Twitterに投稿された、田んぼと列車の一枚の写真。

今、一定の時期にしか見ることができないという水面に列車が映る景色が、まるでアニメの世界のような美しさもあり、注目を集めている。

それがこちら。

こんにちは。東水戸駅~大洗駅間の田んぼは、ほぼ田起しが終わったようです。
写真は、田に水が張られ、田植え前の少しの期間に見ることができる光景です。
#大洗鹿島線 #鹿島臨海鉄道

このコメントともに4月15日に投稿された画像は、一面が水面になっており、空と高架橋を走行する2両編成の列車が、きれいに水面に反射している様子が確認できる。まるでウユニ塩湖の世界のようで幻想的だ。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
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投稿したのは、茨城県の鹿島臨海鉄道株式会社が運営する鹿島花梨・鹿島臨海鉄道公式(@rintetsu_karin)。普段から鉄道情報のお知らせとともに、時折、茨城県の美しい景色写真を投稿している。

今回投稿された写真にも、Twitterでは「美しい景色ですね」「雄大」「鏡面世界の誕生」といった感動のコメントが多く寄せられ、話題となっているのだ。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道

なお今回投稿した画像は過去に撮影したもので、このような風景が見られるようになるのはもう少し先だという。

では、この「田植え前の少しの期間」しか見ることができないという素敵な風景は、今年はいつからいつ頃まで見ることができるのだろうか? また他の時期には、どんな風景が広がっているのだろうか?

鹿島臨海鉄道の担当者に話を聞いてみた。

田植え前の水を張った時期限定の風景

ーー水面に映る列車を、なぜ投稿したの?

鹿島臨海鉄道大洗鹿島線は、風光明媚な景色を沢山楽しめるような路線ではありませんが、この時期、この瞬間だけ、人に感動していただけるような景色があるのだということをお知らせしたく投稿いたしました。 

撮影場所は、水戸市の常澄地区になります。

水戸市常澄地区(提供:鹿島臨海鉄道)
水戸市常澄地区(提供:鹿島臨海鉄道)

ーーこの風景を見ることができる「少しの期間」とはいつなの?

農家さんが、田んぼに水を張る時期次第になります。4月23日時点で、田んぼに順次、水が入れられ、代掻きがされています。 一般的に水戸地区は、GW辺りに大体田植えをするようです。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道

ーーでは投稿写真の田んぼの状況は、全ての代掻きが終わっていたということ?

はい、田植えの前に、代掻きといいまして、田起こしした田んぼに水を張り、土を攪拌し、ならして平らにしていく作業があります。その状態です。


ーーこの景色は地域の人には見慣れたものなの?

一般的な通行路から撮影したものではありませんので、地元の方も知らない人はいるのではないでしょうか。
 

田植え前は湖面を走っているような風景

ーー撮影した「水戸市常澄地区」はどのような場所なの?

田植え時期、高架橋の両側は水を蓄えた水田地帯となります。まるで列車が湖面を走っているような、千と千尋の神隠しのワンシーンのような風景になります。風がないときは水面が水鏡になり、水面に反射した列車が写せます。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道

この周辺の水田で栽培されているブランド米「風彩常澄(かぜいろつねずみ)」というお米が美味です。付近の農家の方に聞いたお話ですが「食味値80以上という厳格な基準」をクリアできるよう栽培しているとのことです。


ーー綺麗に撮影するコツはある?

水面がきれいな水鏡を映すには、晴れの日、風がない状態が好ましいです。特に、早朝5時から9時の間、無風状態になることが多いです。9時以降は陸が温まり、海風が吹きます。 

カメラの設定、1.露出補正を暗め(マイナス2/3ぐらい)に設定、2.ホワイトバランスの設定をシアン(青)を強めにして撮影すると、4~5月らしい清々しい景色になります。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道

ーー今回の時期の他に、おすすめの季節を教えて

新緑と田園風景が見られる、今頃から梅雨前がオススメだと思います。

新緑と田園風景が広がる梅雨前の時期もおすすめ(提供:鹿島臨海鉄道)
新緑と田園風景が広がる梅雨前の時期もおすすめ(提供:鹿島臨海鉄道)

ーー反響についてどう感じている?

たくさんのイイネをいただけて、有り難いです。 この時期は、田植え前の繁忙期です。農道は狭いので、自家用車などでお越しになって路駐されてしまいますと、農作業に支障が生じることになります。

また田の畦道に入り込んで畦道を壊しますと、迷惑になりますので、人の土地には勝手に入らないよう、きちんと配慮をお願いいたします。 

弊社は鉄道会社なので、大洗鹿島線の列車に乗車いただいて、徒歩で訪問していただけると幸いです。

撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道
撮影:渡邉貴宣 提供:鹿島臨海鉄道

同社によると、23日の朝の時点では田んぼに水を入れ始めたところで、まだ田んぼ一面に水を張った状況にはなっていないという。写真にあるような風景を見ることができるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。

4月23日午前の時点の風景(提供:鹿島臨海鉄道)
4月23日午前の時点の風景(提供:鹿島臨海鉄道)

このような素敵は風景は撮影したり、実際に見てみたいことだろう。しかし、訪れたり撮影する際は、しっかりマナーを守ることが大切だ。地域の迷惑にならないような行動を心がけてほしい。

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プライムオンライン編集部
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