震度5強を観測した地震によって、首都圏を揺さぶる大規模地震の怖さと課題をあらためて突きつけられた。東京23区内で震度5強の揺れを観測したのは、2011年3月11日の東日本大震災を引き起こしたマグニチュード9.0の地震以来で、実に10年ぶりだ。

(画像は「イット!」10月8日放送分より)
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水道管破損 エレベーター停止が相次ぐ

気象庁は地震発生後の緊急会見で、地震発生後1週間程度、同じ規模の地震に注意するよう呼びかけるとともに、都市部で起きた地震ならではの防災上の注意事項として、エレベータの停止やコンクリートなどの落下をあげた。

さらに高層ビルやマンションなどの上層階で地上よりも大きな揺れを観測する長周期地震動階級は、23区などで最大で2を観測している。長周期地震動階級2の揺れが起きると、物につかまらないと歩けないとされている。

国土交通省によると、停止したエレベーターに閉じ込められる事案が1都3県であわせて28件発生した。また最大震度5強の揺れによって、鉄道や道路は止まり、停電や水道管の破損などライフラインを脅かす事態も発生し、都心部での地震が社会に与える影響の大きさを垣間見た。

気象庁「今回は首都直下地震ではない」

今回の地震は首都直下地震ではないのか、そうでないなら、懸念される首都直下地震との関連はないのだろうか。

地震後の緊急会見に臨んだ気象庁の束田進也地震火山監視課長は「首都直下地震の内閣府の想定はもう少し浅い地震、かつ大きい。今回の地震はそれより深くマグニチュード7クラスより規模は小さい」としていわゆる首都直下地震ではないとしている。

首都直下地震では、約85万棟の建物被害が想定されている(内閣府資料より)

今回の地震は深さ75キロで発生し、マグニチュードは5.9と推定されている。つまり首都直下地震として想定しているマグニチュード7とは1の差があったことになる。マグニチュードが1増えると地震のエネルギーは、およそ32倍になるので、実際に首都直下地震が起きれば、今回と比べものにならない破壊力を持った強い揺れが、首都圏を襲うということになる。

内閣府が2013年に公表した首都直下地震の被害想定では、最悪の場合、死者はおよそ2万3000人、経済被害はおよそ95兆円に達するとされる。

帰宅困難者の対策も急務だ(画像は「イット!」10月8日放送分より)

さらに束田課長は、今回の地震が首都直下地震に結びつくかどうかについては、何も言えないとした上で、「関東は非常に地震が多い場所。今回の場所に限らず地震が発生する場所はあるから日頃から気をつけていただきたい。」と日頃からの備えの重要さを訴えた。地震は今の地震学では予知できないのだ。

「死者2.3万人・経済被害95兆円」首都直下地震に備えを

今回の地震を受けて、8日に臨時で開かれた政府の地震調査委員会でも、平田直委員長は、今回の地震が相模トラフ沿いで起きる首都直下地震を誘発するかどうかについて「現在の地震学では、次のマグニチュード7の地震が起きやすくなっているか、起きにくくなっているかをストレートに答えることは出来ない。」としている。

また気象庁は、世の中に飛び交う地震予知を謳う情報については「GPSのデータや、電磁波などによって地震を予知しようとする人がいるのは承知しているが、地震学の研究の現状から考えると、日時、場所、規模を特定して地震を予知することは現状では出来ない。」という見解を示している。

首都直下、南海トラフ、千島・日本海溝といった懸念される巨大地震を含めて地震は、いつどこで起きてもおかしくない。だからこそ日頃の備えが生き延びるために重要なのだ。家具の固定、備蓄品の確認、避難する場合の経路、家族など安否の確認方法、また自宅以外のどこで被災するかによっても対応が変わることも忘れてはならない。

交通機関の混乱は、地震翌日まで続いた(画像は「イット!」10月8日放送分より)

今回10年ぶりに経験した強い揺れと、外壁などの落下物、水道管の破損、交通網の混乱などの被害を教訓に、決してこの程度では済まないであろう首都直下地震に備えて、それぞれが今出来ることを考えていただきたい。怖いから準備しておく。それが被害の軽減の大きな一歩となるはずだ。

(フジテレビ社会部・防災担当 長坂哲夫)