9月に入ったものの、現在も緊急事態宣言が発令中で外出自粛が続いている。
海外どころか国内への旅行もできないという日々だが、コロナが終息したら旅行に出かけたいと思っている人も多いのでは。
そんな中、いま自宅にいながら旅行を堪能できる「オンラインツアー」の利用者が増えている。
その魅力はどこにあるのか取材した。

自宅で旅行気分「オンラインツアー」

案内人:
これがシマウマです。ケニアには2種類のシマウマがいます

自宅でも旅行気分を味わえる「オンラインツアー」。
こちらは旅行代理店・HISが展開するオンラインツアー専用ページ。
エジプトのピラミッドやペルーの空中都市・マチュピチュ、それに世界5つの都市を巡る「世界一周ツアー」など、日本を含め世界73カ国、1300を超えるオンラインツアーがそろっている。

世界73カ国、1300を超えるツアーが
世界73カ国、1300を超えるツアーが
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HISがオンラインツアーのサービスを始めたのは、全国に緊急事態宣言が発令された2020年4月。利用者は月を追うごとに増え、ことし6月には10万人を突破した。

HISオンラインツアー担当・八幡正昭本部長:
リアルな(海外)旅行に関しては、日本で緊急事態宣言が発令されてから顧客はほぼゼロ、かなり厳しい状態。
コロナ禍で海外旅行・国内旅行で好きに往来できない環境下の中で、リアルな旅行の代替えとしてオンラインツアーの人気は高まっています

オンラインツアー利用者は6月に10万人を突破(HIS)
オンラインツアー利用者は6月に10万人を突破(HIS)

現地ガイドさん目的にツアー楽しむ人も

オンラインツアーの魅力はどこにあるのか、記者が体験してみた。
参加したのは日本から約1万キロメートル、アフリカ大陸の東に位置するケニア・ナイロビ国立公園と“中継”を結んで行うサファリツアー。1時間半のツアーで料金は約4000円。

福島流星記者:
ツアーが始まってすぐに、シロサイが姿を見せてくれました。これがまさに今、ケニアのナイロビ国立公園で見ている景色です

このツアーでは、サイにキリンにシマウマなどアフリカに生息する野生動物を間近に観察できる。

ジョンさん:
いたいたいた、恐ろしい顔してるな~

ジョージさん:
マジで恐ろしい顔してるわけですね

ツアーの案内役を務めるのは、ケニア出身のジョンさんとジョージさん。

(鳥同士のケンカを中継)
ジョンさん:
おっと!!怒ってる?

ジョージさん:
ケンカ中です

ジョンさん:
あ!たぶん、カンムリケリの卵がその辺にあるはずなんですよ。カンムリケリが卵を守ろうとしているんですよ。小さな鳥が、大きな鳥に勝ってるんですよ

中継だからこそ起こる一瞬の出来事も、わかりやすく説明してくれる。

鳥のケンカを実況中継(提供:HIS)
鳥のケンカを実況中継(提供:HIS)

さらに2人が繰り広げる会話も魅力の1つ。

ジョンさん:
ジョージさん、質問が来ています。サイに追いかけられたことありますか?

ジョージさん:
残念ながら、“さい”わい、ないですね

ジョンさん:
残念ながら“さい”わいって、どーゆーことや(笑)

ジョージさん:
(笑)

HISオンラインツアー担当・八幡正昭本部長:
(オンラインツアーを)やってみて僕らも想定外だったのが、これまでになく現地のガイドにヒーローが登場し始める。現地のガイドさんを目的にオンラインツアーを楽しむ人も

「占い教室」や「料理教室」も人気

サービス開始から約1年半。
ここ最近は、インドの人気占い師と中継を結んだ占い教室や、イタリア人に現地の家庭料理を習う料理教室など、いわゆる「学びの旅」も人気だと言う。

HISオンラインツアー担当・八幡正昭本部長:
経験豊富なプロのガイドの案内をうけて、双方向性のコミュニケーションをリアルタイムで取りながら、しかも好きな場所にいながら体験できる

HISオンラインツアー担当・八幡正昭本部長「双方向性コミュニケーションをリアルタイムで」
HISオンラインツアー担当・八幡正昭本部長「双方向性コミュニケーションをリアルタイムで」

自分たちの魅力を世界へ発信「令和版!やじきた道中」

自宅にいながら世界中の魅力に触れることができるオンラインツアー。
逆の見方をすれば、自分たちの魅力を世界に発信するチャンスでもある。

8月、静岡市で行われたオンラインツアー。
遡ること400年前、江戸から京都・大阪に向かって旅をする梅ちゃんとマツヨちゃん。ふとしたことから現代に舞い込んでしまった2人が、蒲原~島田までを旅して歩く「令和版!やじきた道中」だ。

2人:
3・2・1…おおお!!!

マツヨちゃん:
すご~い!これが見たかったんだよね

このツアーを企画した“梅ちゃん”こと望月美由紀さんは。

望月美由紀さん:
静岡の旧東海道・駿州の旅、弥次喜多の旅が2020年度の日本遺産に選ばれたというのを知ってチャンスだなと

静岡市出身の望月さん。
地元で開催された「大道芸W杯」をきっかけに、20年以上前から「クラウンもっちぃ」として活動。パフォーマーとして活動する傍ら、自身が患ったうつ病の経験から「笑顔の力」をテーマに講演活動を行ってきた。
しかし…

望月美由紀さん:
2020年の2月から講演会もイベントもないです

講演はおろか、世界中の人が静岡に集まるビッグイベント大道芸W杯も2年連続の中止が決まった。

望月美由紀さん:
リアルにはなかなか来ていただけないですけど、オンラインを通して静岡の魅力をPRできたらなと

静岡の魅力を伝えるために、まずこだわったのは臨場感だ。事前に撮影した映像を流すだけでなく、中継をつなぎ「黙食」で静岡おでんをアピールする。
そして、もう一つのこだわったのが「笑い」だ。

望月美由紀さん:
こういう状況が長期化すると、心身ともに病んでしまう人が増えてしまう中で、心の栄養、笑い、エンターテインメントは不要不急ではないと思っていて、必須だと思っている

オンラインだからこそこだわった臨場感と、パフォーマーだからこそこだわった笑い。その思いは参加者した人たちにも届いていた。

岐阜県から参加:
楽しかったですね、行ったことのない静岡の場所とか。私も行ってみたいなと思いましたね

地元は静岡、岡山県から参加:
全然コロナ禍で2年くらい帰れていなかったので、本当に旅というか、私は静岡に帰っているような気分で見ることができたので、すごくよかったです

「臨場感」と「笑い」…その思いが参加者にも届く(提供:BPファクトリー)
「臨場感」と「笑い」…その思いが参加者にも届く(提供:BPファクトリー)

望月美由紀さん:
一般の方も出かけられないんですけど、特に病気の方や高齢者の方とか普段から外に出られない、難しい方にも届けたいと思ったので、意図は一つ叶ったかなと。
私たちだからこそ行ける場所、このエンタメだからこそ伝えられるおもしろさを、これからも伝えていきます

望月美由紀さん「オンラインを通して静岡の魅力をPRできたら」
望月美由紀さん「オンラインを通して静岡の魅力をPRできたら」

無機質なパソコンの先で行われるオンラインツアーには、たとえ距離が離れていても、画面越しでも、魅力を伝えたいと願う「人の想い」が詰まっていた。

◆オンラインツアー◆
HISのオンラインツアーの平均価格は5000円ほどで、中には500円台のツアーも。

もともと海外に幅広いネットワークがあることや、オンラインの場合は1度に大勢の人が参加できることからコスト削減につながっているという。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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