世界自然遺産に登録された沖縄県の西表島。
3年に渡って島の現状を捉えたドキュメンタリー映画が完成し、ユーチューブで公開されている。
監督が作品に込めた思いや住民の声を聞いた。
映画監督 仲程長治さん:
「すごいな、西表島」っていうのがずっとありましたね。太古から残ってる自然が今に生きてるっていう
3年にわたり撮影されたドキュメンタリー映画「生生流転」
先人たちの教えを守って「島と共に」生きてきた人々の暮らしや、環境保護の取り組みを3年間かけて撮影。
映画監督 仲程長治さん:
石垣島はどんどん開発されて、埋め立てられて、それは絶対この島だけはやっちゃだめ。飾りのない島は我々が残さないと、島の人として
(映画「生生流転」より)
西表島に漂着するゴミの8割から9割はプラスチック類。プラスチック類というのは、プラスチックそのものよりいろんな有害化学物質が加えられているんですね、色を付けるとか、燃えにくくするとか性質を変えるために、いろんな有害化学物質がもともと添加されている。
イリオモテヤマネコの交通事故は、1978年に最初に確認された。
2016年には過去最悪と言われた7件、わずか2年後の2018年にはそれを上回る9件になった。
多くの観光客が訪れることで懸念される“観光公害”…
東洋のガラパゴスとも称され、希少な生き物が生息する西表島。
新型コロナの影響を受ける前は年間30万人余りの観光客が訪れ、「観光公害」いわゆるオーバーツーリズムを懸念する声が高まっている。
映画監督 仲程長治さん:
ツアーの皆さんがジャングルに入っていく、そこの中で例えば岩とか根っことか、これが踏みしめられて、どんどん木が枯れていく、あと枝を折る。
世界自然遺産になった時に、ドーンって島を知らない人たちが入ってくるのが一番怖い。だからまず観て、島を知ってほしいっていう
映画では島の行事や慣習・文化も紹介
映画監督 仲程長治さん:
島で暮らす人っていうのは自然と共存してて、だからその文化も全く自然と一緒で、共存しながら助け合いながら共に生きている
島にある自然の素材を用いた染め織物を手掛ける住民の石垣昭子さん。
時と共に人々の暮らしが変わり、固有の文化や風習を継承する難しさを実感している。
西表島在住の石垣昭子さん:
移住者が増えてきて、私たちのような島人があんまり少なくなってきているし、高齢化になっているし、文化を引き継いでいくっていう世代が結構年いってるし…そういう過渡期が今きてて。
それで遺産に選定されたときに、やっぱり考えとかね、差はやっぱりありますよね
映画は次世代に向けた島の貴重な資料
映像の記録は次の世代に向けた貴重な資料。
西表島在住 石垣昭子さん:
今私たちも、昔はどうだったんだろうっていうそういう疑問がたくさんあって。それも昔、50年前の祭事のあり方とか暮らし方とか、手探りするのにまったく資料がなくて。ましてや映像なんてまったくないですので、そういう意味では次世代に引き継ぐための資料としては、非常に立派なものなんじゃないかなって
(映画「生生流転」より)
伝統っていうのは、自然の恵みを減らさないような知恵が伝統。それが祭りごとや行事だから、人間もこの自然の中で生きている生き物のただ一人にしか過ぎないだから。
人間が自然を踏みつけにして前に出てはいけないというのが昔からの教え。これは昔から今もそうだし、これから先も絶対に変わらんこと、変えてはいけない
2021年7月26日 西表島が『世界自然遺産』に登録。
国の内外から注目が高まる今だからこそ、この映画を観て欲しい。
映画監督 仲程長治さん:
一度映画を観て、西表島ってそういう島なんだと。観光に来て、ペットボトルの飲料を飲んで、ゴミを捨てて帰っていくではなく、みなさんエシカル(倫理的)な心を持って、島を愛する感じでここの島に訪れたら本当にいいのかなと思ってます
(沖縄テレビ)