東京では病院の重症患者数”高止まり”
「8月中旬からかなり重症者が増えてきている印象がある」。昭和大学病院 相良博典病院長は、こう危機感を募らせた。品川区の昭和大学病院では、8月10日、およ7カ月ぶりに重症患者数が10人以上に達した。9月4日時点でも13人の重症者が入院中で、このうち3人はECMO=人工肺の対応が必要だ。
昭和大病院では、重症患者の増加により、通常診療が制限され、心筋梗塞や脳卒中の患者が入院できない状況となっている。その中で始まったのが、外来患者への”抗体カクテル療法”だ。

外来患者にも抗体カクテル 重症者減に期待
重症化を防ぐとされる抗体カクテル療法は、都内の医療機関で1032人に薬が投与され、およそ75%(771人)について、症状が改善している(9月3日時点)。昭和大学病院では、これまで入院患者などに限っていたが、3日から、新型コロナの外来患者にも、抗体カクテル療法の点滴を始めた。
昭和大学病院 相良博典病院長:
軽症の患者さんで発症から1週間以内の患者さんへの対応になる。中等症、重症化を防ぐという面では非常に優れた療法かと思う
懸念されるのは病院からの”帰宅後”
外来患者は民間の救急車で来院し、問診後、およそ1時間、抗体カクテル療法の点滴を打つ。そして2時間の経過観察で問題がなければ、再び民間の救急車で帰宅となる。懸念されるのは帰宅後の病状把握だ。昭和大学病院では、副反応のチェックリストを作り、患者に渡し、異常が出た場合、すぐに連絡するよう指示している。

今は外来患者の受け入れは1日2人までだが、今後、受け入れを増やす方針。それに伴い、地域のクリニックとの連携も目指す考えだ。
治療法が増えたからこそ 重要なのは感染対策
新型コロナとの戦いが長期間に渡り、当初に比べ、治療法や知見が増えてきたのは間違いない。だからこそ「感染対策が重要」と相良病院長は訴える。
昭和大学病院 相良博典病院長:
治療や予防に対して、ラインナップがそろってきた。感染者数は減るだろうとは思う。ただ、治療・予防の前に、感染しないということが重要。引き続き、感染対策はちゃんと守りながらやっていかなければならない。

昭和大学病院 相良博典病院長:
医療従事者も1年半以上、ずっと同じようなことを続けている。やはり早めに収束してほしいというのは医療従事者全員の願い。感染対策、自分の行動に関して。責任感を持って行動をしてほしい。
(フジテレビ社会部・コロナ取材班 神谷佳宏)