進次郎を使わない手はない

 
 
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農水相で入閣か官房副長官かと言われた後、やはり入閣しないなどと情報が錯綜した小泉進次郎さんは結局環境相で入閣することが決まった。

理由は一つ、進次郎を使わない手はない、ということだ。

今回小泉さんが入閣するにあたって残っていたポストは4つ。復興、地方創生、IT、環境だった。彼は復興と地方創生は政務官として一度やっているが、今回はないだろうと思った。どちらも国主導でかなりのことが実行され、これ以上政治が入る余地があまり見えないからだ。

IT相としてグリグリ攻めて欲しかった

個人的にはITをやってほしかった。僕は60歳だがITの議論について行くのはかなりしんどい。僕よりさらに上の世代の安倍さんや、岸田さんらポスト安倍の皆さんに本当にITがわかるのか不安だ。若い奴にグリグリ攻めてほしい、という思いがある。

しかし小泉さん、あるいは菅さん、あるいは安倍さんか誰かわからんが、ITではなく環境を選んだ。もちろん環境も大事なのだが、僕にとって不安を覚えるほど心配な分野でもないので、少しガッカリした。

とは言え小泉さんを閣内に取り込んだことは安倍さんとしては参院選に勝ったことよりはるかに重要なことだ。と言うのは小泉さんは安倍さんの下で働くことを嫌がっていた。未来の首相としてのトレーニングを積めばいいのに、と普通は思うが、本人は「親父が普通とは違っていたように俺も普通とは違う」という強烈な自負心で安倍さんの下に入ることを拒否し続けてきた。

しかし先日の滝クリとの官邸への結婚報告を見た時、小泉さんは菅官房長官とかなり親密になっており、ということは安倍さんとのコミュニケーションもできていることがわかりびっくりした。もう石破さんの影は見えない。

 
 

人事の腕を上げた安倍首相

さらに若殿を人質に取られている父、小泉純一郎元首相にとっても願ってもない展開であり、これなら純ちゃんが謀反を起こすこともない。

今回の小泉さんの入閣は安倍、小泉双方にとってウインウインである。ポスト安倍は菅さんプラス岸田文雄、茂木敏充、河野太郎、加藤勝信のビッグ4という構図だが、真の後継者は進次郎ではないか。

 
 

安倍さんはこれまで人事下手と言われてきたが、今回の人事はうまいと思う。

環境相としての小泉氏の最初の試練は、福島原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出問題だろう。彼は放出を決断するのではないか。もしこの問題をうまく乗り切れば、ポスト安倍の一番手に踊り出てくるかもしれない。

 
 

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】
【4コマ漫画:横川寛人】
【イラスト:さいとうひさし】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。