福島・郡山市にある坪井病院の新型コロナウイルス患者専用の病棟を取材した。

管理できる部屋を提供…医師の身も守る体制を

坪井病院・杉野圭史副院長:
坪井病院の新型コロナウイルス患者さん専用の病棟になります。隔離病棟になります

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福島・郡山市の坪井病院。
2021年から新型コロナウイルスの専用病棟を設置し、3人を受け入れられる体制を整えた。

モニター
モニター

坪井病院・杉野圭史副院長:
基本的に、できるだけコロナの患者と直接、接することを避けるために、モニター越しにお話したり、電話でコンタクトを取って、診療を続けている

院内感染を防ぐため、細心の注意を払いながら、これまで軽症者など25人の治療にあたってきた。

坪井病院・杉野圭史副院長:
患者さんをしっかりと管理できるような部屋を提供し、わたしたちも身を守る。この体制2つがちゃんとともなわないと、コロナ診療はできないと考えています

副院長が撮影…“レッドゾーン”はどうなっているのか

入院患者の治療にあたり、感染リスクが最も高いエリアは「レッドゾーン」と呼ばれ、防護服の着用が義務付けられている。

関係者以外の立ち入りが厳しく制限されているため、杉野副院長にカメラを渡し、特別に最前線を撮影してもらった。

(撮影:杉野副院長)
(撮影:杉野副院長)

坪井病院・杉野圭史副院長:
こちらにありますように、もともとあった個室を利用している

個室の病床を改修した、実際のコロナ病床は...

坪井病院・杉野圭史副院長:
実際に患者さんの部屋に入っていきます

奥に大きな機械がある(撮影:杉野副院長)
奥に大きな機械がある(撮影:杉野副院長)

一般的な病室とほとんど変わらないが、目立つのが大きな機械。

(撮影:杉野副院長)
(撮影:杉野副院長)

坪井病院・杉野圭史副院長:
換気していく。中の空気がよどまないように外に流していく装置がついています。陰圧装置です

テレビが備え付けられたこの病室で、患者は最低でも10日間入院する。

福島県内のコロナ病床の底上げにつながっている一方で、こんな影響も...

福島テレビ・本山優紀記者:
こちらのフロアは元々、主に婦人科の病棟でした。病床数が減ったことから、今は使われていないベッドが大量に置かれています

今は使われていないベッド
今は使われていないベッド

一般患者との導線を分ける必要があるため、使うことができなくなったベッドは50床近くに。

これまでのようにきめ細かいリハビリができず、急な転院を余儀なくされるケースも出てきた。

坪井病院・杉野圭史副院長:
ある期間が来たら「申し訳ない。次が待っているから」とか。病床を削ったために一部なっている状況が、われわれからすると「こういう医療ではない。本当は」という気持ちがあります

“コロナ”と“一般”を両立させる難しさ

取材を担当した福島テレビ・本山優紀記者に聞いた。

取材を担当した福島テレビ・本山優紀記者
取材を担当した福島テレビ・本山優紀記者

Q.新型コロナウイルスの患者を受け入れるために50床を3床に切り替えざるを得なかったということだが、民間の医療機関にとっては「重い決断」と言えるのでは?
福島テレビ・本山優紀記者:

郡山市の坪井病院は今回、「現状を知ってほしい」ということで取材に応じてくれました。取材を通じて見えたきたのは、コロナ診療と一般診療を両立させる難しさです。この病院は、慢性期から急性期までの幅広い患者に対応できるのが強みになっていました。しかし、病床が大きく減ったため、その強みを支えてきた余裕を持った医療提供体制に一部で影響が出ていると感じました

Q.いわゆる「医療崩壊」は、福島ではまだ起きていないと言えるのか?
福島テレビ・本山優紀記者:

現在、必要な治療はしっかりと提供できているので、現時点でそれは起きていません。また、この病院の強みである呼吸器系の難病についても、県内外から患者を受け入れています。しかし、医療従事者の負担は確実に増えています。

福島テレビ・本山優紀記者:
この病院では10人前後の看護師が交代で、一般病棟も担当しつつ、24時間体制で感染者のケアにあたっています。わたしたちがこのような医療従事者の苦労や頑張りを理解しつつ、負担を少しでも減らすため、感染症対策の徹底が大切だとあらためて感じました

(福島テレビ)

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