被害者に対する傷害致死事件の裁判員裁判が始まった。
奇妙な同居関係だった3人の間に一体何があったのか…注目の裁判。
両被告はそれぞれ、罪をなすりつけ合う主張をした。

頼りにしていた娘の様子が一変…

2月2日、福岡地裁。
起訴状などによると、山本美幸被告(42)と岸颯被告(25)は、2019年10月、当時36歳の主婦・高畑瑠美さんを福岡・太宰府市の自宅に監禁し、太ももをナイフや割り箸で突き刺したほか、木刀などで暴行を加えて死亡させた罪などに問われている。

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瑠美さんの母親は生前の瑠美さんについてこう振り返る。

高畑瑠美さんの母親:
どっちかというと私が瑠美を頼りにしてました。近所の人たちからうらやましがられる、いいねと言われる感じでした。すぐ来てくれるし

誰よりも家族思いだったという瑠美さん。

しかし、事件の数カ月前から様子が一変。
山本被告らと親密になると、家族とは距離を置き、激しい口調で金を取り立てるようになった。

瑠美さんの母親:
マインドコントロールされていたんだと思います。瑠美が電話をしてきたときに、後ろで何か聞こえるんですよね。誰かがいるみたいな

瑠美さんがなぜ被告たちと同居することになり、無残な死を遂げたのか―

両被告は罪をなすりつけあう主張

罪状認否で2人は―。

山本美幸被告:
私自身、共謀もやってないし、すべてしていないというのが自分の意見です。
一緒に車乗ってたので、それが死体遺棄にあたるのであればそうかもしれないけど、自分の意見ですれば、瑠美が亡くなってると自分で思ってないです

一方、岸被告は―

岸颯被告:
死体遺棄については、私が運転しているので、これか死体遺棄にあたるのであれば、間違いない。
監禁については、なにもしていませんし、私は。
傷害致死についても、僕は何もやってません。
何をどういう基準で共謀と言ってるのか、分からない

両被告ともに、すべての起訴内容を否認した。

検察側は、山本被告は2008年頃に瑠美さんと知り合い、瑠美さんの兄の借金返済をさせていたと説明。
2019年3月頃からは、瑠美さんをホストクラブに通い続けるように仕向け、山本被告が代金を代わりに払うなどし、総額6000万円以上の借用書を作成したと指摘。
さらに服従させるため、岸被告と凄惨な暴行を繰り返していたとした。

一方、山本被告と岸被告の弁護人は、互いに罪をなすりつけあうような主張を展開した。

山本被告の弁護人:
山本被告は、岸被告が瑠美さんの足を踏みつけたり、木刀でたたいていることを見たことはあります。山本被告も暴力を受けたことがあり、暴力を止めることができませんでした

これに対し岸被告の弁護人は…

岸被告の弁護人:
瑠美さんを助けてあげたいと思ったが、岸被告が通報すれば自分の周りに危害が及ぶかもしれないと考え実行できなかった。
「逃げ出せばいい」と思うでしょうし、理解できない世界かもしれませんが、逃げ出すことはできない異常な世界でした。
山本被告の息子と、SNSで知り合った女性に暴行の状況を示した内容をLINEで送った。しかし通報してくれなかった

LINEに「これが、まさに生き地獄」

証拠調べでは、事件発生5日前に岸被告と山本被告の息子が、瑠美さんの様子について話したLINEのやりとりが読み上げられた。

LINEやりとり(2019年10月15日)

息子「生きとる?」
岸被告「左ひざの皿くだいた」
息子「まじかよ爆笑」
岸被告「うい」
息子「写メないの?笑笑」「どうやってやったの?踏んだの?」
岸被告「そだよ」
息子「相当痛かろ?歩けんのやない?」
岸被告「ぷにぷにしてる、知らん、たぶん無理かもね」
息子「泣き叫んでない?」
岸被告「口にガムテープとタオル巻いて紐で手縛ってたから悶絶してた」「うごーっても言っていた」
息子「会った時叩いてたやろ爆笑」
岸被告「やってみ、左ひざだから叩きやすいよ」
息子「次は肘にしよう」
岸被告「次は肘やけん」
息子「俺、絶対耐えれんわ爆笑」
岸被告「たぶん死ぬよ」「青あざを通りこして血が滲み、汁が出る」
息子「ただれてる笑笑」「生き地獄か」
「これがまさに、生き地獄」

その翌日も―

LINEやりとり(2019年10月16日

岸被告「きょうはね、木刀でフルスイング、ケツをw」
息子「また何かしたん?」
岸被告「骨砕けてるかな?ケツそぎ落とす勢いでフルスイング100回ほど」「また後でするけどね」
息子「まじで?」

一方、車に乗った際に『瑠美さんは死んでいないと思っていたので、死体遺棄にはあたらない』と主張している山本被告についても、検察側はこれを覆す録音データを今後明らかにするとしていて、両被告の共謀を立証するとしている。

(テレビ西日本)

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