夏休みは遊びに出かけたくなるが、新型コロナウイルスの感染リスクを考えると、混雑しそうな場所は避けたいところ。そこで今年は、野外活動を計画する人もいるのではないだろうか。

野山などは「3密」になりにくいだろうし、自然に囲まれてリラックスできるため、悪くない選択肢と思われる。ただ、その計画を実行に移す前に、ぜひ見てもらいたいものがある。

夏はキャンプという人も多いはず(画像はイメージ)
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コロナ禍でも野外活動を適切に楽しんでもらえるようにと、野外活動やアウトドアスポーツを推進する10団体が、ウィズコロナ時代の行動ガイドラインとして、心がけてほしいことを共同提案しているのだ。

大切なのは出発前から!覚えておきたい6つのヒント

共同提案では、ウィズコロナ時代の行動ガイドラインを「ステイコネクテッド」(つながりを保つという意味の言葉)と名付けた上で、野外活動で心がけるべき6つのヒントを示している。

【野外活動で心がけるべき6つのヒント】

・「行く前に」心がけてほしいこと

(1)出発前に現地の状況を調べよう
現地の最新情報を確認しよう。救急医療機関などが切迫している可能性もあります。閉鎖中の登山道やフィールドには行かないこと。混雑が予想される場合は、柔軟にプランを変更しよう。

(2)事前にしっかり計画しよう
商店や施設の閉鎖を考慮し、食料や装備は事前に準備しよう。手指消毒液、マスクやフェイスカバーは必携です。多数の人が集まる場に行くときは、感染防止対策がとられているか確認しよう。

(3)身近なフィールドで過ごそう
感染を他所に広めてしまう可能性もあるので、遠出は慎重に。生活を共にしている家族や、特定のパートナーとの行動を基本とし、できるだけ身近な自然を楽しもう。

・「行ってから」心がけてほしいこと

(4)フィジカル・ディスタンスを実践しよう
家を出たら、他者との身体的距離を確保し、いつでも鼻と口をマスクやフェイスカバーで覆うことができる準備をし、どこでも手指の消毒ができる用意をしておこう。

(5)安全第一で行動しよう
ケガや事故防止のため、普段よりゆっくり行動し、挑戦的な行動は慎み、リスクの少ない工程やルートを選ぼう。少しでも体調が悪いと感じたら活動は中止しよう。

(6)自然にダメージを残さないこと
山や海、川などの自然に配慮し、フィールドを管理するスタッフや地域社会に敬意を払おう。持ち込んだものはすべて持ち帰り、ごみやダメージは残さないこと。

この6つのヒントからは、基本的な内容もあるが野外でも感染予防には気を付けなければいけない必要性が伝わってくる。

では、感染リスクを避けつつ野外活動を楽しむためには、どうすればいいのだろうか。共同提案の統括団体である、「一般社団法人 コンサベーション・アライアンス・ジャパン」の担当者に聞いた。

誰にでもわかるガイドラインが必要だった

――ステイコネクテッドを提案した狙いや背景を教えて

今回の共同提案以前にも、ガイドラインは出したのですが、そのときは感染拡大を抑えるためにアウトドアも控えましょうというニュアンスでした。そして「ステイ・ホーム」となった結果、人と自然の孤立や分断を招いてしまったのではないかという反省がありました。

野外活動の現場に近い人たちも個別に詳細なガイドラインを作っていたのですが、それは詳しいがゆえに長文となり、理解して行動指針とするには、ある程度の経験が必要でもありました。

そこで、誰にでもわかるシンプルな表現で包括的なガイドラインを作り、それぞれのアウトドア、野外活動に最適化したガイドラインにつなげていくのが、良いのではと考えました。


――野外活動をする人はコロナ禍で増えている?

比較対象によって見え方が異なります。「コロナ前」と比べれば減っているが、「他の外出(旅行など)」と比べれば、ジョギングなど新たに野外活動を始めた人もいることから、そういった意味では増えているとも言えるでしょう。日常レベルでは自転車の販売などが好調なのは事実です。

「野外の方が感染リスクが少ない」という認識と合わせて、外出自粛のストレスを緩和させるために、少しでも自然の空気を吸ったり、体を動かしたい、という人が増えているのではないでしょうか。

自然でストレスを緩和しようとする人は増えているという(画像はイメージ)

――活動の傾向などに変化はある?

不特定多数の団体やツアーよりも、自家用車で移動する「ファミリー単位」が増えている印象です。お盆休みを迎え、高速道路は一部で渋滞が発生している一方で、新幹線や飛行機の利用者は少ない状況が続いているのは、その表れかと思います。

なお、休日のレジャーとして見た場合には、キャンプ場や山小屋などのいわゆる「施設」などは予約定員を減らしているので、満室であるケースも多いと思います。ただ、それを持って、遠出して野外活動する人が例年よりも増えているとは言い切れません。野外活動の形態には、日帰りやテント泊などもあるため、私たちも実態はわかっていません。

野外でも「密」と無縁ではない

――野外活動は密とは無縁に思えるが、感染リスクは潜んでいる?

無縁ではありません。発症前に他人に感染させる可能性、無症状の人が多いことを考えれば、野外でもリスクはゼロではなく油断はできません。例えば、登山道やハイキングコースなどは自然へのダメージを最小限にするために、人が歩いてもよい場所は決まっていますし、狭い道幅の登山道では近距離でのすれ違いも発生します。

自然公園などでは、植生保護のために人の立ち入りを禁止するエリアもあります。そうした場所には、みんなが観察したい対象があることも多く、多くの人が集まれば密な状態にならないとも限りません。

野外でも人が集まる可能性はある(画像はイメージ)

――目的地や移動手段を選ぶときの注意点は?

密を避けるために野外に行くという前提では、前述したように油断を招きかねないと思います。「行く前に」しっかりと現地の状況を調べ、事前に計画を立てましょう。行く場所については、混雑する時間帯に最も人気のある場所に行かず、分散させることが賢明な選択です。

とはいえ、皆さんの体力や経験、スキルでは不安があるようなリスクの高い場所では、活動をしないことも必要です。目的地から離れた場所での降雨が、川の流れに影響することもあります。コロナ禍ではリスクのある活動は避けて、安全に楽しめるところを選びましょう。


――特に注意してほしいことは?

重要なことは自身の感染リスクと同時に、目的地のコミュニティや人々、医療機関のことを考えること
です。地域の皆さんは歓迎したいという思いがありながらも、域外から来る人に対する不安を感じています。医療機関が脆弱なエリアは特にそうです。配慮して行動しましょう。

野外だからこそ気を付けたい7つのこと

――野外だからこそ気を付けたいことはある?

全部で7点あるので、箇条書きでお伝えします。

(1)「野外は感染リスクが無縁」と考えがちですが、混雑する場所・時間などではそうではありません。フィジカル・ディスタンスが取れないところには行かないようにしましょう。

(2)熱中症や高山病などの初期症状は、コロナとの判断がしにくい場合があるので十分な予防対策を取りましょう。

(3)標高が高くなる登山や、息が上がるペースの登山など、運動量の多い野外活動でマスクを着用し続けることはリスクを伴います。ただ、マスクをして行動せざるを得ない場合には、いつもよりゆっくりしたペースで、負荷を抑えた行動が望ましいです。

(4)野外は落雷や滑落、川の流れの急変など生命に直結するリスクがあるので、出発前に天気予報を確認したり、雨具などの必携品を忘れないことも大切です。

(5)人々が活発に行動している時は、息やそれに伴う飛沫は2メートル以上飛ぶ可能性があります。また、風が強い中では、唾液の飛沫は風下方向に2メートル以上移動する可能性もあります。風向きに気をつけ、他人とは長めの間隔を開けましょう。他人のそばを通過する際の最良の対策はマスクを着用することです。

(6)子供やお年寄りなど、体力の劣る人に行動を合わせましょう。

(7)野外活動に関するガイドラインは、地方自治体や土地所有者によって異なる場合があります。各施設の利用ルールや利用状況は逐次変化していることに注意してください。


――感染リスクを避けて野外活動を楽しむには?

ステイコネクテッドを参考に計画や行動をすることを推奨します。中長距離の移動を伴う人気のある場所に行かなくとも、身近に魅力的な自然やフィールドがあるかもしれないこと、ゆっくりと過ごすことで新しい魅力、発見があるかもしれないことを意識してほしいですね。こんな時だからこそ、家族で行動して楽しむことも、新しい満喫の仕方ではないでしょうか。


――野外活動を予定する人に伝えたいことは?

大人が子供のお手本になることですね。出発前からの体調管理、生活習慣には気を付けてほしいと思います。自身と他人の健康・安全を最優先し、少しでも体調に不安を感じたら出かけるのをやめましょう。体調が万全で実際に出かけるときは、身近な自然の中で過ごし、自然にダメージを残さないようにしましょう。

遠出しなくても楽しむ方法があることも覚えておきたい(画像はイメージ)

野外は開放的な気持ちにさせてくれるが、人が集まるような場所には感染リスクもあることを忘れてはならない。

実際、岩手県初となった盛岡市在住の新型コロナウイルス感染者は、先に感染が確認された県外の友人と、キャンプ場で同じテントに宿泊していたという。

野外活動に出かける人はステイコネクテッドを参考に、誰もが感染しない、感染させないことを意識しつつ、今年の夏を楽しんでほしい。

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