東京都の『軽症者向け酸素ステーション』とは

「感染が広がる中で出来るだけ多くの方に安心して療養をして頂くという施設であります」
東京都の小池知事は、21日午後、渋谷区の都民の城(旧こどもの城)に設置された酸素ステーションを視察した。

この記事の画像(7枚)

この酸素ステーションでは、自宅療養中に息苦しくなり、自ら救急搬送を要請した、軽症患者を受け入れる。救急搬送を要請するのは本人だけでなく、家族など近親者でも可能。『保健所に連絡がつなかい』そういう場合でも、救急搬送を要請すれば、直接、酸素ステーションに運び込まれるという。

到着後トリアージ 必要なら病院に搬送も

ステーションに到着すると、1階で、医師や看護師が病状をみてトリアージ(選別)する。入院の必要があれば、そこから病院に直行。酸素投与が必要な場合は3階と4階に設置された“病棟”に向かう。

治療はせず、長くて2泊3日

「ここは自宅に戻せる状態にするところで、治療施設ではなく、宿泊療養施設と考えて頂けると・・・」
東京都の担当者によると、病院ではないので酸素投与や点滴がメインで、治療はしないとのこと。医師3人と看護師25人が常駐し、24時間体制で、最大130人の患者を受ける。

滞在は1泊2日、長くても2泊3日を想定。食事は宿泊療養と同じように、弁当が出される。部屋ごとに男女を分ける予定だが、患者が増えた場合は男女同室になることもある。そのため別途更衣室が用意されている。

酸素ステーションに持ち込むべきは

東京都の担当者によると、酸素ステーションに運び込まれる時に、持ち込むと良いモノは、
・着替え、タオルなど身の回りのもの
・保険証
・スマホとスマホの充電器など

ここでは、スマホを扱える状態の人には、LAVITAという宿泊療養施設でも使われている経過観察のシステムを使って、体温、脈拍、酸素飽和度などを打ち込んでもらう。だから充電器は必須アイテム。もちろん、ベッドごとにコンセントがついている。また、自宅に戻る際には、民間救急車で送ってもらうが、費用はかからないそうだ

保健所や救急隊の負担軽減となるか

東京都では、「自宅療養」や「入院調整中」の患者が20日時点で3万8785人を超え、自宅療養中の死者も相次いでいる。入院・宿泊療できているのは全体の13%に過ぎない。

そもそも、1日の感染者数は7日間平均で5000人弱。東京ルールが適用される『搬送困難事例』は1日120件以上。FNNの取材では、救急隊員が、自宅療養者の自宅に缶詰めとなり、14時間に渡って酸素投与をし続けた事例も発覚している。

そんな状況の中、この酸素ステーションは、どれぐらいの効果をあげられるのか。保健所や救急隊員の負担軽減につながるのか。東京都の”本気”が試されている。

フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。