イマドキの高校生の力が集結して製作された映画。
監督を務めたのは、福岡県内の17歳の女子高校生。題材にしたのは、自身の病気のことだった。

「当事者ならではの視点で」

2020年8月、ある映画の撮影がスタートした。和気あいあいとする撮影現場。

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監督を務めるのは、福岡県内の高校に通う西山夏実さん(17)だ。

監督・西山夏実さん

監督・西山夏実さん:
頑張って60分にしたんですけど、最初は45分の予定だったので、やりながら、「あれ? 余裕で45分超したじゃんって

今回、映画の題材にしたのは、自分自身の病気のことだった。

監督・西山夏実さん:
(病気について)簡単に言うと、朝起きられない病気になっちゃうんですけど

自身の病気について語る西山夏実さん

監督・西山夏実さん:
夜10時とか11時に寝るんですけど、寝られても夕方4時とかにしか起きられない。気持ちとか、そういうのじゃなくて、ひっぱたかれても何しても起きない

病名は、「起立性調節障害」。

朝、起きたいのになかなか起きられない…
自律神経の不調から起こる病気で、成長期の10代に多く、中学生の約1割がこの病気で悩んでいるといわれている。

また、午後になると症状が軽減してくるのも特徴で、怠けているのではないかと誤解されやすい病気だ。

監督・西山夏実さん:
一番ひどいときは、(昼と夜が)真逆の生活で、何カ月も友だち、家族としゃべれない。取りあえず孤独

映画「今日も明日も負け犬。」製作委員会

監督・西山夏実さん:
きれいごとじゃなくて、痛いくらい共感してもらえる、当事者ならではの視点で描けたらいいなって

本番直前まで悩んだシーンは…

映画製作を支えた26人のメンバーは、ほとんどが高校生。メークをするのも小道具を作るのも全て自分たちだ。

映画「今日も明日も負け犬。」製作委員会

イマドキの高校生の力が集結して、映画が作られていく。

脚本を務めた小田実里さん(17)と主演を務めた古庄菜々夏さん(17)は、高校の同級生。

脚本・小田実里さんと主演・古庄菜々夏さん

脚本・小田実里さん:
文字と頭の中の想像だけだったのが、目に見えて大きな画面に出るのが面白い

主演・古庄菜々夏さん:
監督から、症状や心情を聞いて表現するので、間違っちゃいけないっていう不安はありました

西山さんが本番直前まで悩んだというシーンがある。

監督・西山夏実さん:
自傷行為のシーンは、カッターを映すのか、映さないのか

映画「今日も明日も負け犬。」製作委員会

監督・西山夏実さん:
それを映すことによって、どうなっちゃう人がいるかなとかまで考えて…。
最終的には、当事者としての判断で、「ここまで追い込まれるんだよ」というのを、当事者としては、ずっと叫びたかったので…。この作品で叫ばなかったら、どこで叫ぶんだって思って、自分の体験をそのまま流した

「励ます映画ではなく、寄り添う映画」

製作期間は1年。映画が完成した。
主人公は、明るく元気な中学生「夏実」。監督の西山さんと同じ名前だ。

映画「今日も明日も負け犬。」製作委員会

自らの病を題材にした映画のタイトルは、「今日も明日も負け犬。」

監督・西山夏実さん:
(タイトルについて)頑張っている時に頑張れとか言われたくないので、「負け犬同士やっていこうぜ」みたいな。励ます映画じゃなくて、寄り添う映画。その人その人の状況に応じて、ただぎゅーってしたくなる映画。心のそういう部分においてほしい

やってきたのは、福岡市の「マークイズ福岡ももち」の映画館。クラウドファンディングで費用を集め、映画館での自主上映が決まっていた。

7月3日と4日の2日間で計3公演実施された上映会には、合わせて約900人が来場した。

(テレビ西日本)