突然、現れた捜査員 2年前の”過ち”とは

残暑が厳しい去年8月下旬。32歳の女性教師の自宅に、複数の捜査員が押しかけてきた。中には女性警察官も含まれている。女性教師の前に紙切れが示された。「捜索差押許可状」。いわゆるガサ令状と呼ばれるものだ。

捜査員は自宅内の家宅捜索に着手。女性教師から事情聴取を始めた。容疑は、東京都青少年健全育成条例違反。この条例は、未成年者との淫らな・わいせつ行為を禁止するもので「淫行条例」とも呼ばれている。その時、女性教師は、2年前の春の”過ち”を思い出していたに違いない。

自宅に押しかけてきた14歳下の”教え子” 

東京都教育委員会は、今月4日、多摩地域の中学校に勤務する32歳の女性教師を、懲戒免職にしたことを発表した。処分理由は、2019年3月28日午後10時ごろからのおよそ30分間、当時、勤務していた中学校の男子生徒と、自宅で性行為に及んだことだった。

都教委は、今月4日、ある女性教師の”不祥事”を発表した。
都教委は、今月4日、ある女性教師の”不祥事”を発表した。
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発表によると、その日、女性教師の携帯電話に、男子生徒から連絡が入った。「春休み期間中に先生の家に遊びに行く」という趣旨だったそうだ。ところが、会話を続けるうちに、男子生徒が、すでに自宅近くまで来ていることが分かった。

女性教師は、当時29歳。この年度では、3年生の担任をしていた。男子生徒は、自分のクラスの教え子だった。年の差は14歳程度。男子生徒については、他の生徒と同じように「かわいいな」という印象を抱いていたそうだ。一方、男子生徒の方は、そうではなかった。

好意を寄せられていた教え子 そして男女の”関係”に

女性教師によると、何となく好意を寄せられていることには気づいていたという。ただ、直接、本人から伝えられた訳ではなかった。悪い予感がしたからなのか、女性教師は、まず、自宅の外で男子生徒と会った。

男子生徒は、女性教師が担任をしていたクラスの教え子だった
男子生徒は、女性教師が担任をしていたクラスの教え子だった

当然、帰宅するよう説得した。しかし断り切れず、午後5時ごろ、自宅に招き入れてしまったそうだ。そして夜を迎え、泊めることになり、男女の”関係”に発展したとのこと。翌日、家に帰っていったという男子生徒。翌4月からは高校に進学したという。

その後、女性教師と男子生徒は、「日常的な接点」はなかったそうだ。女性教師によると、不適切な”関係”は、一度きりだったという。ところが、2年余りが経ち、警察官が目の前に現れ、その”過ち”を思い出すことになったのだろう。

「甘やかしてしまった。一線を越えるべきではなかった」

警察は、どうやって2人の関係を把握したのか。都教委にも明らかにしていないそうだ。過去の淫行事件を振り返ると、被害者が親に相談して被害が発覚するケースや、被害者が何らかの事件に関与し、その捜査の過程で発覚するケースが多いように感じる。

女性教師は、東京都青少年健全育成条例違反の疑いで書類送検されたが、起訴猶予処分となった。
女性教師は、東京都青少年健全育成条例違反の疑いで書類送検されたが、起訴猶予処分となった。

今回の”不祥事”については、発覚の経緯は分かっていない。女性教師は、去年8月30日、東京都青少年健全育成条例違反の疑いで書類送検された。家宅捜索を受けてから2日後のことだった。10月25日には起訴猶予処分となっている。

都教委の聞き取りに対して女性教師は、次のように話しているという。
懲戒免職となった女性教師:教え子の生徒と性的関係を持ったことは、教員としての信用を失う行為であり、とても後悔するとともに反省しています。自分が生徒を甘やかしてしまったことが原因で、生徒から好意を強く寄せられたとしても、一線を越えるべきではなく、管理職をはじめ教職員に、大変な迷惑と心配をかけてしまい、今さらですが、取り返しがつかないことをしてしまいました。

(画像は、いずれもイメージです)

社会部
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