新型コロナウイルスによる様々な規制も徐々に解除され、県をまたぐ観光は夏の行楽シーズンを前に可能になった。一方、日本を代表する観光地として世界に知られる富士山は今年まったく登山ができない
 

画像提供:山梨県

富士山には4つの登山道があり、例年なら山梨県の吉田ルートは7月1日、静岡県の須走・御殿場・富士宮ルートは7月10日に、それまでの冬季閉鎖が終わって開通するのだが、今年は全て通行止めが決まっている。4ルートの規制は9月10日まで続き、翌11日からはまた冬季閉鎖が始まるため、つまり富士登山は今年1日もできない。
 

また、5合目まで登れる車道は静岡県側がすべて閉鎖。山梨県側の富士スバルラインのみが、工事を終わった6月15日から台数を制限したうえで通行を再開している。さらに両県に問い合わせたところ、静岡県側は6月1週目に、山梨県側は6月10日ごろに、登山道を塞ぐバリケードを設置したという。
 

登山道閉鎖に至ったワケ

新型コロナウイルスの感染を防ぐため、静岡では県・市町・山小屋関係者が話し合った結果、富士山の開山を断念し、登山道の通行止めを決定した。

山梨では、まず富士吉田市が登山ルートにある富士山八合目救護所の安全確保ができないと夏季の開設を断念。あわせて山小屋の組合に営業自粛を要請した。これを受けて山梨県が登山道の閉鎖を決定したという。
 

出典:富士登山オフィシャルサイト

編集部では、ゴールデンウイーク前に山岳団体が登山の“自粛要請”を呼び掛けたことを取り上げたが、今回は自治体が動いた格好だ。

(参考記事:新型コロナ対策で山岳団体が登山の“自粛要請”…自然の中でもやはりダメ?理由を聞いた
 

バリケードまで設置したのはなぜなのか?また、営業自粛となった山小屋のスタッフに何らかの補償はあるのだろうか?
山梨県の世界遺産富士山課や道路管理課、道路整備課、観光文化政策課などの担当者に聞いてみた。
 

周知・危険回避・いつも以上にしっかり閉鎖するため

――なぜバリケードを設置した?

まず、登山道の通行止めを知らずに来られた方に周知するためというが1つ目の理由です。登山道は、山小屋や救護所が閉じており緊急的な避難ができないという危険がありますので、これを避けるためというのが2つ目。あとは、人のいない山小屋が荒らされる可能性があるので、今まで以上にしっかり閉鎖する必要があるというのが3つ目です。
 

――バリケードを無理やり通る人への対策は?

富士スバルラインは日中の営業ですから、登山道にも昼間しか人が来ないと考えており、バリケードには規制されていることをご案内する誘導員を配置しております。夜間は誘導員がおりませんので、人を感知すると音を発する警報や、防犯カメラを設置しています。
 

――他にどんな方法で通行止めの告知をしている?

まずは県のホームページやSNSでの周知しています。
他に、本県と静岡県で共同で閉鎖の告知ポスター作成し、旅行店や登山用品店などに設置していただいております。
 

ポスター画像 出典:山梨県

登山道は非常に危険な状態になっている

――山小屋スタッフになんらかの補償は?

自主的に営業されていないので補償はありません。
 

――救護所スタッフへの補償は?

救護所のスタッフは、平常時に病院に勤務されている医師や看護師にお願いをしていますので、補償というものはございません
 

――改めて登山ファンに伝えたいことは?

例年であれば、登山道は毎日パトロールをしているんですが、今年はできません。登山道の整備もできていないので、いつ落石があってもおかしくないのです。道路を管理する私たちの立場から言えるのは、今年は登山道が非常に危険な状況になっているので、どうか立ち入らないでいただきたいという事です。
 

富士山に全く登れないというのは愛好家にとっては残念だろうが、コロナ禍で登山道の安全も確保できないという状況なので、今年は我慢するしかないだろう。