今年の夏休みはどうするか…感染対策などをしっかり守り、既に予定を立てている人もいるかもしれない。

日本有数の観光地である富士山は、昨年は1日も登山できなかったことを編集部でもお伝えしているが、今年は4つある登山道のうち吉田ルートが1日に開通し、残る3ルート(須走、御殿場、富士宮)も7月10日の開通を予定している。

(参照記事:「今年は富士山に登れません」登山道にバリケード…山梨県に理由を聞いた

この機会に初めて富士山への登山を挑戦する人もいるかもしれないが、そんな登山の安全を守る富士登山専用のiPhoneアプリが登場した。

出典:ヤマレコ
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全国対応の登山専用アプリ「ヤマレコ(YamaReco)」を提供する株式会社ヤマレコが、その名も「富士山(Mt. Fuji)」という富士登山専用の無料地図アプリを6月30日にリリースしたのだ。

アプリ「富士山」は、「富士山の全体地図」「4つのルート」「その他、富士登山に必要な情報」をまとめたシンプルな内容で構成。4つのルートから登りたい道を選ぶと、登山の記録がスタートする。

地図データはアプリ内蔵のためダウンロードもいらず、登山中の現在地と方角を示してくれるという。

出典:ヤマレコ
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なお、登山初心者は地元の人などに「○○まであとどのくらいですか?」などと聞くことが多いとし、そんな疑問を解消するため、登山者の歩くペースに合わせて各ポイントの予測到着時間を表示する機能もある。

また富士山では多くの登山客が詰めかけることで、富士登山ならではの問題が起きているという。

その一つが、吉田ルートと須走ルートの下山道の分岐に気づかず、吉田ルートから間違って須走口に下山してしまう問題。分岐点ではもちろん看板を用意したり、音声アナウンスを流したりして注意を喚起しているというが、それでも気付かずに道を間違える人が例年、後を絶たないそうだ。

出典:山梨県
出典:山梨県

そこでアプリでは、分岐点が近づくと「間もなく分岐です。看板を確認し道間違いに注意してください」と音声で注意

それでも道を間違えてしまった場合は、さらに「警告。予定ルートから外れたようです。富士山のアプリを開いて地図を確認し、道を間違えた場合は引き返してください」と、音声と振動で教えてくれるのだ。

さらに、富士山にある山小屋の多くは新型コロナの影響で混雑を避けるため予約を取るよう求めているのだが、予約をしなかった登山客が訪れてしまう問題も起きているという。

そこでアプリは、電話番号などが載った山小屋リストの詳細画面に注意書きを加え、山小屋の情報を確認した際に予約をしてほしいとしている。

出典:ヤマレコ
出典:ヤマレコ

なお「富士山」アプリは7日現在、iPhone版のみで日本語と英語に対応しているが、今シーズン中にはアンドロイド版をリリースし、利用状況によって多言語対応を検討するとしている。

ところで「富士山」アプリの前身でとなる「ヤマレコ」は、今年5月末で60万以上もダウンロードされるほどの人気なのだが、なぜそれとは別に「富士山」に特化したアプリを作ったのだろうか? また、そもそも富士山で、スマホの電波は入るのだろうか?

気になる点を担当者に聞いてみた。

富士登山の大幅増を想定し開発

――なぜ「富士山アプリ」を作った?

もともとは2020年の東京オリンピックのタイミングで富士山を訪れる観光客が大幅に増える想定であったことを受けて、開発をしようと思い立ちました。

例えば吉田ルートでは外国人登山者の割合は多い日では20%〜30%に達しており、日本の登山に馴染みのない外国人の登山者も対象するにはヤマレコアプリでは案内が不十分と考えました。そして日本人についても、富士山を登る登山者には初心者の方も多く、登山に馴染みのない初心者の方でも使えるアプリが必要と考えました。


――「ヤマレコ」アプリと「富士山」アプリでは何が違う?

ヤマレコアプリは登山を趣味とする方を対象にしているため、自身で登山のルートを柔軟に計画できたり、装備などの準備や事前の情報収集もご自身でできるような、ある程度の登山経験があることを前提に作っています。

富士山アプリはスマホや登山初心者でも使えるように、富士山にどこから登るかを選ぶだけで登山ができるように作っています。また今後初心者向けのコンテンツも増やしていく予定です。


――ちなみに、富士山はスマホの電波が入るの?

携帯電話のキャリアによっても変わりますが、富士山では携帯電話の電波は入る場所もありますし、入らない場所もあります。

富士山アプリの基本的な機能である、「地図を見ながら登山する」「ルート外れの警告をする」「予想到着時刻を見る」などは、電波のない場所でも利用いただけます。携帯電話のバッテリーを消耗しないために、機内モードに設定されている場合でもご利用いただけます。


――吉田ルートと須走ルートの“道間違い”はそんなに多い?

弊社では具体的な数値は持ち合わせておりませんが、毎年トラブルが発生しており、富士登山オフィシャルサイトで呼びかけられていいます。

また、現地に人員を配置したり、スピーカー等で伝える取り組みもされていますが、疲れた登山者に声が届かないことも多く、完全に道間違えを防ぐことはできていないと聞いております。これらの取り組みの中の1つとして役立てることを期待しております。


――他の山のアプリも作る予定は?

現状は具体的な予定はありませんが、富士山アプリの利用状況や反響を踏まえた上で検討していきたいと考えております。

なお「富士山」アプリでは、無事に登頂を果たすと、SNSなどでシェアできるオリジナルの登頂証明を発行できる機能もある。

今年の夏、もし富士登山を計画しているのであれば、このようなアプリを試してみるのも良さそうだ。ただし、くれぐれも感染対策を徹底しながら、安心安全を心がけてほしい。

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

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