洪水対策に「水に浮く住宅」 水が引くと元の位置に着地…「防災」を考えた新しい家づくり【福島発】
常識が通用しない…いま備える防災

洪水対策に「水に浮く住宅」 水が引くと元の位置に着地…「防災」を考えた新しい家づくり【福島発】

福島テレビ
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梅雨時期に起きた大雨被害。
2011年には九州北部豪雨。2018年には西日本豪雨で271人の方が犠牲となった。
その後も毎年各地で被害が相次ぎ、多くの人が命を落としている。

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ーーなぜ被害が繰り返されてしまう?

東京大学大学院客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
先ほどお示ししました大雨被害は、梅雨末期なんですよ。だいたい6月末から、今までだったら7月の上旬から中旬にかけて。
この時期は台湾の沖合で暖かく湿った空気がたくさんあって、それが高気圧に押されるように、日本の上空に来るんですよ。だから大量の雨をもたらす。
これは西日本だけじゃないんです。2020年は7月に山形で、この梅雨末期の大雨で河川が氾濫した。福島も雨に弱いんですよね。
これから6月末から7月にかけては要注意の時期だと思います

こうした相次ぐ洪水被害を防ぐために、住宅メーカーも最新の技術も取り入れて対策を強化している。

住宅メーカー「一条工務店」が福島・二本松市に整備した実験体験施設。
最新の技術を取り入れて開発された住宅を、福島県で唯一体験することができる。
それは「水に浮く家」。仕組みを知るために実際に浸水被害を再現してもらう。

福島テレビ・阿部加奈子記者:
水を入れ始めてから、まもなく10分になります。水の深さは120cmのところまできていて視覚的には恐怖も感じるが、窓を見てみると水が浸入してくるような気配は全くありません

まず、7倍の強度を持つガラスと、つなぎ目のないパッキンが1トンにも及ぶ水圧に耐え、内部を水から守る。
さらに…

一条工務店福島飯坂展示場・宮内崇明さん:
汚水汚泥が外から入ってくるのを、こちらでフタをして排水が逆流するのを防いでまいります

逆流を防止する弁が付いた特殊な配管により、排水溝から水が逆流するのを防ぐ。
そして、深刻な浸水となり、一定の水位を超えると…

福島テレビ・阿部加奈子記者:
水を入れ始めて15分が経過しました。家の周りには13cmを超える水が浸水しています。室内は安定感・安心感ありますが、足元は浮遊している感じで少し不思議な感覚です

外に設置したカメラには、わずかに揺れる建物が。

一条工務店福島飯坂展示場・宮内崇明さん:
この家には水の浮力がかかりまして、この家自体がそのまま浮いているという状態になっております

浮力を利用して建物全体を水に浮かせる画期的な方法により、最大5メートルの浸水まで対応できる。
家の四隅はポールでつながれているため流されることはなく、水が引いたらほぼ同じ位置に着地。浸水による被害を最小限に抑えられる構造になっている。

一条工務店福島飯坂展示場・宮内崇明さん:
水害の対策ができる住宅があるんだということを認識いただいて、想定外の水害に対して、みなさまの日常の生活をなるべくお守りする。そういう未来になればいいかなと思っております

床下を作らないことで浸水なしに

一方、別の住宅メーカー「ユニバーサルホーム」では、床下の部分に命を守る工夫「床下浸水がありえない家」が展開されている。

ユニバーサルホーム技術研究課・鈴木基之課長:
元々、床下がない基礎ですから、物理的に床下浸水が起こらない基礎となっています

一般的な住宅は床下に空洞があるが、この住宅メーカーでは、砂利を敷き詰めた上で鉄筋とコンクリートで密閉した。
そもそも水が流れ込むスペースが存在しないため、床下浸水も起きない構造を採用している。

ユニバーサルホーム技術研究課・鈴木基之課長:
床下浸水した場合は床を剥がして、さらにその下の汚泥を取ったり、消毒とかいろんな費用がかかる中、弊社では床を剥がすと、すぐコンクリートだから、少ない費用で補修が済んだという言葉もいただいている

デザイン性だけでなく、「防災」という観点を備えた新しい家づくりが広まりつつある。

避難経路の確認も忘れずに

2019年の東日本台風では、福島県内で1万棟を超える住宅に被害

ーー防災に注目した家選びや、家作りを意識せざるを得ない?

東京大学大学院客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
水害も地震も、災害というのは確実に増えてると私達実感してますよね。
それといま新型コロナ感染症もあって、私達はどちらかというと自宅にいる時間が多いじゃないですか。
住んでいる家を、災害に強くするということは重要なことだと思います。
例えば、地震には家具を固定するとか、ひと部屋でも安全な部屋を作る。あるいは水害には、自宅が浸水する場所にあるとすれば、安全な場所への逃げ方を決めておく。
ちょっとしたことから始める。これが重要だと思いますね

ーーコロナ禍の中での避難をスムーズにするために、避難行動を呼びかける自治体に求められることは?

東京大学大学院客員教授・防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さん:
コロナ禍であっても、みんなが安心して防災できる・避難できるためには、やっぱりワクチン接種ってのは急ぐべきなんですよね。
国・自治体は、様々な接種機会を増やす努力する。企業も職域接種を進めることで、欧米の例から見ても、接種率を高めることによって社会も戻るんですよ。
自治体も大変だと思うんですけど、そういう意味ではワクチン接種をさらに進めてほしいと思いますね

2021年5月20日から内容が変わった5段階の「警戒レベル」。
これまで「警戒レベル3」は、避難準備・高齢者等避難開始とされてきたが、現在は「高齢者等避難」高齢者の方は、この警戒レベル3になったら避難を。
「警戒レベル4」は「避難指示」に一本化され、「警戒レベル4」までに全員が避難を。
「警戒レベル5」になると、すでに災害が発生していて、危険な状態を意味する。

空振りを恐れず、早め早めの避難を心がける必要がある。

(福島テレビ)

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