岸田新内閣の目玉人事の1つが、当選3回の牧島かれんデジタル担当相の誕生だ。「初の女性宰相」への呼び声も高い牧島氏だが、わな免許を取得して地元でイノシシやシカの猟にも参加するという意外な一面もある。“永田町のハイジ”牧島氏の初の記者会見を取材した。

牧島かれんデジタル担当相は初の記者会見に臨んだ
牧島かれんデジタル担当相は初の記者会見に臨んだ
この記事の画像(5枚)

デジタル庁はまさにスタートアップ

「よろしくお願いいたします。牧島かれんです。このたび、デジタル大臣、行政改革担当大臣および内閣府特命担当大臣、規制改革を拝命することとなりました」

少し緊張気味の表情でこう切り出した牧島氏は、これまで総理の登竜門と言われる青年局長を務めたほか、自民党内でデジタル社会推進本部の事務局長としてデジタル庁創設に向けた提言を政府に行ってきた。

(関連記事:「ワクチン接種はマイナンバーに紐づけて」"総理の登竜門"自民党青年局長牧島かれん議員の戦略

青年局長就任後牧島氏はデジタル推進について熱く語っていた
青年局長就任後牧島氏はデジタル推進について熱く語っていた

「デジタル庁は9月に設置されたばかりで、まさにスタートアップと言えると思います。デジタル大臣は非常に強い権限を持ち、社会全体のデジタル化を推進していくという大変な重責を負っております。試行錯誤しながらも、早期に国民の皆様にデジタル改革の恩恵を届けられるよう、しっかりその任を果たしてまいります」

誰1人取り残さないデジタル化の実現目指す

デジタル庁では今後、デジタル田園都市国家構想として地方のデジタルインフラの整備を進めていく。また行政のデジタル化の推進やマイナンバー制度の活用、デジタル人材の育成など、コロナ禍で日本がデジタル後進国であることが露呈した中、課題は山積みだ。牧島氏は続ける。

「高齢者の方やあまり得意でないという方にもしっかりとリーチできるような誰1人取り残さない、人に優しいデジタル化の実現を目指します。特に地方自治体の窓口に平日朝8時から午後5時までの間に来なければならないような手続きをなくし、国民の皆さんが家からスマートフォンで行政手続きができるようにしていく。準公共分野、健康や教育、防災減災でのデジタル化も重要だと思っています」

4年以上前からテレワークのメリットを提言

実は牧島氏は4年以上前に弊社のネット番組「ホウドウキョク」に出演した際、日本のテレワーク普及の遅れを指摘しそのメリットを挙げていた。

「女性の願いをかなえられる社会にしていくのは政治の責任ですが、男性の意識改革を同時に進めないといけません。ITを所管する総務省では、全職員を対象にテレワークできるようになっていて、たとえばお子さんが発熱した場合テレワークに切り替えるのもオッケーです」

(関連記事:「テレワーク」が女性の働き方を変える。転機は2020年東京五輪? 

4年半前にすでにテレワーク普及のメリットを語っていた牧島氏
4年半前にすでにテレワーク普及のメリットを語っていた牧島氏

牧島氏は大臣としてデジタル庁をどのような組織にしたいのか。

「民間の皆様も大勢参加をしていただく形でデジタル庁は発足しました。まずデジタル庁自身が一つのショーケースだと思っています。民間、そして霞が関の皆さん、あらゆる方々が関わってアイディアをどんどん出していく。この組織のあり方自体が私達にとって新たな形を提示するチャレンジになると思います」

「わなを設置して待つのではなく自ら山へ」

牧島氏の選挙区は神奈川県の西部で、小田原や箱根、湯河原など自然豊かな地域だ。牧島氏はわな免許を取得して地元でイノシシやシカの猟にも参加している。牧島氏は会見で記者から「大臣はわなの免許持ちですが、デジタル化を狩りに例えるならどういう狩りにする?」と聞かれてこう答えた。

「箱わなやくくりわなを設置するときには、鳥獣がかかるのを待つという忍耐が求められる場面があります。しかしデジタル庁を担当する大臣としては、わなを設置して待つのではなく、自ら山の中、海の中、里中に入っていく気概を持って進んでまいりたいと思います」

若き2人が日本のデジタル化の司令塔に

「デジタル副大臣にIT政策に明るい小林史明衆議院議員」との一報が届いた。小林氏は自民党内で、デジタル庁創設に向け牧島氏と二人三脚で奮闘してきた。今後当選3回の若い2人が日本のデジタル化の司令塔になる。大いに期待だ。

(関連記事:「アフターコロナは、テクノロジーでフェアな社会を作る」 日本が電子政府になるための変革

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】

鈴木款
鈴木款

政治経済を中心に教育問題などを担当。「現場第一」を信条に、取材に赴き、地上波で伝えきれない解説報道を目指します。著書「日本のパラリンピックを創った男 中村裕」「小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉」、「日経電子版の読みかた」、編著「2020教育改革のキモ」。趣味はマラソン、ウインドサーフィン。2017年サハラ砂漠マラソン(全長250キロ)走破。2020年早稲田大学院スポーツ科学研究科卒業。
フジテレビ報道局解説委員。1961年北海道生まれ、早稲田大学卒業後、農林中央金庫に入庫しニューヨーク支店などを経て1992年フジテレビ入社。営業局、政治部、ニューヨーク支局長、経済部長を経て現職。iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授。映画倫理機構(映倫)年少者映画審議会委員。はこだて観光大使。映画配給会社アドバイザー。