こちらは2021年8月に撮影された映像で、集中治療室で新型コロナの重症患者の治療が行われている様子。医師によると、こちらの患者は機械がないと生命を維持できない命の危険がある状態という。重症患者の対応にあたる医師は、今の状態をこう話す。「通常ではあり得ない景色」。
医療の危機は、確実に迫っている。

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東北大学病院の今

ベッドに仰向けになる患者。新型コロナ患者の命を守る「最後の砦」とされる装置、エクモが使われている。医療の危機はもはや首都圏の話だけではない。

東北大学病院集中治療部 志賀卓弥 副部長:
エクモが装着できる患者はあと数名しかゆとりはない。ギリギリに近い状況であることは間違いない

主に重症患者の治療にあたっている仙台市青葉区の東北大学病院。9月、確保した重症病床の3分の2が初めて埋まった。
デルタ株が猛威を振るう「第5波」…。
宮城県内の重症患者は8月中旬から急増し、9月3日には過去最多の34人を確認、わずか1カ月の間で4倍以上にのぼった。

「医療ひっ迫のフェーズにすでに入っている」

東北大学病院集中治療部 志賀卓弥 副部長:
第4波と全く違うのは高齢者がほとんど収容されなかった。おそらくワクチン接種の影響ではと思われますが、ワクチン接種した方で重症化した人は当院ではなかった。
40代・50代に重症化がシフトした。今では20代30代でも、エクモが必要になるほど重症化した人が発生している

若年層にも広がる重症化。新たな感染者が減少傾向となっても、重症患者は予断を許さない状況が続くという。

東北大学病院集中治療部 志賀卓弥 副部長:
重症の患者は2週間ほどピークが遅れてくることが分かっている。医療がひっ迫しているというフェーズにすでに入っていて、患者(新規感染者)が減りつつあっても、このフェーズはまだしばらく続くと考えている

さらに通常よりも多くの医療スタッフが必要となる重症患者への対応は、一般診療にも影響を及ぼすと指摘する。

東北大学病院集中治療部 志賀卓弥 副部長:
ICUや中等症を受け入れているにしろ、そこに割いている人員は、もともとは一般診療をやっていたスタッフ。
一般診療や救急診療のスタッフが、そこにいって診療をしているので、いままでそれをやっていた、つまり治療をうける患者がそこにいた。そういった方を受けないでやっている。その裏返しでもある。
先週はICUに入れないという理由で手術を延期、中止の判断をした人がいる

災害レベルともされる現在の感染状況。危機感を強める医療現場から切実な声があがっている。

東北大学病院集中治療部 志賀卓弥 副部長:
通常ではありえない景色。パンデミックを題材にした映画がありますけど、本当に映画の中のワンシーンかなと時々思う。それが現実で今、患者も我々も戦っているので、そこを乗り越えないと通常の生活に戻ることができないので、どうやって乗り越えるか、みんなで知恵を絞ってやっていくしかない

(仙台放送)

仙台放送
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