勉強や仕事の際に欠かせないノート。さまざまなメーカーからたくさんの種類が出ており、お気に入りの一冊を使っていることだろう。

そんなノートと、これに書き味がピッタリなペンが、株式会社コクヨから発売される。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ
この記事の画像(26枚)

同社の新ブランド「PERPANEP(ペルパネプ)」で、紙(PAPER)とペン(PEN)のコンビネーションを考えデザインした、紙の持ち味を引き出す文具シリーズだ。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

ノートの紙質は3種類で、コクヨオリジナル原紙の「TSURU TSURU(ツルツル)」「SARA SARA(さらさら)」「ZARA ZARA(ザラザラ)」。

それぞれに、「3mm方眼掛」「4mm方眼掛」「5mm方眼掛」「4mm方眼ドット掛」「6mmステノ罫」の5種類の罫線のバージョンを用意している。

5種類の罫線(提供:株式会社コクヨ)
5種類の罫線(提供:株式会社コクヨ)

そして、この紙質に合ったペンは、コクヨオリジナルの「ファインライター」、ゼブラ株式会社の水性ゲルボールペン「サラサクリップ」、プラチナ万年筆株式会社とコラボレーションした万年筆「プレピー」の3種類。

それぞれのペンの特徴は、「インクが染み出すプラスチックのペン先で筆圧をかけずにスルスル書ける(ファインライター)」「水性顔料のため、サラサラとした書き味(サラサクリップ)」「しなりのある薄い金属製のペン先が原紙の細かな凹凸を手に伝える(プレピー)」となる。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

このノートとペンの組み合わせによって、自分好みの書き心地を選ぶことができるのだ。

一部店舗では3月17日からの先行販売となり、全国発売は4月21日を予定している。価格は、ノートが1冊900円(税抜)、ファインライター200円(同)、サラサクリップ130円(同)、プレピー400円(同)。※全てメーカー希望小売価格。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

おすすめの組み合わせはあるということだが、相性が合うと書き心地は良いのだろうか? またなぜ、紙質の異なるノートを3種類も作ったのだろうか?

担当者に話を聞いた。

”書く”に寄り添い商品を開発

ーー商品を開発したきっかけを教えて。

デジタル化やAIツールがワークシーンで増える中、創造性を要求されるビジネスシーンでは「書く」行為が改めて注目されています。

コクヨは和式帳簿の中紙を開発した1908年より、お客様の「書く」に深く向き合ってきた背景があり、現在のビジネスシーンで求められる、創造性を豊かにする「書く」行為を、より高められるツールを提供したいという思いから企画しました。


ーーアイデアはどこからひらめいた?

ひとことで「書く」と言っても、丁寧に、ラフになど、使う人や場面によって書き方はさまざまです。コクヨはこれまで培ってきた技術をもとにさまざまな「書く」に寄り添う3種の原紙を開発。

さらに今まで別々で購買されていることがほとんどだった紙とペンの相性に注目し、組み合わせをデザインすることで「書く」魅力を訴求できると考えました。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

ーー相性が良いと、やっぱり書き心地も違う?

普段、文具に接する機会の少ない社員からも、「紙とペンによってこんなに書き心地が違うのか」と反響がありました。試してみて好きな組み合わせも人によってさまざまで、改めて「書く」の多様性を感じています。

水性ゲルボールペン「サラサクリップ」(提供:株式会社コクヨ)
水性ゲルボールペン「サラサクリップ」(提供:株式会社コクヨ)

ーー商品のコンセプトを教えて

「紙とペンの巧みな出会い」

書く人のクリエイティビティを刺激する書き心地を目指して、紙とペンの「相性」に注目し、互いを引き立たせる紙とペンの組み合せをデザインしました。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

ーーそれぞれの商品の特徴を教えて

滑るようにさっそうと書ける「ツルツル」原紙:
軽いタッチでペンが走る、超高平滑の原紙です。思考の妨げになる引っかかりをできる限りなくし、筆圧をかけず軽いタッチで書けます。

おすすめの筆記具は、ファインライターです。

ノート「ツルツル」とファインライター(提供:株式会社コクヨ)
ノート「ツルツル」とファインライター(提供:株式会社コクヨ)

なめらかで心地よい書き味「さらさら」原紙:
さまざまな種類の筆記具と相性のいい原紙です。にじみや裏抜けがしにくく、微細な凹凸が織りなすいつまでも触れていたくなる心地よさを感じながら、軽やかでスムースな筆記感を味わえます。

おすすめの筆記具は、水性ボールペン「サラサクリップ」です。

ノート「さらさら」と水性ゲルボールペン「サラサクリップ」(提供:株式会社コクヨ)
ノート「さらさら」と水性ゲルボールペン「サラサクリップ」(提供:株式会社コクヨ)

音を感じる落ち着いた書き心地「ザラザラ」原紙:
ザラッとした質感がありながらも、沈まず軽いタッチでペンがすすむ原紙です。あえて表面に粗さを残して、紙全体を固めに仕上げました。

おすすめの筆記具は、万年筆「プレピー」です。

ノート「ザラザラ」と万年筆「プレピー」(提供:株式会社コクヨ)
ノート「ザラザラ」と万年筆「プレピー」(提供:株式会社コクヨ)

ーー他に相性が良いペンはある?

ツルツル原紙は、ファインライターが最もおすすめですが、万年筆もおすすめです。
さらさら原紙は、水性ボールペンが最もおすすめですが、シャープペンシル・油性ボールペンもおすすめです。
ザラザラ原紙は、万年筆が最もおすすめですが、ファインライターもおすすめとなっております。

最終的には、店頭などのサンプルで、お手持ちの筆記具なども試して頂きながら、ご自分にぴったりの書き心地を見つけて頂ければと思います。

紙質だけでなく製本にもこだわり

ーーこだわった部分はどこ?

【ノート】
想定ユーザーであるクリエイティブなワーカーに向け、ニュアンスのあるブルーがかったグレイッシュカラーを基調とし、シンプルにロゴマークのみを配した意匠をあしらい、ビジネスシーンにも合ったデザインに仕上げました。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

持ち運びやすく、目的別に複数持ちにもちょうどいいA5サイズの60枚仕様です。またフラット製本を採用しているので、持ち歩く際にはA5、見開くとA4サイズのように使用することが可能で、筆記の際に手で押さえるストレスがなく、湾曲による影ができないので、綺麗に撮影やスキャンをすることができます。

フラット製本なので綺麗に撮影することができる(提供:株式会社コクヨ)
フラット製本なので綺麗に撮影することができる(提供:株式会社コクヨ)

【筆記具】
本体はややウォーム系の白で、ノートの中紙との相性に配慮し、筆記時に自然となじむ色にしました。ノートの背クロスの白ともマッチし、筆記時も持ち歩き時も、シリーズで統一感のある色になっています。

サラサクリップ、プレピーは先方のブランドとPERPANEPブランドのダブルネームとしつつ、ノートのグレイッシュカラーに合わせたロゴ色で、落ち着いた印象に仕上げています。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

ーー開発で大変だったことは?

ノートの見開き性をよくするためにフラット製本を採用していますが、フラットに開くことと製本強度を維持することの両立がもっとも難しい課題でした。フラット性と製本強度を両立させるため、開発、技術、工場メンバーで試行錯誤を繰り返した結果、目指す性能に行きつくことができました。

また、原紙の開発ではザラザラの「ザラッとした質感がありながらも、沈まず軽いタッチ」を実現させるのに苦労しました。ペン先を沈ませないためには密度を高める必要があり、紙を潰すのですが、通常その過程で表面が平滑になってしまうのを、パルプの配合を見直すことなどで解決しました。

提供:株式会社コクヨ
提供:株式会社コクヨ

ーーちなみに、「キャンパスノート」はどのような紙質なの?

同じ紙ではありませんが、性質として「さらさら原紙」が最も近いです。ボールペン、鉛筆、シャープペンシル、カラーマーカーなど、さまざまな筆記具と相性が良い、バランスのとれた紙となっております。


ーー初めて完成した商品を手にした時どうだった?

自分自身は特に紙とペンの組み合わせにこだわってきたわけではなかったのですが、初めて試作品を使用したときは衝撃を受けました。

これまでは「さらさら」に近い紙と水性ゲルボールペンで使うことが多かったので、特に「ザラザラ」の紙はこんなにも書き心地が違うものか、と。その対極に位置する「ツルツル」も驚きで、こちらは低粘度油性ボールペンだと滑りすぎると感じるほど。書き味の振れ幅を非常におもしろく感じました。

結果として、真ん中の書き心地である「さらさら」原紙の良さも再認識することができたので、ぜひ多くの皆さまにもこの驚きを体感していただきたいです。

万年筆「プレピー」(提供:株式会社コクヨ)
万年筆「プレピー」(提供:株式会社コクヨ)

ーー担当者はどの種類が好みだった?

人によっても好みが違いますし、同じ人物であっても、使う場面によって良いと感じる組み合わせは変わってきますので、一概には言えません。強いて言えば、個人的には手で紙に書くのはアイデア出しや思考の整理を目的にすることが多いので、ツルツル原紙とファインライターの出番が多そうです。

ファインライター(提供:株式会社コクヨ)
ファインライター(提供:株式会社コクヨ)

担当者も感動する書き味は気になることだろう。絵を描くのか、文字を書くのか、目的によって使い分けるなど、自分好みの組み合わせを探すのも楽しそうだ。

【関連記事】
灰色のページに「白と黒で書くノート」をコクヨ発売…明暗のコントラストで見やすい“新感覚”
ジャポニカ学習帳に「昆虫シリーズ」が復活…虫が苦手な子への工夫もされていた

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。