家庭内感染が相次ぎ、今や新型コロナウイルスに感染することが決して珍しいこととは言えなくなっている。ある感染者の妻が、「病気とは別のコロナの恐怖」について語ってくれた。
コロナ感染者の妻:
生活が一変するというのは、このことなんだなと思いましたし、それこそ本当に死も…ひょっとしたら死んでしまうんじゃないかという恐怖もありました

自宅療養中の夫が急変 やむを得ず呼んだ救急車
8月、夫が突然、新型コロナウイルスに感染した妻。入院調整のため自宅待機をしていたところ、深夜に夫の容体が急変した。
コロナ感染者の妻:
一気に具合が悪くなるのが早かったんですよ。(夫が)「呼吸が苦しい」って言った時に、あまりの展開の早さに怖くなって…。「このままいけば朝までどうなるんだろう」と思ったら、これは救急車を呼ぶしかないなって思いました

やむを得ず呼んだ救急車。
その時のインターホンに残されていた画像には、防護服姿の救急隊員がはっきり映っている。

コロナ感染者の妻:
防護服を着た救急隊員の方がいらっしゃるだろうというのは予想がついていたので、来ていただいて安心した部分と、ご近所の方にバレてしまうという、そういう複雑な気持ちと両方でしたね

自らの感染の有無と近所の目…募る不安
夫は肺炎の症状と40度の熱があった。
女性も濃厚接触者に認定されたが、この頃は第5波のピーク真っただ中。PCR検査が追いつかず、検査の順番が来るまで自宅で1人、不安な日々を過ごすことになった。
コロナ感染者の妻:
物を触れなくなってしまうんですよね。ソファに座れなくなったりとか、テーブルが触れないとか、それこそ食器一つ触れないとか。今この瞬間、何かを触ったら感染するんじゃないかとか…

さらにこの女性を苦しめたのは、周囲からの「目」。食事は配達業者を利用していたが…
コロナ感染者の妻:
お隣の方とかが、配達員の方に何か話しかけている感じがちょっと見えてしまったんですけども。ひょっとしたら、ここの様子とか何か見ていて、何かこう聞き出してるのかなって…。ちょっとそういうふうに思いました

さらに、換気のため窓を空けていると「何で窓を開けているんだ」という電話がかかってきたことも。
コロナ感染者の妻:
すごくショックでしたね。窓を開けたら駄目なのかって思いました

夫の容体、自らの感染の有無、そして近所の目。女性は精神的に追い詰められていった。
コロナ感染者の妻:
「私もこれからどうなるんだろう」っていう不安、死と隣り合わせの不安というのが、こんなに1日だけで状況が変わるのかっていう…。最悪のこともいろいろ考えましたね
当事者になって知った ”コロナの本当の恐ろしさ”
夫が救急搬送されてから4日後、夫の容体も改善し、妻はPCR検査で陰性となった。

コロナ感染者の妻:
私はまだ運が良かった方だと思うんですよ。うちはまだ。もっともっと、いろんな思いをされている方、自分も陽性者になりながら、何もできなくて具合が悪くて、不安を抱えながら家で過ごされている方のことを思うと、もうただただ胸が痛いというか…
新型コロナの当事者になって、初めて分かった本当の恐ろしさ。
コロナ感染者の妻:
実際に感染してしまう、濃厚接触者になってしまうと、今までの生活が一変してしまって、精神的にも相当追い詰められますし、ここまで平穏な生活がありがたいと思うことは、なってみないと分からないですし…。コロナに感染したという家庭がもし近くにあったとしても、不安はあると思うんですけど、そっとしておいてあげていただければと思います

いつ、どこで、誰が感染してもおかしくない新型コロナウイルス。決して他人事ではない。
(石川テレビ)