90人超の患者に看護師は2~3人態勢

石川県が一括で借り上げている軽症者や無症状者向けの宿泊療養施設は、5月10日の発表では340床中、94床が使用されている。
数字だけを見ると空きがあるように見えるが、すでに限界に近づいていることが分かった。

県の宿泊療養施設で働く看護師:
(施設の入所者が)100人を超えると、今の人数ではとてもやっていけない

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療養する患者を乗せたとみられる車が、金沢市内の宿泊療養施設の中に入っていった。
現在、90人以上の新型コロナウイルスの患者が入所する金沢市の宿泊療養施設。

90人以上の患者が入所する宿泊療養施設(石川・金沢市内)
90人以上の患者が入所する宿泊療養施設(石川・金沢市内)

感染者の急増を受けて、入所者の数は2週間で3倍以上に跳ね上がった。

県の宿泊療養施設で働く看護師:
一人一人に電話をして(健康観察を行う)時間が、すごくかかるようになってきて。前は1時間で済んでいたものが、2時間、3時間になったり。看護師の業務としては、ひっ迫している状況

施設では、看護師が1日に2回、患者に電話で健康観察と精神的なケアを行う。

宿泊療養施設で行う看護師の業務
宿泊療養施設で行う看護師の業務

仕事は、これだけではない。医師との情報共有、新規患者の受け入れなど、業務は多岐にわたる。
90人を超える患者に対し、現在 看護師は2~3人態勢。高い感染リスクと隣り合わせの中、激務を続けている。

県の宿泊療養施設で働く看護師:
病院で少し落ち着いた、きのうまで熱が出ていて、きょう熱が下がったので大丈夫とホテルに来たら、その日の晩は熱が出ているとか、本当に多い。じっくりと見ていられない。病院もひっ迫して大変なので

県の宿泊療養施設で働く看護師:
だから私たちは、病院から来た人でも絶対に手は抜けない。ピリピリしながら看ています

満床になる前に限界が…

さらに取材を進めると、「340床」とされている施設の受け入れ可能数にも、県の発表通りにはいかない事情があることが分かった。

宿泊療養施設の受け入れ可能数 340床(県発表)
宿泊療養施設の受け入れ可能数 340床(県発表)

県看護協会・小藤幹恵会長:
満床に近い状態にはできない。ある程度、退所されたあとの整理をする時期が何日かかかりますので

県看護協会によると、次の患者を入れるためには消毒が必要で、数日間 ウイルスが減るのを待つ必要があるという。
しかし、業者の人出不足もあり、消毒は部屋ごとではなく、フロア全体が空き部屋になるのを待って行う。

このため、満床になる前に限界が来てしまうというのだ。

(Q.100床を超えると厳しい?)
県看護協会・小藤幹恵会長:

120~130床を超えると、ホテルの運用面から言うと、もう次の手を打つ方法論を用意しないといけない。調整機能の強化は、より一層必要になってくる

石川県看護協会では、宿泊療養施設で働く潜在看護師を募集している。

(石川テレビ)

石川テレビ
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